なんでもかんでも生成AIに任せるな。
生成AIは、創造的・あいまいなタスクに強い。一方、ルールが明確で、入力が同じなら出力も同じ「決定論的」なタスクは、従来のプログラムで処理すべきだ。
にもかかわらず、最近「このタスク、生成AIでやらせればいいんじゃね?」という声をよく聞く。
でも、ちょっと待ってほしい。
生成AIは万能じゃない。従来のプログラミングの方が向いていることも全然ある。
そこを一旦冷静に考えてほしい。
ハンマーしか持たない人間は、ネジすらぶっ叩こうとする
生成AIは確かに便利だ。だが、何にでも使っていいわけじゃない。
決定論的に処理できるものは、Pythonなりで書いた方がいい。生成AIを使う必要はない。
たとえばこんな話があるかもしれない。
「いまExcelマクロで動いてるCOBOLシステム用テストデータ作成ツールを、生成AIでやらせたい」
やめておけ。それで動いているなら、そのまま使えばいい。無理に置き換える必要はない。
「生成AIを使わないと時代遅れな気がして不安」
「生成AIを使えば、今よりもっと良くなるかもしれない」
その気持ちはわかる。
けれど、使うこと自体が目的になった瞬間、それは道具ではなく祈りになる。
Excelマクロが「嫌」?
なにが嫌なのかよくわからないな。
動作要件を満たしていて、業務として成立しているなら、それはそれで「正しい」。どれだけレガシーであっても。
「なんとなく嫌」みたいな雑な感情でシステムを変えようとするな。もし変えるのであれば、まずその“嫌な理由”を言語化しろ。ペインポイントを明確にするところから始めよう。無駄にタスクを増やしてはならない。
保守性に難がある?そういうことも確かにあるかもしれない。ならばPythonでリプレイスすればいい。
生成AIに置き換える理由にはならない。
「元データがExcelだから」?
なるほど。であれば尚のこと現状のExcelマクロのままでいいんじゃないか?
それでもPythonにしたいのであれば、ExcelをCSVやJSONなど、構造化されたデータ形式に変換するところから始めよう。
「変換しようにもセル結合があるから難しい」?
「JSONは印刷に不向き」?
それならまずフローを見直せ。見た目に意味を持たせるな。構造に意味を持たせろ。
どうしてもExcelが欲しいなら、JSONからExcelを作るフローを組め。
生成AIの使い所を間違えるな
どうしても生成AIを使いたいなら、「ツール呼び出し分類器」として使え。
「どの処理を呼び出すか」をAIに任せ、処理自体はPythonなどの決定論的なコードで行う。これが生成AIとの健全な付き合い方だ。
生成AIは便利だ。
だが、道具には使いどころがある。
闇雲に使うな。目的と手段を取り違えるな。
火を盗んだプロメテウスに倣え。だが、火に跪くな。