$$
\def\bra#1{\mathinner{\left\langle{#1}\right|}}
\def\ket#1{\mathinner{\left|{#1}\right\rangle}}
\def\braket#1#2{\mathinner{\left\langle{#1}\middle|#2\right\rangle}}
$$
はじめに
初めまして、某大学の学部3年生、来年度から量子情報理論の研究室に配属されるS.Kouと申します。
今回から、僕が現在勉強している「量子コンピュータと量子通信」(いわゆるQCQIだったりニールセンチャンだったり)の解答例を共有していきたいと思います。
さしあたって今回からは2章の前半、線形代数の解答例を紹介します!
このようなブログを書くのは初めてなので、読みにくいところが多々あるでしょうがご意見、ご指摘、質問などはtwitterまでお願いします。
本記事の内容は
Michel A. Nielsen, Isaac L. Chuang 共著. 木村達也 訳.
量子コンピュータと量子通信. オーム社. 2004
の内容に準拠しています。
本編
2.1.1 基底と線型独立
演習2.1
\begin{pmatrix}
1 \\
-1
\end{pmatrix}
+
\begin{pmatrix}
1 \\
2
\end{pmatrix}
-
\begin{pmatrix}
2 \\
1
\end{pmatrix}
=\vec{0}
より、これらは線形従属である。
2.1.2 線形オペレータと行列
演習2.2
A=
\begin{pmatrix}
a & b \\
c & d
\end{pmatrix}
とおくと
A\ket{0} =
\begin{pmatrix}
a & b \\
c & d
\end{pmatrix}
\begin{pmatrix}
1\\
0
\end{pmatrix}
=
\begin{pmatrix}
a\\
c
\end{pmatrix}
=\ket{1} \\
A\ket{1} =
\begin{pmatrix}
a & b \\
c & d
\end{pmatrix}
\begin{pmatrix}
0\\
1
\end{pmatrix}
=
\begin{pmatrix}
b\\
d
\end{pmatrix}
=\ket{0} \\
より
A=
\begin{pmatrix}
0 & 1 \\
1 & 0
\end{pmatrix}
たとえば、入出力基底として$\frac{\ket{0}+\ket{1}}{\sqrt{2}},\frac{\ket{0}-\ket{1}}{\sqrt{2}}$を用意して、同様の計算を行うと
A=
\begin{pmatrix}
1 & 0 \\
0 & -1
\end{pmatrix}
が得られる。
演習2.3
オペレータ$A,B$に対して、次の式が成り立つ。
A\ket{v_j}=\sum_i A_{ij}\ket{w_i} \\
B\ket{w_i}=\sum_k B_{ki}\ket{x_k}
上の式に左から$B$を作用させると
\begin{align}
BA\ket{v_j} &= B \left( \sum_i A_{ij}\ket{w_i} \right) \\
&= \sum_i A_{ij}B\ket{w_i} \\
&= \sum_i A_{ij}\sum_k B_{ki}\ket{x_k} \\
&= \sum_{ik} B_{ki}A_{ij}\ket{x_k}
\end{align}
より、線形変換$B,A$の行列表現の行列式になっている。
演習2.4
あるオペレータ$A:V \rightarrow V$とベクトル空間$V$の基底$\{ \ket{v_i} \}$を用いて、入力と出力基底が同じであることから
A\ket{v_j} = \sum_i A_{ij} \ket{v_i} = \ket{v_j}
従って$A_{ij} = \delta_{ij}$より$A=I$である。
あとがき
今回はここまでとなります。
演習自体は割と先まで解けているのでこのシリーズは随時更新していきます!
量子情報の勉強の力になれれば幸いです。
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