はじめに
Google Cloudには、さまざまな監視・ログ管理サービスがあります。それぞれのサービスは特定のニーズに応じた機能を提供し、クラウド環境の運用とセキュリティを最適化します。以下に、主要な監視系サービスの違いとユースケースを紹介します。
1. Google Cloud Operations Suite Audit Logs
Google Cloud Operations Suite Audit Logsは、Google Cloudのリソースに対するロギングサービスです。誰が何をしたのか、いつ何が起こったのか、それが何を意味するのかなどを含む詳細な監査ログを提供します。
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主な機能:
- 管理アクションログ (Admin Activity Logs): リソースの管理操作に関するログ。ユーザーがどのリソースにアクセスし、どのような操作を行ったかを記録します。
- データアクセスログ (Data Access Logs): リソースを読み取ったり書き込んだりする操作をログに記録。誰がいつどのデータにアクセスしたかを追跡できます。
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ユースケース:
- セキュリティ監査: データリソースのセキュリティ監査を実施し、不正アクセスや不要なアクセスを検出。
- コンプライアンス報告: 監査ログを利用して、コンプライアンス報告に必要なデータを提供。
- アクセス管理の追跡: IAMポリシーと組み合わせて、誰がどのリソースにアクセスしたかを確認し、適切なアクセス管理を実現。
2. Google Cloud Operations Suite Monitoring
Google Cloud Operations Suite Monitoringは、Google Cloudのリソースの監視、洞察、アラートを提供するサービスです。インフラストラクチャやアプリケーションのパフォーマンスと可用性を監視しますが、ユーザーの具体的なアクションを追跡するためのものではありません。
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主な機能:
- パフォーマンス監視: インフラストラクチャやアプリケーションのパフォーマンスをリアルタイムで監視。
- アラート設定: 異常が検出された場合にアラートを設定して通知。
- メトリクス収集: カスタムメトリクスを設定し、詳細なパフォーマンスデータを収集。
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ユースケース:
- システムパフォーマンスの最適化: BigQueryクエリスロットの使用状況を監視し、リソースの最適化を図る。
- トラブルシューティング: リソースの異常を早期に検出し、問題の特定と対応を迅速化。
サービスの比較表
サービス名 | 主な機能 | 主なユースケース |
---|---|---|
Google Cloud Operations Suite Audit Logs | 管理アクションログ、データアクセスログ | セキュリティ監査、コンプライアンス報告、アクセス管理の追跡 |
Google Cloud Operations Suite Monitoring | パフォーマンス監視、アラート設定、メトリクス収集 | システムパフォーマンスの最適化、トラブルシューティング |
ユースケースの具体例
シナリオ: スタートアップ企業におけるセキュリティポリシーの導入
あなたのスタートアップ企業は、正式なセキュリティポリシーを導入していません。現在、社内の誰もがGoogle BigQueryに保存されたデータセットにアクセスできます。各チームは自由にサービスを利用することができ、ユースケースを文書化していません。この状況でデータウェアハウスのセキュリティを確保するためには、全員が何をしているのかを確認する必要があります。
対応策:
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Google Cloud Operations Suite Audit Logsを使用してデータアクセスを確認:
- 理由: Audit Logsは、ユーザーがどのデータにアクセスしたかを詳細に記録します。これにより、全員の操作履歴を追跡し、不正アクセスや不要なアクセスを検出できます。
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Google Cloud Operations Suite Monitoringを使用してリソースの使用状況を監視:
- 理由: クエリスロットの使用状況やインフラストラクチャのパフォーマンスを監視し、リソースの最適化と異常の早期検出が可能です。
まとめ
Google Cloud Operations SuiteのAudit LogsとMonitoringは、クラウド環境の監視とセキュリティの確保に不可欠なツールです。これらのサービスを適切に活用することで、システムの安定性と効率性を向上させ、セキュリティポリシーを実現できます。