当記事は、「SBL Advent Calendar( https://adventar.org/calendars/6477 )」の11日目の記事です。また、構成は経験点効率概論と経験点効率演習の2部としています。経験点効率演習については、以下のリンクを参照してください。
0) 自己紹介
本編に入る前に誰ですか?ってならないように少し自己紹介しておきます。496年度よりBBL・SBLをプレーしておりますtorselと申します。ほぼほぼ投手専門で育成しており、BBL電力とかいう企業も作っています。そんな感じです。
1) はじめに 〜経験点効率、という概念〜
この記事はBBL・SBLにおいて鍛錬や15回溜め、自主トレなどの基本的な部分を押さえた上でさらに強い選手を作りたい!という方をメインターゲットにした記事です。とはいえ色々な製作者さんに役立つような記事にしたいと思いつつ書いたので、ぜひご一読ください。
同じ成長型なのに自分より明らかに能力値が強い選手を作っている人がいる…。そんな経験はありませんか?練習もきちんと消化して、自主トレも参加・主催したうえでこのような差がついているなら、あとは練習での集中・イマイチ(BBLならグキなども含みますね)で差がついているのでしょうか?
結論から言ってしまいます。たとえ練習をこなしたとしても、練習をいつこなすかによって、はっきりとした差がつきます。この練習の時期をいかに最適にできるかに関する概念が経験点効率になります。
経験点効率の重要性として一つ例を挙げます。SBLにおいて能力値GCCACF(球速、球質、変化、コントロール、スタミナ、精神の順、以下断りがない限り同様)の選手を目標として、同じ初期値135-20-30(15、15)-20-20-20、変化AP、正弦波で育成を行うとします。いずれも鍛錬や15回溜め、自主トレについては完璧にこなすものとしますが、どの時期にどの練習を叩くか、のみが異なります。それぞれの計画を示したものが図1、2になります。
図1) 経験点効率を良く利用した例
図2) 経験点効率とは逆行するように練習した例
(いずれもねここ式投手計算機V4を使用)
一目瞭然、効率を考えた場合と考えていない場合とでは、それぞれスタミナがC60とD46となり大きな差がついています。さらに効率よく練習を組み上げた場合では、精神を維持したまま特能に168点乗せることができています。
ここまで大きな差のつく経験点効率ですが、ではどのように考えて練習を組み立てていけばいいのか、これに関する大まかな認識と細かく詰めるためのツールを以降説明していきます。
2) 大まかな経験点効率への認識
先ほどの章で経験点効率という用語を挙げて新規概念であるかのように説明しましたが、大まかな内容は既に各球団の育成相談センターなどで話されている場合も多いかと思います。具体的にはマイナス2種大練(球速、パワーはここに含む)、マイナス1種大練、マイナスなし大練、小練(SBLにおいては主に変化練)によってどの時期に練習すべきかがある程度決まっている、といったものです。後ほど細かく詰めるためのツールを紹介すると書きましたが、まずはこの具体例からなぜ経験点効率という概念が重要であるかについて、経験点表を交えつつ説明していきます。
図3) 経験点表
SBL投手をメインとした説明のため、ミートAP、ギプスおよび精密鍛練については省略
図3で示されているものが経験点表になります。この表の全てに目を通すのは難しいですが、注目していただきたい点が3点あります。1点目、練習の種類によって得られる経験点が異なり、なおかつ得られる経験点の比が時期によって一定ではありません。例えば総合AP小で得られる経験点を非AP大で得られる経験点で割った値について見てみると、停滞期2では0.8しかないのに対して、成長期2では1.03ほどにまで変化します。
2点目、得られる経験点はそれぞれの時期によって連続して変化していくのに対して、大練マイナス、積極マイナスについてはある時期を境に一度に変化していきます。通常期1から3の間、大練マイナス、積極マイナスは-1.5、-3.0でともに一定ですが、通常期4になるや否やそれぞれ-2.0と-3.5に変化してしまいます。
3点目、AP練習はいわゆる倍率補正がかかり、伸びる時期になればなるほど他の練習よりも伸びの割合が大きくなります。これは積極鍛錬のプラス補正がどの時期であっても固定値であることとは対照的な事実です。
これらの事項を総合して考えると、組み合わせによって特定の練習が相対的に伸びやすい時期、伸びにくい時期が存在することが見えてきます。例えばマイナスが増加する前後の通常期3と通常期4を比較すると、スタミナなどのマイナスなし大練は通常期4への移行に伴いあまりデメリットがないのに対し、球速や球質などマイナスが複数ある大練は大きなデメリットを被ることになります。また、変化練はAPであれば停滞期に練習するのは他の練習との兼ね合いもあって効率が悪いですが、逆に成長期では積極マイナスが大きくなることとAP練習によるプラス補正が大きくなることが相まって非常に効率の良い練習となります。
これらを総合すると、例えばSBLにおける変化、スタミナ、精神APでは経験点効率はおよそ次の図4のようになると言われています。
図4) SBLにおける経験点効率の簡易表
ざっくり言えばこの表に準拠して練習するだけでも十分効率の良い練習ができるかとは思います。基本的な考え方としては、マイナスの量が同じ成長係数の中では得られる経験点が多い時期にマイナスが多い練習をした方が良いこと、マイナスがない練習は逆に得られる経験点が少ない時期に練習をした方が良いことが重要になります。
一方で、この表だけでは考え切れない部分があることも事実です。例えばマイナス2種練習である球質を晩成で上げる時を考えます。上の表における◎の時期は停滞期3のみ、○の時期ですら停滞期1のみであり、△の時期である通常期2、通常期4、成長期2のうちいずれかで練習する必要が生まれてきます。ではこの△の時期であればいつでも効率は変わりないのでしょうか。実際のところ、これに関しても少しずつ差が出てしまいます。次の章では、いかに「少しずつ」の効率の差を考えていけばよいのかについて、実際のツールを交えながら説明していきます。
3) 経験点効率表を用いて考える
ここまで説明したように時期によって効率の良い練習、悪い練習があるわけですが、それを数値化して明確に比較しやすくする手段が経験点効率表です。この表では経験点表からそれぞれの時期での練習による経験点増加分(マイナスを引いた分)を算出し、同時期の非AP大練を基準としてその練習がどれだけ効率の良いものかを数値化しています。
と言ってもなかなか言葉だけでは説明しにくいので、実際の表を用いて説明していきます。以下のリンク先が経験点効率表になります。なお、投手に対応した表しか用意できておりません。予めご了承ください。
説明としてはシート内に書いてあることが基本になりますが、基本的な仕様だけ触れておくとBBL用、SBL用のいずれにおいても一覧表で非AP大練との比較がされています。また、2種類の練習について一方の練習を基準としてもう一方の練習で得られる経験点を比較することができます。これにより、各成長係数にどの練習の効率が良くなるかが判別できるようになっています。利用する際にはAPや鍛錬、BBL用の場合には小APの条件を自分の選手に合わせる必要がありますが、詳細な使い方についてはもう一方の記事で詳しく言及します。
先ほど挙げた例である球質を晩成で上げる際の△の時期について比較すると、SBLで積極鍛錬を取り、変化APである場合にはスタミナを基準とすると以下の表のような日が得られます。このうち通常期2、通常期4、成長期2を比較すると、通常期4で若干効率が落ちることがわかります。
図5) 経験点効率表を用いたスタミナおよび球質の経験点比較
変化AP、積極鍛錬のもとで比較を行った。
スタミナとの比較のみならず変化との比較も行うと、次のような表が得られます。
図6) 経験点効率表を用いた変化および球質の経験点比較
図5と同様変化AP、積極鍛錬のもとで比較を行った。
図5、図6を総合すると、スタミナ練に加えて変化練も行う場合であれば通常期2、通常期4、成長期2の中では通常期2に優先的に球質練を行い、変化練との兼ね合いによっては成長期2に回すことも検討すると良いということが読み取れます。こちらについてもだいぶ駆け足での説明にはなってしまっているので、詳細にはもう一方の記事で言及します。
最後に使用にあたって注意する必要がある点について触れておきます。経験点効率表を用いると最適な練習方法を見つける補助にはなりますが、最終的には自力での判断が必要になってきます。最も効率の良い時期以外では他の練習との兼ね合いによって叩くべきか否かが左右されるので、練習の組み合わせによってどこで練習すべきかを考えることになります。この試行錯誤を詰めていくことで、BBL・SBLにおける育成でより経験点を積んでいくことが可能になります。
4) おわりに
今回の記事では経験点効率という概念を説明したうえで、それを踏まえた育成をするためのツールについても紹介しました。こちらのみでも必要十分な説明をした記事とはしたつもりですが、少し飛ばし気味になってしまった経験点効率表の利用法については実際に使ってみる練習も交えてより詳細に書いた記事も併せて用意しています。もし利用法や育成への活用についてより詳しく知りたいと思われましたらそちらもご一読ください。