はじめに
この記事は、ZOZO Advent Calendar 2023 カレンダー シリーズ8(すごい数)の記事です。
みなさま、ふりかえりしてますか?
私は効果的な「ふりかえり」こそが自己組織化チームであるための根幹だと考えています。
今回紹介するKPTAはふりかえりの手法の一つです。この記事では、私が所属いているZOZO検索基盤チームが実践しているKPTA(ケプタと呼んでます)の具体的なやり方を紹介しています。また、ZOZOエンジニアはフルリモートで働いておりますので、本記事でもフルリモートでのKPTAのやり方について紹介しています。
一般的な内容かと思いますが、みなさまのチームの1つの参考程度にご覧いただけると嬉しいです。
まとめ
- ZOZO検索基盤チームではKPTにActionを追加したKPTAを使って定期的なふりかえりをしています
- KPTAでふりかえりを行うことで、より着実な改善に繋げられることが期待できます
- Tryはカジュアルに挙げます
- Actionは5W1Hを意識して洗い出します
- 実施したKPTAは蓄積し次に活かします
- 時間をしっかりと確保し、タイムマネジメントをきちんとしましょう
KPTAとは
KPTAはふりかえりの手法の一つで、
「Keep(維持するべき点)、Problem(問題点)、Try(試すべき新しいアプローチ)、Action(実行する具体的な行動)」
の頭文字を取ったもので、チームの継続的な改善を促すための手法です。有名なふりかえり手法にKPT(ケプト、ケーピーティー)がありますが、そこに「Action」を追加したものになります。
KPTを用いたふりかえりではしばしば「Tryが実施されず改善につながらない」や「実施を意識しすぎてTryを挙げられない」みたいな課題が挙がります。それを解決するためにKPTAでは「Action」という要素をTryとは別に追加します。「Action」が別にあることで上記のような課題の解消が期待できます。
私たちのチームでは以前は以下のような表を使って、KPTを実施していました。
このやり方でもActionを意識したTryはできていた(と思う)のですが、以下のような課題が挙がっていました。
- Try化できていないKeep,Problemがありそう
- Keep, Problemに対するTryの紐付きがわかりづらく抜け漏れがあるかもしれない
- 前にも同じようなTryを挙げた気がする
- 実施できていないTryがあるかもしれない
そこで、オンラインホワイトボードのMiroを使ったスタイルにし、より忠実なKPTAになるようにやり方を変更しました。
MiroでのKPTAを導入した際のポイントとしては、私が前職で慣れ親しんでいた(みんな元気かな...?)ということもありますが、以下のような点です。
- Miroの付箋とConnectionLineを使うことで紐付けを可視化する
- 1つのMiroボードにKPTAをまとめることで見返せるようにする
このやり方に変更してそんなに時間は経っていませんが、実際に改善の取り組みが始まったり、別プロジェクトのミーティングでの議題に挙がり改善につながったりと、効果を感じている最中です。
具体的なKPTAのやり方
私たちが実践しているKPTAのやり方を紹介します。
主催者が準備しておくこと
オンラインボードの準備
私たちはMiroを使っていますが、GoogleSlidesでもいろんなツールを組み合わせても何でもいいと思います。以下のことができるのが望ましいです。
- チーム全員がリアルタイムに編集できること
- 付箋などのオブジェクトを紐付けできること
- 蓄積できること
- タイマーがあること
ボードにKPTAテンプレートを作ります。
- Keep, Problem, Try, Actionのエリア
- メンバーそれぞれの付箋
- 簡単なやり方ガイド
次回KPTA枠の準備
ボード上の前回KPTA枠の隣に、空のKPTA枠を作っておきましょう!
MTGのセットと事前アナウンス
ミーティングをセットし用意したボードのリンクをメンバーに共有します。
このとき、必ずチャット等でアナウンスします。私たちのチームでは、可能であれば予め前回のKPTAを見ておくこと、今回のKeep,Problemを挙げておいてもらうようにお願いしています。時間節約の効果も期待していますが、せっかくのふりかえりの時間なのできちんとふりかえりにフォーカスしてもらうために、気持ちの準備の意味も込めてアナウンスしています。(といいながら、前回のアナウンスは直前にしてしまいました。メンバーの皆さんごめんなさい)
可能であれば、主催者自身が1,2個でいいのでKeep,Problemを挙げておくといいと思います。メンバーが予め挙げるときのハードルが下がります。
具体的なステップ
1. 前回のActionをみる
ふりかえりのネタとして、前回のアクションを見てみましょう。隣にあるので見やすいですね
取り組んだActionが効果的ならKeepへ、忘れていたりしたらProblemへ....
各々みてもいいですし、時間が許すのであれば、チームで一緒に見返すといいと思います。
2. Keep, Problemを挙げる
時間を決めて、"もくもく"とKeepとProblemをメンバーそれぞれが考えて挙げます。名前付きの付箋で自分自身のKeep,Problemを挙げていきます。タイムマネジメント大事です。私たちは5分間Miroのタイマーをかけて実施しています。MiroのタイマーはBGMも流せるのでGoodです。
予め挙げているメンバーもいるかもしれませんが、きちんと時間をとったほうがいいです。忙しいエンジニアこそ仕事の手を一旦止めて、じっくり考える時間を取ることが大切だと思っています。
また、この時にTryが思いついたらTryを書いても大丈夫です
3. みんなで共有する
一人ひとり順番に、KeepとProblemを共有します。 主催者(ファシリテーター)はタイムマネジメントを意識して全員がちゃんと喋れるように配慮しましょう。
聞いているメンバーは、共感した際にリアクションするといいと思います。Miroは付箋に絵文字でリアクションできるので私たちはそれを使ってリアクションを可視化しています。
この時新しいKeep, Problemが思いついたら挙げても大丈夫です。
4. Tryを挙げる
出揃ったKeep,ProblemからTryを挙げていきます。keep,Problemを挙げた時と同様に、時間を決めて、"もくもく"と挙げていきます。主催者(ファシリテーター)はタイマーで区切って時間管理しっかりしましょう。
Keepからは良かったことをさらに良くするためのことを、Problemからは問題を解決するために試したいことを、カジュアルに挙げます。ただ単にやりたいことでもいいと思います。もちろん自分以外のメンバーのKeep,Problemに対してTryを挙げても大丈夫です。この時Keep,ProblemとTryを線で繋ぎます。TryがないKeep,Problemの抜け漏れがわかりやすくなります。
ここでは、どんどん挙げていきましょう。挑戦しようとするひとを止める必要はありません。「〜したい。」「〜と思う。」でもOKです。
5. Tryを共有する
挙がったTryを上から順番に共有していきましょう。思いも一緒に伝えましょう。Slackするほどじゃないんだけど伝えたいんだよな〜みたいなこと言えたりします。
ここでもリアクションは大事です
6. Actionを決める
最後に挙がったTryの中から実際に実施するべきものをチームでピックアップしてActionを作りましょう。みんなで話しながら知恵を出しながら考えます。
このとき大切なのは5W1Hを意識することです。「〇〇する!」だけでは、いつ?誰が?がないので、たぶん何も起こりません。私が...とか、今忙しいこのフェーズが終わったら...とかチームに伝えましょう。チケット管理しているチームはチケット化するとGoodだと思います。私たちのチームでもActionからチケットを作っています。
チームで工夫している点
定期的にやる
良いチームには継続的な改善が不可欠です。私たちのチーム(6名)では週に1回1時間ふりかえりの時間を設けています。
時間をしっかりととる
忙しい時ほどしっかりと手を止めて、ふりかえりに向き合うことで、継続的な改善につながると思っています。
タイムマネージメント超意識
KPTAではActionを出し、チームで改善を促すことを目的の1つにしています。時間がなくて最後のActionの洗い出しがおざなりになっては元も子もないので、きちんとタイムマネジメントをして実施したほうがです。
KPTAを紐づける
前述していますが、Keep, Problem, Try, Actionのつながりを可視化することで、抜け漏れを防ぐ効果が期待できます。
蓄積する
おなじボード(ファイル)にこれまでのKPTAを蓄積しています。KPTAを挙げるときに、以前のものをみることで、「あれこれ前も言ったな」とか、「そういえばこれってどうなってるんだっけ」というのが見やすくなり、より効果的なKPTAになると思います。
私の紹介
人生で初めての記事投稿になりますので、お手柔らかにみていただけるとうれしいです...笑
私はZOZO検索基盤部の岡田と申します。社内ではBBという愛称で呼んでいただいております。
2023年10月にZOZOにJoinさせていただき、未知の領域である検索のエンジニアとして、素晴らしいチームメンバーとともに日々楽しく頑張っています。チームのみなさまにはすぐこのような新しい取り組みも積極的に取り入れていただいてとても嬉しく思っています!
私がこれまでやってきたことは、IoT, Webフロント・バックエンド、モバイル、スクラム、そして検索へ...と広く浅いエンジニアです。
ちなにみ、元認定スクラムマスターです(更新期限切れ)