0. 注意事項
本投稿はあくまでも、改正電子帳簿保存法のうち、電子取引で取得した証票(領収書・請求書など)に関して、認定タイムスタンプを、フリーランスや小企業が使う必要があるのかという問題意識を元に整理したものです。
中規模以上の企業や、上記以外の法律の項目については、一問一答を読んだり、直接税務署に問い合わせされた方がいいと思います。
ちなみに、電子取引で取得した証票とは、Amazonや楽天とかで発行しているPDFです。
1.2022年1月に改正電子帳簿保存法が施行
ネットでも電子帳簿保存法関連のCMが出ているし、ニュースにもなっているのでご存知の人も多いと思います。
端的にいえば、領収書や契約書など電子取引の証票を保存しておくための法的なルールが変わるということです。
電子帳票を紙媒体で保管しても意味がないので、法律に従って保存・管理する必要があります。
2.認定タイムスタンプと発行費用
保存の要件の中に、認定タイムスタンプというのが出てきます。
これは、単純にシステムで付与するタイムスタンプではありません。
一般財団法人日本データ通信協会が認定した タイムスタンプ局 が発行したタイムスタンプのことを意味します。
ちなみに、発行されたタイムスタンプは、PDFなどに埋め込んで保管しておきます。改ざんがあれば、最初に埋め込んだタイムスタンプと改ざん後のファイルから作られたタイムスタンプに差異がでるので、改ざん検知がしやすくなります。
認定タイムスタンプ局になるにはそれなりの費用や手続きが必要で、フリーランスや小企業ではなかなかなりにくいものだと思います。
となると、認定タイムスタンプをもらうには、認定を受けた業者からタイムスタンプを発行してもらわないといけなくなります。
その費用については、サービスによりけりですが月額6,000円以上はかかるものが多いです。
あとは、会計クラウドを利用すると月額3,000円程度に抑えることもできます。
いずれにしろも、認定タイムスタンプを使おうとするとお金がかかります。
ただ、フリーランスや小企業だとこれはそこそこ負担になるので、そんな負担を強いる制度なのかと疑問に思って、税務署に電話で問い合わせました。
3.税務署で認定タイムスタンプについて問い合わせた
フリーランスや企業会計していると税務についてはいろいろ疑問がでます。そういうときは、自分の管轄の税務署に電話すれば答えてくれます。
ここに改正電子帳簿保存法、特に、認定タイムスタンプや電子帳簿の保存法について聞いてみました。
そうすると、認定タイムスタンプを使うと費用がかかるので、それ以外の方法もありますよと教えてくれました。
4.改正電子帳簿保存法については国税庁の「一問一答」の「問11」に保存要件の記載がある
改正電子帳簿保存法については、国税庁のサイトに一問一答の資料が置いてます。そこに大体の対応方法なども書いています。
▶ 電子帳簿保存法Q&A(一問一答)~令和4年1月1日以後に保存等を開始する方~
この電子取引関係の一問一答の問11に保存要件があり、ここには認定タイムスタンプは選択的な要件のうちの一つとして記載されています。
認定タイムスタンプを使う場合は費用がかかるというのは税務署の方もいわれていて、最も費用がかからないのは、保存に関する事務処理規定を持つことだそうです。
事務処理規定のサンプルも国税庁のサイトに掲載されています。
▶ 電子帳簿保存法関係 > 参考資料(各種規程等のサンプル)
5.事務処理規定を設けて電子帳票を管理するのが一番費用がかからない
標題の通り、認定タイムスタンプはあればあったでいいと思いますが、費用をかけられないのであれば、事務処理規定を備えて対応するのがありだと思います。
その他、検索しやすいように保管するシステムについては、自社で開発して、その設計書をあわせて保管しておけばいいと記載があります。
ちなみに、認定タイムスタンプは使わないまでも、改ざん対策のためにタイムスタンプを使うのであれば、フリーのものなどもあるので、それを利用するのもいいと思います。タイムスタンプを発行するサーバを、「TSA(Time Stamp Authority)サーバー」というみたいですね。
ちなみに、改正電子帳簿保存法の対応には2年の猶予期間があるそうです。