はじめまして、合同会社AI Forward代表の寺園です。
業務でVPNサーバーが必要になり、Ubuntuで簡単に構築できる方法を探していたところ、openvpn-install
というスクリプトを見つけました。
これが思いのほか手軽だったので、導入手順や使用したVPS(Contabo)のおすすめポイントを紹介します。
Contaboの東京リージョンが高速でおすすめ
まず、VPN用サーバーとしてContaboのVPSを選びました。
選択したのは以下の条件です
- 契約期間: 1ヶ月
- リージョン: Asia (Japan)(東京リージョン)
- 50 GB NVMe, Ubuntu 24.04, 10 TB Out + Unlimited In
- 約5.85 USD(約900円/月)
実は最初、ヨーロッパリージョン(ドイツなど)で1.7 USD安いプランも試してみましたが、通信速度がとても遅く、fast.com
で500kbps程度しか出ませんでした。
speedtest.net
で現地サーバーに接続しても5mbps程度しか出ませんでした。
東京リージョンならその差額分(270円程度)以上の快適さ(検証した時は100mbps前後)が得られます。特別な理由がなければ、少し高くても東京リージョンを選ぶことを強くおすすめします。
Ubuntu 24.04上でのOpenVPN構築手順
ここで使用するのはNyr氏が公開しているopenvpn-install
スクリプトです。
GitHubはこちら → Nyr/openvpn-install
手順概要
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サーバー初期設定
VPSを契約し、付与されたIPアドレスにroot
ユーザーでSSH接続します。※初期設定後はrootユーザーでの直接ログインを無効化し、一般ユーザーでの鍵認証ログインへ切り替えることをおすすめします。
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パッケージ更新
sudo apt update sudo apt upgrade -y
-
スクリプトのダウンロードと実行
wget https://raw.githubusercontent.com/Nyr/openvpn-install/master/openvpn-install.sh chmod +x openvpn-install.sh sudo ./openvpn-install.sh
実行すると対話式で以下のような項目を聞かれますが、基本的にデフォルトで問題ありません
- プロトコル(UDP推奨):UDP
- ポート番号(デフォルト):1194
- DNSサーバー選択(デフォルト):1
- クライアント名(デフォルト):client
これでOpenVPNがセットアップされ、
client.ovpn
といったクライアント設定ファイルが自動生成されます。
クライアントファイル(.ovpn)の取得
サーバー上にできあがったclient.ovpn
ファイルをローカル端末に持ってくる必要があります。
ここでは、2つの方法を紹介します。
方法1:scpコマンドで取得(安全でおすすめ)
scpコマンドを使えば、サーバーから直接ローカル端末にファイルをダウンロードできます。
scp user@example.com:~/client.ovpn .
- example.comはサーバーのIPアドレスまたはドメイン名に置き換えてください。
- userはサーバーのユーザー名です。デフォルトでは
root
が一般的です。
実行後、client.ovpn
がローカルのカレントディレクトリにダウンロードされます。
方法2:一時的なオンラインストレージを活用(楽だけどちょっと危ないかも)
file.ioという無料サービスを使うと、ファイルを一時的にアップロードしてURL経由でダウンロードできます。
このサービスは1回ダウンロードするとファイルが削除される仕組みです。
curl -F "file=@./client.ovpn" https://file.io
実行するとURLが返ってくるので、そのURLをローカル端末で開けばclient.ovpn
を簡単にダウンロードできます。
この方法は、scpを使えない環境で役立ちます。
使用感
- 対話式でセットアップが終わるので、面倒な設定ファイル編集は必要ありません。
- 東京リージョンVPS上だと速度も良好で、動画視聴にも耐えうる快適さでした。
- クライアントを増やしたい場合も、再度スクリプトを実行すれば追加・削除が簡単です。
WireGuard版も存在
同じNyr氏が、WireGuard用のスクリプトも公開しています。
GitHubはこちら → Nyr/wireguard-install
WireGuardはOpenVPNより軽量で高速と評判なので、さらなるパフォーマンスを求める場合は、WireGuard版を試してみるのも良い選択肢です。
注意点
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ポート開放を忘れずに
OpenVPNのデフォルトポート1194/udpをファイアウォールで許可してください。
(sudo ufw allow 1194/udp
などで対応) -
client.ovpn
ファイルは秘密鍵も含まれます
外部に漏れないよう慎重に扱ってください。