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フリーランス、一人法人向け:電子帳簿保存法対応システム間の移行について(資料紹介のみ)

Last updated at Posted at 2024-11-24

フリーランス、一人法人向けの電子帳簿保存法対応について(コスト面から)

大手企業は比較的高い費用を支払ってシステム移行もできる会計クラウドやシステムを利用しています。ですので、この記事の内容は大手企業には無関係のものとなります。

フリーランス、一人法人、小企業においてはそこまで高い費用が払えないので比較的安価な方法で対応をしていると思います。
ただ、昨今(2024年11月時点)、社会的な物価高騰を受けて、クラウドサービスの料金も値上げしています。
まだ、そこまで大きな値上げはありませんが、今後、価格が下がっていくのはなかなか考えにくいです。むしろ、価格はもっとあがっていくと思います。

一方で、新しいサービスもできてきますので、そうすると安いサービスへ移りたい人もでてきます。ここで、「システム移行」が発生します。

実は、安価なクラウドサービスを使っていると、この「システム移行」に問題があります。多くの電子帳簿保存法の記事でも指摘されています。

2024年1月から「電子取引のデータ保存」が完全義務化され、フリーランス、一人法人、小規模事業者も本格的に電子帳簿保存法へ対応をしはじめていると思います。

また、これから起業する人にとっても重要なポイントだと思います。同じような疑問をもつ人の考えるヒントになればと思います。

電子帳簿保存法対応はクラウド会計を使うのが楽

電子帳簿保存法が始まり、紙の領収書も72日以内に電子化して保存すれば原本となった紙が不要となります。
また、電子化された請求書や領収書の管理についても、クラウド会計を利用すれば電子帳簿保存法の要件を満たせます。

値上げなど諸事情でシステムを移行する場合

利用当初はそれほど高くなかったが、途中で値上げをするサービスもあります。
この場合、別サービスを検討することもあると思います。

ここで問題となるのが、電子帳簿保存法用に管理したファイルをどうやって移行するかです。

このあたりは、税務署が作成した『電子帳簿保存法一問一答 【スキャナ保存関係】』という資料のp.54に記載があります。

電子帳簿保存法に沿った適切なデータ移行を行うための方法については、JIIMAにおいて、その考え方や移行時に特に注意すべきポイントを『電帳法スキャナ保存におけるデータポータビリティガイドライン~タイムスタンプ代替要件で確保されたデータの移行について~(第1.0版)』としてまとめ、そのホームページに掲載していますので、タイムスタンプの代替要件として他者が提供するクラウドサーバを利用してスキャン保存を行う場合に、スキャナデータを異なるシステムやサーバに移行する際には、当該ガイドラインを参考として適切なデータ移行を行ってください。

上記をみると、公益社団法人 日本文書情報マネジメント協会が作成した『電帳法スキャナ保存における データポータビリティガイドライン ~タイムスタンプ代替要件で確保されたデータの移行について~ 』という資料に詳しく方法が記載されています。

移行元でタイムスタンプや電子署名の発行が必要

前述の移行ガイドラインの資料をみると移行ファイルの真実性確保をする方法パターンとして以下のように記載されています。

【パターン1】 移行元がタイムスタンプと電子署名を付与して、移行先が受領したファイルを検証する方法 電子署名により移行元から確かに出力されたデータであることが確認可能であり、タイムスタンプにより移行時点で確実にデータが存在していたことが証明可能となります。また、電子署名とタイムスタンプの機能により改ざん検知が可能であり、データの真実性が確保できます。

【パターン2】 移行元が電子署名を付与して、移行先が受領したファイルを検証する方法 電子署名により移行元から確かに出力されたデータであることが確認可能であり、電子署名の機能により改ざん検知が可能でありデータの真実性が確保できます。 ※ 移行先がタイムスタンプとは別の方法で、確かに移行時点のデータであり、改ざんされていないことの確認が必要

【パターン3】 移行元がタイムスタンプを付与して、移行先が受領したファイルを検証する方法 タイムスタンプにより移行時点で確実にデータが存在していたことが証明可能となります。タイムスタンプの機能により改ざん検知が可能でありデータの真実性が確保できます。 ※ 移行先が電子署名等とは別の方法で、確かに移行元システムから出力されたデータであり、改ざんされていないことの確認が必要

これ以外にも移行仕様書の作成なども必要となりますが、上記は技術的、そして、費用などの観点からネックになることだと思います。

具体的に実施するには?

ガイドラインを読んでみるとわかるように、おそらく、移行には専門会社が介在して行う必要があり、移行元と移行先の協力がないと実現できないように思います。

私自身、まだ経験しておらず、現在資料を読んで整理した段階です。
また、後日、税務署への質問を行い、クラウド会計の運営会社にはすでに質問をしていますので、それをフィードバックしたいと思います。
おそらく、今後、システムの値上げ、および、それをフォローする新しいサービスがでてきて、システム移行も増えると思います。

その場合に、どのように移行すれば電子帳簿保存法を守ることができるのか整理したいと思います。

備考1:電子帳簿保存法に関する2種類の電子化ファイル(国税庁の資料では3つといわれてますが、簡便化のため2つにしてます)

電子帳簿保存法において、2つの種類のファイルがあります。参考資料は国税庁の『電子帳簿等保存制度で経理のデジタル化』

①レシートなどもとが紙であったものを電子化したファイル
②もともと電子である電子取引データ

①については、発行されてから原則約2ヶ月以内に電子化する必要があります。これを過ぎてしまうと、基本は原本を残して置かなければなりません。

②は、タイムスタンプの埋め込みは必須ではありません。訂正防止などに関する事務処理規定を備えていれば良いことになっています。多くのクラウド会計でも、タイムスタンプを付与しないものが多いです。(これが移行時にネックいなるのですが)

image.png

備考2:認定タイムスタンプを付与する費用は?

改正によってファイルへのタイムスタンプ要件が必須ではないので、タイムスタンプを付与しない証憑管理サービスは多いです。

ただ、移行などを考えた場合、認定タイムスタンプは付与しておくのがよいと思います。よく目にするクラウド会計では、タイムスタンプを付与しないものが多いと思います。また、有名なクラウド会計でも、タイムスタンプを付与はするとうたっていますが、ファイルとタイムスタンプを別管理にしているから、タイムスタンプ付きでダウンロードはできないそうです。

2024/11/25時点で、私がしらべた感じですと、月額数千円で利用できる比較的安価なクラウド会計では、タイムスタンプ付きでファイルを保存することはできないように思います。

一方で、国税庁の電話相談窓口に電話したところ、上記ガイドラインのとおり、移行時にはタイムスタンプをつけておくようにということでした。そうなると、タイムスタンプがついていないファイルは移行できないのでは?という疑問があります。もっと詳細には、所轄の税務署できいてほしいと電話相談窓口で回答がありましたので、所轄の税務署で更に確認したいと思います。

タイムスタンプの発行するシステムは月額1万円ぐらいするのが相場だと思いますが、タイムスタンプだけに1万円払う必要がはたしてあるのだろうかという気はします。でも、移行を考えるとタイムスタンプを付与しないといけないので、ベンダーロックインを甘んじて受け入れるのか、ある程度のコストをはらって、タイムスタンプをつけるのかを選択する必要がある気がします。11/25時点の調査内容となります。

備考3:タイムスタンプを付与するファイル単位

原則、1人の利用者が1日で利用したものを1ファイルにするというように見えます。複数のレシートや領収書を1つのファイルに含めることは可能であるが、左記の定義に従う必要があるようです。
※ただし、この定義も少し古い資料から読み取れる内容なので、税務署への確認が必要だと考えています。

【質問】複数の領収書を1回の撮影でスキャン保存することは可能ですか。(領収書ごとに分割は必要ですか)
【回答】一の入力単位になるのであれば、まとめて撮影して問題ありません。例えば同一人物が1回の出張で受領した領収書は問題ありませんが、複数の者が受領した領収書をまとめて撮影することはできません。なお、4ポイントの字が読めるように撮影すること、書類全体の大きさがA4サイズを超えないことが必要です。複数の画像を一の入力単位とした場合でも、各領収証の帳簿記載事項との相互関連性の確保は必要となります。

資料】2016年10月 eドキュメントフォーラム 「電子帳簿保存法におけるスキャナ保存制度見直しについて-東京国税局」のセミナーに寄せられた質問について回答しています。(2017年7月発表の国税庁取扱い通達・電子帳簿保存法一問一答が反映されています) JIIMA法務委員会

1つのファイルに含めるレシート数が増えることで、タイムスタンプを付与するファイル数を削減できるので、タイムスタンプの消費や保存ファイル数の削減が考えられます。
できるだけ少ないファイル数でタイムスタンプを付与するのがよいと思います。

国税庁の「法第4条((国税関係帳簿書類の電磁的記録による保存等))関係」の引用。

お互いに関係を持たない複数の国税関係書類を一度にスキャニングしたからといって、それをもって一の入力単位ということにはならない。

備考4:Googleドライブなどの比較的安価なクラウドストレージをつかって電子帳簿保存法対応

以下に、安価なクラウドストレージで証憑管理することに関することが記載されていました。
参考までに掲載します。

備考5:比較的安価に認定タイムスタンプを付与するサービス(2024年11月時点)

比較的安価に認定タイムスタンプを付与するサービスとしては、「ベクターサイン」があります。年払いで、ひと月あたり5,500円なので、月に1万円かかるサービスよりは安いです。

ただ、1ヶ月に30件ずつスタンプ数が付与されるので、他のサービスよりはタイムスタンプの付与数は少ないです。一応、1ヶ月に30件つかえなかったら、3ヶ月繰越ができます。

私の場合、月にそれほどスキャナ保存すべきレシートはなく、また、1ファイルで複数のレシートを含めればタイムスタンプ数は節約できます。

フリーランスや小規模事業者にとっては、それほど多くの証憑はないので、月2,0000円程度で、100スタンプぐらい付与できるサービスがあればいいなと思ったりします。会計クラウドも追加費用を払えば、タイムスタンプを付与してくれればとは思います。

ちなみに、こちらは、認定タイムスタンプについて詳しく書かれている記事です。

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