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Dockerのコンテナイメージサイズを1/10以下に軽量化してみた

Last updated at Posted at 2024-05-15

はじめに

VSCode + Python + Poetry + Docker(docker-compose)でdev-containerを作成して開発を行っていました。
Dockerを勉強し、イメージの軽量化に関する記事を読んでいると、自分が使っているコンテナイメージのサイズが気になりました。

docker images
> REPOSITORY    TAG       IMAGE ID       CREATED          SIZE
> dev-container latest    a9b8e3df9087                    2.31GB

2.31GB!?
サーバとしてアプリを動かしていないのにここまで大きいなんて…

というわけで勉強も兼ねて、イメージの軽量化に取り組みました。

イメージが軽量であるメリット

ストレージの節約

これは言わずもがなだと思います。
限られたリソースを有効に使うことができます。

ビルド時間の短縮

Dockerは環境を作ったり壊したりが簡単なのもいいところだと思います。
ビルド時間が長いと、この恩恵を感じづらくなりますよね。

環境

OS:Ubuntu22.04
Docker: 26.1.1
Docker Compose: v2.27.0

軽量化していく

最初の状態

compose.yml
version: "3"
services:
  app:
    build:
      context: .
      dockerfile: Dockerfile
    restart: always
    tty: true
    volumes:
      - type: bind
        source: ./
        target: /workspace/app
FROM python:3.11.9-slim

COPY pyproject.toml ./
# pipのアップグレード
RUN pip install --upgrade pip

# パッケージのアップグレード、インストール
RUN apt -y update && apt -y upgrade
RUN apt -y install libopencv-dev

# poetryのインストール、設定
RUN pip install poetry
RUN poetry config virtualenvs.create false \
    && poetry install --no-root

# コンテナの作業ディレクトリを作成
RUN mkdir -p /workspace/app
WORKDIR /workspace/app

EXPOSE 8888

この記事ではDockerfileしか触らないですが、compose.ymlも載せておきます。

今見るとかなり無駄な記述が多いと思います。

ベースイメージ変更、レイヤー数削減

# ベースイメージをslimからslim-bullseyeに変更
FROM python:3.11.9-slim-bullseye

# タイムゾーンを日本に設定
ENV TZ Asia/Tokyo
# COPY pyproject.toml .を削除
# 必要なパッケージ RUNコマンドを一つに結合
RUN apt update && \
    apt -y upgrade && \
    apt -y install libopencv-dev

# pipのアップグレードとpoetryのインストール
RUN pip install --upgrade pip && \
    pip install poetry

# コンテナの作業ディレクトリを作成
RUN mkdir -p /workspace/app
WORKDIR /workspace/app

# 仮想環境を作らないよう設定
RUN poetry config virtualenvs.create false

EXPOSE 8888

最初に更新後のものを載せておきます。

docker images
>REPOSITORY      TAG       IMAGE ID       CREATED          SIZE
>dev-container   latest    585f482be78b                    1.17GB

この時点でイメージサイズは約半分になりました。
変更点はベースイメージ、タイムゾーンの追加、レイヤーの削減です。
また、pyproject.tomlのコピーとパッケージインストールも作業ディレクトリをマウントするので削除しました。
※後で調査すると、コピーやpoetry installが7MBほどを占めていたようです。かなり無駄な記述をしていたと痛感しました。

イメージの軽量化に関わるのは、ベースイメージとレイヤーです。

ベースイメージ

ベースイメージはDocker Hubを使って決めました。

Docker Hubメリット

  • イメージのサイズや脆弱性のレベルや有無を確認できる
  • 公式や他の人のDockerfileを見ることができる

slimからslim-bullseyeへの変更は微々たる差ですが、slimが付いているものとそうでないものの差には驚きます。
slimは使用頻度の低いパッケージが除かれているため軽量になるそうです。

レイヤーの削減

レイヤーとはざっくり言うと、命令1つごとに作られる変更差分です。
Dockerfileでの命令コマンドRUNCOPYが実行されるたびにレイヤーが作られます。
つまり命令コマンドが多くなるとその分、変更差分が作られてしまいます。そのためイメージサイズがどんどん大きくなる原因になります。

今回はバラバラになっていたRUNコマンドをまとめたり、作業ディレクトリをマウントするため不要だったCOPYコマンドの削除など行いました。

ただし、レイヤーの削減は可読性の低下といった問題が起こり得ます。
また、本来なら複数の命令(apt updateとapt upgradeなど)をまとめて実行するので、どの処理が失敗したか分かりづらくなる可能性もあります。

マルチステージビルド

# パッケージをインストールするためのイメージ
FROM python:3.11.9-slim-bullseye as builder

# 必要なパッケージ
RUN apt-get update -q
RUN apt-get -y upgrade --no-install-recommends
RUN apt-get -y install libopencv-dev

# pipのアップグレードとpoetryのインストール
RUN pip install --upgrade pip
RUN pip install poetry

# 仮想環境を作らないよう設定
RUN poetry config virtualenvs.create false

# 実際に使用するイメージ
FROM python:3.11.9-slim-bullseye as dev
# タイムゾーンを日本に設定
ENV TZ Asia/Tokyo

# builderから必要な内容をコピー
COPY --from=builder /usr/local/lib/python3.11/site-packages /usr/local/lib/python3.11/site-packages
COPY --from=builder /usr/local/bin /usr/local/bin

WORKDIR /workspace/app

EXPOSE 8888
docker images
>REPOSITORY      TAG       IMAGE ID       CREATED          SIZE
>dev-container   latest    585f482be78b                    188MB

一気にイメージサイズが減りました!

マルチステージビルドに伴って、レイヤーの削減をしないようにしました。

マルチステージビルドとは

Docker Engine17.05から導入された機能です。
マルチステージビルドを実行するにはFROM行を複数回記述します。
FROMのたびに新しいベースイメージを作成するビルドステージが開始され、一方の内容を他方にコピーすることができ、さらに最終イメージ以外を無視することができます。

1つ目のイメージで必要なパッケージのインストールやアップグレード、アプリのビルドなどを行い、使用したいイメージには使用するファイルやフォルダだけをコピーすることで、余分なレイヤーを作らずイメージを生成できます。

最後に

Dockerのコンテナイメージ軽量化には以下の3つが重要だとわかりました。

  • ベースイメージ
  • レイヤー削減
  • マルチステージビルド

特にマルチステージビルドは余分なレイヤーを、使わないイメージに押し付けることができるので、軽量なイメージの作成にはほぼ必須かと思いました。
他にもこんなDockerfileの作り方があるなど教えていただきたいです。

間違いがあれば指摘していただけますと幸いです。

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