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社内勉強会を立ち上げて約4年運営した結果

Last updated at Posted at 2023-12-20

はじめに

お疲れ様です。
株式会社オーイーシー、DX推進部 兼 経営戦略室 兼 経営管理部の若林です。

肩書の通り、私の主戦場は開発現場ですが、それ以外にも色々とやっています。

その中で今日話したいのは、社内勉強会についてです。

いわゆる「研修」とは別に、社内有志が企画、参加してスキルアップを図るものです。
当社では「DX塾」と銘打って定期開催しています。

DX塾これまでの軌跡.png

本記事では社内勉強会で取り上げたテーマ、社内勉強会で得られたものを振り返っていきます。

社内勉強会の立ち上げ

遡ること約4年前、 2020年の1月に定期的な社内勉強会を立ち上げました。

当時はまだ「DX推進 」で、私も一介のSEでした。

私が長く派遣や準委任で働いており、 社外で得たスキル社外で感じた文化 を多く持っていたため、これを社内に展開したい、という思いが最初のきっかけです。

当時の上長(今も同じですが)に相談し、まずは事業部内を対象として企画を開始しました。
当時の同僚たちは企画からサポートしてくれて、会場のセッティングからアンケートの作成まで、様々な形で協力してもらっています。

第1回のテーマは「Python のすすめ」です。
私は幸いなことに AI 関連の業務をしていたこともあり、 Python を日々書いていました。
当時、社内に Python 利用者はまだほとんどおらず、しかし今後需要が間違いなく増える Python は、勉強会のテーマとして最適でした。
内容はPython の環境構築、基本的な使い方までのハンズオンです。

あくまでも「 有志の自己研鑽を目的とした勉強会 」として参加者を募りました。
結果、10名の参加者でハンズオンを実施しました。

当時のアンケート結果は以下のようになっています(一部抜粋)。

スクリーンショット 2023-12-18 15.46.09.png

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当時の私がまだまだ未熟であり(今もですが)、いまいち理解が進んでいなかったり、進行が走っていたことが伺えます。

スクリーンショット 2023-12-18 15.49.16.png

今後は私以外のメンバーにも講師をしてもらう想定だったので、技術以外にプレゼンや資料作成など、次回以降には多様なテーマを挙げています。

当時業務で使っていた Elm や Ansible が懐かしいですね。

続けて事業部内で第2回「Docker・Ansible のすすめ」を開催して更にフィードバックを集めました。

その後、2020年5月、「DX塾」の名前を冠して全社を対象に本格始動します。

開催形式

グループウェアでの掲示

社内で使っているグループウェアの掲示板に案内を出します

毎回できるだけ興味を引くように一生懸命に考えていますが、やはりテーマによって参加者数を増やすのが難しいときはあります

掲示例

# 【DX塾 第48回】 CodePen で学ぶスタイルシート実践

25年前、日本のインターネット人口普及率はわずか 9.2 % でした。

それが今や 82.9 % にまで達し、もはや誰もがいつでもWebを見ている、と言っても過言ではありません。
あらゆる企業がWebサイトを持ち、多くのサービスはWebで提供されています。 
インターネットが滅びない限り、Webを支える言語の3本柱が廃れてしまうことはないでしょう。

これらの言語は基礎でありながら、習得すれば一生使い続けられるものです。
- HTML
- CSS
- JavaScript

今回はWebの外観を定義するCSS=スタイルシートをハンズオンで学んでいきます。
CodePen というサービスを使って、ブラウザ上で実際にコードを書きながらWebページを動かします。

https://codepen.io/

## 講義の概要

- CSS とは
- Selector
- Property
- Stylelint
- 開発者ツール

## 資料

[CodePen で学ぶスタイルシート実践 - Qiita](https://qiita.com/RyoWakabayashi/items/fd0d6813e4b0f3763d99)

内容的には単なる CSS の入門ハンズオンですが、読む人を引き込むために毎回頭を捻ってます

オンライン

当初はオフライン+オンラインという形で計画していましたが、すぐにコロナ対策の3密回避が必須になり、オンライン開催が続きました

ツールとしては Zoom を使っています

コロナ禍が落ち着いてきた頃には「クラウドカメラを皆で触ってみる回」なども実施しましたが、現在も基本的にはオンラインで実施しています

オンラインのため、毎回以下の注意文言を冒頭で喋っています

# Web セミナーでの案内

- 基本的に画面共有を見る
  - ツールの説明
    - ミュート
    - 反応
    - チャット
    - ビデオは ON (反応を見たい)
  - インストールなどの作業をする場合、自分の画面でリンクを辿る
- 社内向けの勉強会
  - 録画はしない
    - アーカイブのため、顔が映らない状態で録画する
  - SNS に流さない
- ツールやサービスを業務で使用する場合は社内ルールに則る

時間は基本的に 1 時間ですが、軽い内容のときは 30 分の場合もあります

動画のアーカイブ配信

社内には色々な部署、色々な人がいます
時短勤務の人もいれば日中客先の人もいるので、リアルタイムでの参加が難しいケースもあります

そのため、オンライン配信時には必ず録画し、後日動画を社内公開するようにしています

アンケート

フィードバックと講師のモチベーション維持のため、毎回アンケートを取っています

ツールとしては Google Form を利用しています

アンケート項目は以下のものです

  • 所属
  • 氏名
  • 参加してみてどのくらい満足されましたか
    1(まったく満足しなかった) 〜 5(非常に満足した)
  • 内容は理解できましたか?
    1(まったく理解できなかった) 〜 5(よく理解できた)
  • 進行のスピードはいかがでしたか?
    1(おそすぎる) 〜 5(はやすぎる)
  • 講義内容について、感想やご意見をお聞かせください
  • 今後、とりあげて欲しいテーマがあればご意見ください

これらに毎回テーマに沿った質問を加えています

自分でも内容を詰め込みすぎたな、と反省する時は理解度やスピードの項目に見事に反映されます

講師の応募

半分くらいは私が講師を務めますが、残り半分は他の人に頼みます

多くの場合は同じ部署のメンバーに助けてもらいますが、他部署の方が講師を務めてくれることもあります

財務の方が「貸借対照表の見方」や「決算資料の見方」を説明してくれた回はかなり好評でした

最近では自治体部門の方が「ガバメントクラウド」の説明をしてくれて、非常に参加者の多い回になりました

開催時間帯

当初は完全に有志の勉強会だったので、業務時間外に実施していました

しかし、勉強会自体が完全に定着し、社内でも Python や AWS 、 GitHub など、勉強会で取り上げた技術の利用者が増えてきた結果、会社公認の扱いになりました

勉強会への参加時間を業務時間として見做せるようになった結果、現在は業務時間内に実施しています

内定者の招待

会社公認になったこともあり、人事部と連携して内定者も勉強会に招待するようになりました

冒頭の画像も、人事部の方が作ってくれたものです

DX塾これまでの軌跡.png

内定者への案内用に毎回素敵な画像を作ってくれるのでモチベーションが上がります

DX塾TOP(フレームワーク紹介).png

DX塾TOP(Svelteのすすめ).png

DX塾TOP(Figma).png

DX塾TOP(PMBOK入門).png

テーマの振り返り

Pre も含めると 78 回実施しています

番外編「DX塾+」(5回)、「DX塾EX」(1回)、「DX塾Deep」(7回)も合わせると、4年間で91回になりました

開催回 開催月 テーマ アンケート件数
Pre 1 2020/01 Python のすすめ 8
Pre 2 2020/02 Docker・Ansible のすすめ 6
1 2020/05 現代的Web開発の基礎 15
2 2020/06 デザインスプリントのすすめ 9
3 2020/06 AWSのすすめ 16
4 2020/07 見やすいプレゼン資料作成のすすめ 24
5 2020/07 ゼロから始めるAI構築 23
6 2020/08 Nuxt.jsのすゝめ 11
7 2020/08 SEの知らないIT英語の世界 7
8 2020/09 新規事業企画のすすめ 8
9 2020/09 Docker:高速環境構築のすすめ 4
10 2020/10 お客目線の資料作成術のすすめ 15
11 2020/11 Terraformのすすめ 1
12 2020/11 OOUI のすすめ 6
13 2020/12 Slack のすすめ 16
14 2021/01 アイデアソンのすすめ 22
15 2021/01 E資格対策 2
16 2021/02 Lintのすすめ 3
17 2021/03 テレワークのすすめ 6
18 2021/04 DevOpsのすすめ 4
19 2021/04 開発言語紹介 4
20 2021/05 FACTFULNESS 20
21 2021/06 ビジュアルシンキング のすすめ 26
22 2021/06 データサイエンス 12
23 2021/06 貸借対照表(BS)の見方 63
24 2021/07 Markdownのすすめ 17
25 2021/07 draw.io のすすめ 17
26 2021/08 量子コンピュータ入門 15
27 2021/08 GitHub実践 7
28 2021/08 第1感
〜最初の2秒のなんとなくが正しい〜
10
29 2021/09 はじめてのマーケティング 11
30 2021/10 iOS開発 11
31 2021/10 Linux のすすめ 23
32 2021/11 リーダブルコード 12
33 2021/11 Python その1 20
34 2021/11 認知バイアス 11
35 2021/12 達人プログラマー 10
36 2021/12 事故から学ぶマネジメント 7
37 2022/01 論文のすゝめ 8
38 2022/02 Python その2 5
39 2022/03 ショートカットキー講座 9
40 2022/03 事業構想へのいざない 12
41 2022/04 アジャイル開発のすすめ 12
42 2022/05 クラウド録画カメラ 5
43 2022/05 Elixir のすすめ 6
44 2022/05 ハッカーと画家 6
45 2022/06 シェルスクリプトのすすめ 4
46 2022/07 ロジカルライティング 5
47 2022/07 2021年度オーイーシー決算説明について 15
48 2022/07 CodePen で学ぶスタイルシート実践 29
49 2022/08 PlayWright のすすめ 27
50 2022/08 CodePen で学ぶスタイルシート実践
第2回
13
51 2022/09 商品券事業サーバレス事例 23
52 2022/09 CodePen で学ぶSCSS実践 4
53 2022/10 ピクサー流 創造するちから 47
54 2022/10 Vim入門 9
55 2022/12 テクノロジトップトレンド2023 13
56 2022/12 自作PCのすゝめ 11
57 2023/01 英語資格のすすめ 7
58 2023/01 衛星データについて 8
59 2023/02 Atomic Habits 16
60 2023/03 リファクタリング・ウェットウェア 11
61 2023/03 今年度の振り返りと来年度の予定 -
62 2023/04 ディズニー流の育て方 35
63 2023/04 技術コミュニティーのすすめ 1
64 2023/05 出向業務のフィードバック 32
65 2023/05 JS、CSSフレームワーク紹介 17
66 2023/06 Range 26
67 2023/06 プレゼンテーションスキルアップ 25
68 2023/07 Svelteのすすめ 15
69 2023/07 GitHub Copilot のすすめ 23
70 2023/08 あなたの知らない
ノーコードデータマイニングの世界
18
71 2023/08 生成AIボット -
72 2023/09 出向業務のフィードバック2 17
73 2023/10 クラウド利用料を把握して上手に使おう -
74 2023/10 Figma でデザイン、そのままデモ、
そのまま実装!
31
75 2023/11 PMBOK入門 41
76 2023/12 ガバメントクラウドの概要とAWS 34

特定の技術に絞ったテーマだとやはり参加者が少なくなり、書籍紹介などでは参加者数が多くなっています
(参加者数はアンケート数よりは多いです)

いくつか所感

  • まだ社内で AWS が浸透していない時点での Terraform はかなり厳しかった
  • 各種 Linter の紹介は改めて最新版をやりたい
  • CodePen はフロントエンドテーマのときに便利
  • Elixir はハンズオンしたけど、内容詰め込みすぎていた(いつかリベンジ)
  • 自分以外の多くの人に講師をしてもらったので、かなり多様性が出て良かった

勉強会を開催して得たもの

度胸

まずは度胸です

私はそもそも喋るのが得意な人間ではありません

できることなら、ずっとすみっこでくらしていたい、くらいには人前に出るのも苦手です

しかし勉強会で幾度となく講師役を務めた結果、かなり人前で喋れるようになったと思います(少なくとも自分としては)

社内勉強会で慣れた結果、 Elixir のコミュニティでも LT を(下手でも)多数こなすことができました

Elixir の国際カンファレンスにも英語で登壇し、かなり良い経験ができたと思います

AWS のコミュニティ JAWS-UG でも JAWS FESTA 2023 in Kyushu で登壇することができました

これだけ登壇できたのも、とにかく社内勉強会で場数を踏んで度胸を付けたお陰です

参加者が極端に少なかったり、やりたいことが多すぎて1時間を超えてしまったり、ピンチも多かったですが、その分メンタルの耐久力も上がったと感じます

技術や思想への理解

実のところ、勉強会のテーマを決める時点では「自分でもよく理解できていない」テーマを選ぶことが多々あります
しかし、勉強会開催のために 期限付き で資料を作っていくと、どんどん理解が進んでいきます
これは自分一人で勉強するよりも何倍もの効果があります
特に自分で期限を決めてやるのが効果的だと感じます
その日に「勉強会を開く」と宣言した以上、そこまでに説明できるようになっておかねばならないのです

自分が知っているつもりの技術に関しても、改めて「人に教えるために調べる」と新しい気づきだらけで面白いです

本の紹介も何度もしましたが、自分で読むだけの時より何倍も読み込むことになるので、「読んだ」実感が強いです

アウトプットする癖もついたので、 Qiita の記事もどんどん増えています

社内での知名度

勉強会でほぼ毎月しゃべっているので、社内での知名度はかなり上がったと思います

そのおかけで「AIといえば、、、」とか「クラウドといえば、、、」という感じで相談に来てくれる人も多くなりました

そこから新しいビジネスや社内の取り組み、部署間の連携などが生まれるので、とにかく「社内に名の知れた奴が居る」状況は「DX推進」の空気を作るのに有利です

活動を評価される機会も増え、その結果、経営戦略や経営管理にも関わることができています

新入社員研修でも講師をする機会を得られたのは嬉しいです

成長を見る機会

新人たちの吸収力は半端ないです

教えれば教えた以上に成長する子もいます

技術的にはどんどん後輩に追い抜かれている自覚があります

でもそれこそが教育の醍醐味です

もちろん、まだまだ背中を見せていくつもりなので、自分自身も現場で新しい技術を身につけ続けるつもりです

まとめ

合計すればもうすぐ 100 の大台が見えるほど続けてきたのかと思うと、我ながらよくやったと思います

多くの方々に協力してもらい、講師も務めてもらいながら、ここまで続けることができました

今後は社外コミュニティでの活動にも力を入れて、大分県のエンジニアを応援していきたいと考えています

というわけで、年明け 2024年1月20日(土)14:00から、 JAWS-UG 大分の勉強会を開催します

AWS のサーバレスを無料で学べる機会なので、大分県の方も、近県の方も、遠隔地の方も海外の方も、是非是非ご参加ください!

また、翌日 2024年1月21日(日)には大分県で6年ぶりとなる「ハンズオン祭り」が開催されます

私も「AWSのAIサービスをお手軽に使ってみよう」というテーマで登壇します
以下の記事でやった内容をハンズオンしていきます

大分のITを盛り上げていきましょう!

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