Nerves Livebook をカスタマイズし、 Pigpiox を追加する

はじめに

Rspberry Pi 4 で PWM を実行するため、 Nerves Livebook に Pigpiox を追加します

カスタマイズ手順は README にも書いてあります

PWM の利用頻度が高いため、様々な記事から参照しやすいよう、「Nerves Livebook でパッシブブザーを演奏しドレミの歌を奏でる」の記事から独立させました

PWM とは

Pulse Width Modulation = パルス幅変調

電力の ON と OFF を交互に繰り返し、 ON になっている期間と OFF になっている期間の割合を調整することで、出力される電力を制御します

@mnishiguchi さんの記事で分かりやすく解説しています

以下の記事で PWM を使用しています

背景

Pigpiox があれば簡単に PWM を実行できます

サンプルコードも公開されています

しかし、デフォルトの Raspberry Pi 4 用 Nerves Livebook ファームウェアには Pigpiox が含まれていません

Nerves Livebook にインストールされているモジュール

Raspberry Pi 0 〜 3 の場合は Nerves Livebook のファームウェアが Pigpiox インストール済のものになっています

しかし、 Raspberry Pi 4 では Pigpiox がインストールされていません

以下の箇所を参照することで、どのファームウェアに何がインストールされているか確認できます

...
  @rpi_targets [:rpi, :rpi0, :rpi2, :rpi3, :rpi3a, :rpi4, :rpi0_2, :rpi5]
  @all_targets @rpi_targets ++
                 [:bbb, :osd32mp1, :x86_64, :npi_imx6ull, :grisp2, :mangopi_mq_pro]

  # Libraries that use MMAL on the Raspberry Pi won't work with the Raspberry
  # Pi 4. The Raspberry Pi 4 uses DRM and libcamera.
  @rpi_mmal_targets [:rpi, :rpi0, :rpi2, :rpi3, :rpi3a]
...
      {:pigpiox, "~> 0.1", targets: @rpi_mmal_targets},
...

targets が @rpi_mmal_targets となっており、 @rpi_mmal_targets には :rpi4 が含まれていません

PWM 対応ピン

Raspberry Pi 4 であっても GPIO12 と GPIO13 は PWM に対応しています

そのため、 Pigpiox をインストールした上で GPIO12 または GPIO13 を指定すれば PWM が実行できます

それ以外のピンを指定した場合は以下のエラーが返ってきます

{:error, :not_hpwm_gpio}

Nerves Livebook の Mix.install 未サポート

Nerves Livebook は Mix.install をサポートしていないため、 必要なモジュールはファームウェアに書き込む時点でインストール済にしておく必要があります

Nerves Livebook 上で Mix.install を実行すると以下のようなエラーが出ます

** (RuntimeError) Mix.install/2 is not supported on Nerves Livebook (yet!).

All is not lost, but you will have to rebuild the Nerves Livebook firmware.
Go to https://github.com/nerves-livebook/nerves_livebook and clone the repository.
Add :pigpiox to the dependencies listed in the `mix.exs` file, build,
and then try again.

Nerves Livebook のカスタマイズ手順

Nerves Livebook のクローン

GitHub からソースコードを取得します

git clone https://github.com/nerves-livebook/nerves_livebook.git
cd nerves_livebook

ビルド環境の構築

ルートディレクトリーにある .tool-versions で Erlang と Elixir のバージョンを指定しています

erlang 26.2.5
elixir 1.16.3-otp-26

asdf を使用している場合、以下のコマンドを実行すれば簡単にインストール可能です

asdf install

Nerves.Bootstrap も必要になるのでインストールしておきます

mix archive.install hex nerves_bootstrap

SquashFS も mix burn で要求されるためインストールします

brew install squashfs

依存モジュールの編集

mix.exs の以下の箇所を編集します

-     {:pigpiox, "~> 0.1", targets: @rpi_mmal_targets},
+     {:pigpiox, "~> 0.1", targets: @all_targets},

ファームウェアのビルド

デバイスと環境を指定します

export MIX_TARGET=rpi4
export MIX_ENV=prod

依存モジュールを取得します

mix deps.get

ファームウェアをビルドします

mix firmware

SD カードへのファームウェア書込み

WiFi の接続情報を指定して SD カードにファームウェアを書き込みます

NERVES_WIFI_SSID='<WiFi の SSID>' NERVES_WIFI_PASSPHRASE='<WiFi の パスワード>' mix burn

まとめ

これで Pigpiox 入りの Nerves Livebook が出来ました

あとはこれまでと同じく、 SD カードを Raspberry Pi に差し込んで起動し、ブラウザから nerves.local にアクセスするだけです