はじめに
昨年11月にリリースされ、ハンズオン祭でも紹介されていた GPTs を今更ながら触ったので、使い方を紹介します!
GPTs とは
GPTs are a new way for anyone to create a tailored version of ChatGPT to be more helpful in their daily life, at specific tasks, at work, or at home—and then share that creation with others.
和訳
GPTs は、日常生活や特定のタスク、仕事、家庭でより役立つようにChatGPTをカスタマイズできる新しい方法です。そして、その作成物を他の人と共有できます。
ざっくりいうと、 生成AIを使ったサービスをサクッと作れて公開できてしまう機能 です
ノーコードで = プログラミングなしに、生成 AI サービスが作れてしまう 、恐ろしい機能と言えます
ただし、少なくとも現状では自分の GPTs を有償化するような機能はないため、あくまでも 無償のお役立ちツールとして公開するもの 、という点に注意してください
GPTs は Plus プラン以上で利用可能 です
Team プランで契約した場合、同じチーム内の人だけに GPTs を公開できるため、社内ツールとして使用できる という利点もあります
ChatGPT の契約プラン
ChatGPT のプランは4つです(2024年2月時点)
企業で使う場合「プロンプトの内容が学習されない」ということが重要です
以前は企業向けプランが Enterprise プランしかなく、問い合わせると中々の金額だったので諦めていました(代わりにAOAIを使用)
2024年1月に追加された Team プランが プロンプトの内容が学習されず、リーズナブルかつ GPTs が利用できるので、企業で使うには最適です
Free
- 料金:
$0
- GPT-3.5 が使える
- Web, iOS Android から使える
Plus
- 料金: 月額
$20
- Free の機能全てが使える
- GPT-4 が使える
- GPTs が使える
- DALL·E(画像生成)や高度なデータ分析などが使える
Team
- 料金: 月額
$25
(年払い)または月額$30
(月払い) - Plus の機能全てが使える
- ワークスペースの管理ができる
- ワークスペースないだけで GPTs が共有できる
- プロンプトの内容が学習されない
Enterprise
- 料金: 要お問合せ
- Team の機能全てが使える
- アクセスが高速になる
- 優先的にサポートされる
- SAML SSO に対応
- プロンプトの内容が学習されない
事前準備
ChatGPT のアカウントを作り、 Plus プランか Team プランで契約してください
業務で使う場合や企業で契約する場合、少し高くなりますが Team プランで契約しましょう
Plus プラン以上で契約していれば左メニューに「GPTを探索する」(言語設定を英語にしている場合は「Explore GPTs」)が表示されているので、クリックします
GPTs の画面が表示されます
この画面から他の人が公開した GPTs を検索して使うことができます
右上の「+GPTを作成する」をクリックします
左側に GPT を作るためのフォーム、右側に作成中の GPT のプレビューが表示されています
左側の「Create」タブでは「GPT Builder」とチャットしながら GPT を作ることができます
しかし、デフォルトが英語で使いづらいため、「Configure」タブの方を開きます
この項目に入力していくだけで、生成AIツールが作れます
翻訳ツールの作成
まずは一番単純な翻訳ツールを作ります
英訳ツールの作成
以下の手順を実施してください
-
「Name」に「英訳」と入力する
-
「Description」に「日本語を全て英語に翻訳します」と入力する
-
「Instruction」に以下の内容を入力する
入力された日本語を全て英語に翻訳してください
-
「+」アイコンをクリックする
-
「Use DALL·E」をクリックし、「Name」や「Description」に沿ったアイコンを生成してもらう
アイコン画像は違う画像になります
この状態で右側のプレビューに「こんにちは」と送ってみましょう
「Hello」と英訳されて返ってきます
無事、英訳ツールができました
右上の保存ボタンをクリックし、公開範囲を選んで「確認」をクリックしましょう
和訳ツールの作成
英訳ツールと同様の手順で、「Instruction」を以下のようにすれば和訳ツールが作成できます
入力された英語を全て日本語に翻訳してください
直訳ではなく、意味がわかりやすいように意訳をしてください
2行目の文言は、そのままだと直訳すぎたので追加しました
用途によって調整してください
左上のドロップダウンから「GPTをカスタマイズ」をクリックすることで、作成したGPTを編集可能です
ただし、変更が反映されるまでには時間がかかる場合があります
保存しても動きに変化がない場合、気長に待ちましょう
キャラクター生成
続いて画像生成(DALL·E)の機能を活かして、キャラクター生成ツールを作成してみましょう
「Instruction」を以下のようにしてください
入力された画像とテキストを元に、以下の処理を行なってください
- マスコットキャラクターの名前を提案する
- マスコットキャラクターのプロフィールを作成する
- 好きな食べ物
- 好きな言葉
- 好きな本
- マスコットキャラクターの画像を生成する
- キャラクターから挨拶
ユーザーへの応答は全て日本語にしてください
プロフィールの項目などは好きなものに変更しましょう
最終行の ユーザーへの応答は全て日本語にしてください
を指定することで、確実に日本語を使うよう指定しています
そして、 必ず「Capabilities」で「DALL·E Image Generation」にチェックを入れてください
(デフォルトでチェックが入っているので問題ないと思いますが)
以下のように、写真と言葉からキャラクターを作ってくれます
財務分析ツール
続いて Knowledge を活かしたツールとして、財務分析ツールを作ってみましょう
Knowledge 用データの準備
以下の Web サイトから株式会社オーイーシーの電子広告(決算資料)が PDF形式でダウンロードできます
直近5年分をダウンロードしておきます
Knowledge では PDF 以外にも Excel や CSV 、HTML なども読んでくれます
財務分析 GPT の作成
GPT を以下の内容で作成してください
-
Instruction
グラフは Python の Matplotlib を使って描画します
日本語フォントは現状では使えず文字化けするため、グラフ内では英語を使うように支持しますKnowledgeのPDFファイルは株式会社オーイーシーの決算情報です 株式会社オーイーシーの決算情報を元に質問に答えてください ユーザーへの応答は全て日本語で行なってください ただし、グラフを出力する場合、グラフ内の文字は全て英語に翻訳してください
-
Knowledge
ダウンロードしておいたPDFファイルをアップロード
-
Capabilities
「Code Interpreter」にチェックを入れる
出来上がった GPT は PDF の内容を参照し、質問に答えてくれます
「Code Interpreter」にチェックを入れないと、 Knowledge のデータを参照できません
Knowledge データのグラフ化、表形式表示
以下は「売上高と売上原価の推移をグラフと表で示してください」と入力した場合の結果です
GPT の出力末尾にある [>_]
のアイコンをクリックすると、以下のように Python コードが表示されます
ChatGPT が内部的に Python コードを生成、実行することでグラフ出力していたことがわかります
Knowledge データを使った計算、分析
もっと難しい質問として「自己資本比率の推移を表とグラフで示し、傾向を分析してください」と入力してみます
Knowledge にアップロードした PDF には「自己資本比率」の項目はありませんが、「純資産合計」と「資産合計」から正確に計算しています
自己資本比率の計算式、その意味合いまで正しく理解できているようです
Qiita いいね数取得
最後に Actions を活かした例です(実用性はないですが)
Actions を利用すると、 GPT が API を呼び出してくれます
今回は Qiita のいいね数を取得してみます
Qiita API のアクセストークン発行
Qiita API のアクセストークンを発行しておきます
発行手順はこちらの記事を参考にしてください
Qiita API の定義取得
Actions で API を呼び出すためには、 OpenAPI 仕様の定義(yml や json 形式で API の仕様を定義したもの)が必要です
残念ながら Qiita API は定義ファイルを公開していないので、自作する必要があります
しかし、自作するのはすごく面倒なので ChatGPT に生成してもらいます
Qiita API のドキュメントから「いいね」用 API のパス、レスポンス等の記述をコピーします
ChatGPT に以下のように指示します
以下の情報を元に OpenAPI の yml ファイルを生成してください
GET /api/v2/items/:item_id/likes HTTP/1.1
Host: api.example.com
HTTP/1.1 200
Content-Type: application/json
[
{
"created_at": "2000-01-01T00:00:00+00:00",
"user": {
"description": "Hello, world.",
"facebook_id": "qiita",
"followees_count": 100,
"followers_count": 200,
"github_login_name": "qiitan",
"id": "qiita",
"items_count": 300,
"linkedin_id": "qiita",
"location": "Tokyo, Japan",
"name": "Qiita キータ",
"organization": "Qiita Inc.",
"permanent_id": 1,
"profile_image_url": "https://s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/qiita-image-store/0/88/ccf90b557a406157dbb9d2d7e543dae384dbb561/large.png?1575443439",
"team_only": false,
"twitter_screen_name": "qiita",
"website_url": "https://qiita.com"
}
}
]
すると、 ChatGPT は以下のように yml を生成してくれます
openapi: 3.0.0
info:
title: Example API
version: '1.0'
servers:
- url: https://api.example.com
paths:
/api/v2/items/{item_id}/likes:
get:
summary: Get likes for a specific item
operationId: getItemLikes
parameters:
- name: item_id
in: path
required: true
schema:
type: string
description: The ID of the item to retrieve likes for
responses:
'200':
description: A list of likes for the item
content:
application/json:
schema:
type: array
items:
type: object
properties:
created_at:
type: string
format: date-time
user:
type: object
properties:
description:
type: string
facebook_id:
type: string
followees_count:
type: integer
followers_count:
type: integer
github_login_name:
type: string
id:
type: string
items_count:
type: integer
linkedin_id:
type: string
location:
type: string
name:
type: string
organization:
type: string
permanent_id:
type: integer
profile_image_url:
type: string
team_only:
type: boolean
twitter_screen_name:
type: string
website_url:
type: string
servers.url
と paths
のパスを修正します
openapi: 3.0.0
info:
title: Example API
version: '1.0'
servers:
- url: https://qiita.com/api/v2
paths:
/items/{item_id}/likes:
...
これで OpenAPI 定義が準備できました
Qiita いいね数取得 GPT の作成
-
Instruction
入力された記事IDを元に Qiita API から「いいね」数を取得してください
-
Actions
左下の「新しいアクションを作成」をクリック
Actions の追加画面が表示されます
「Authentication」の下「None」をクリックしましょう「Authentication」モーダルが開きます
以下のように入力してから「Save」をクリックします- 「Authentication Type」: API Key
- API Key: Qiita API 用アクセストークン
- Auth Type: Bearer
「Schema」に OpenAPI の yml を入力します
GPT を保存して記事IDを入力してみましょう
初回は API へのアクセス許可を求めてきます
「許可」または「常に許可する」をクリックします
許可後、APIを呼び出していいね件数を取得してくれます
まとめ
GPTs を使うことで、ノーコードで生成 AI ツールが作成できました
思いついたアイデアを素早く形にするには最適のサービスではないでしょうか
今後も色々試してみたいと思います