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自社を AWS セレクトティアサービスパートナーにするためにやったこと

Last updated at Posted at 2024-04-08

はじめに

先日、弊社株式会社オーイーシーが AWS セレクトティアサービスパートナーに認定されました

認定までにやったことをまとめておきます

AWS セレクトティアサービスパートナーとは

AWS セレクトティアサービスパートナーは、トレーニングと認証を受けた人員とともに、カスタマーエクスペリエンスを提供するパートナーです。

AWS パートナーとして、以下に掲げる条件を満たした企業・組織が認定されます

  • 知識の要件
    • AWS Accreditation
      • Technical 2名
      • Buisiness 2名
    • AWS Certification
      • 基礎 2名
      • テクニカル 2名
  • 経験の要件
    • ローンチ済みオポチュニティ(案件) 数: 3件
    • 月間 AWS 利用料 (MRR): $1,500
  • APN 料金
    • 年間 $2,500

筆者の立場

所属は「DX 推進部 兼 経営戦略室 兼 経営管理部」です

基本的には DX 推進部としてシステム開発をやっています
直近では AWS 上に Phoenix LiveView で Web サービスを作っています(インフラからフロントエンドまでフルスタック)
とにかく楽をしたいので、運用の手間を圧倒的に小さくできるサーバーレスやマネージドの仕組みを長く使っています

経営戦略室ではエンジニア視点で「こういうことやっていこう」という提案と調査・検証をやっています
経営管理部では新しい施策を社内の仕組み(マネジメントシステム等)に組み込んでいます
兼務は大変である一方、現場と企画と事務方の全てにまたがって動けるので便利です

また、個人的に AWS のユーザー会である JAWS の大分支部で活動しています
エンジニアとしては「運用が楽な」 AWS が広まると助かります
また、コミュニティの力で大分のエンジニアを盛り上げていきたいと考えています

会社としては、これから DX 人財を増やしていかなければなりません
弊社は昭和41年から半世紀以上、地元大分を中心として SIer を続けてきましたが、これまでのビジネスだけでなく、 AI や宇宙など、新しいことにも挑戦しています

まさに今、CI構築など、新しいオーイーシーを作ろうとしているところです

資格一時金制度の見直し

昨年度の早い段階で資格一時金制度の対象を大幅に見直しました

これまでは基本的に IPA(情報処理推進機構) の情報処理技術者試験を対象としていましたが、クラウドやAI、データサイエンス関連の資格まで対象を拡げています(随時更新)

会社としても資格の見直しを進めようとしていたところなので、対象資格の案を出してすんなり承認されました

これにより、 2023 年度に資格取得者が一気に増えました

  • AWS Certified Cloud Practitioner: 15名増加
  • AWS Certified Solutions Architect - Associate : 3名増加

それ以上の Specialty や Professional を取得するメンバーもおり、ついには全認定資格保持者も登場しました

AWS には全認定資格保持者を表彰するプログラムがあります

このプログラムの応募要件に以下のものが含まれています

サービスパスおよびトレーニングパスで AWS セレクトティア以上のパートナー、もしくは、ソフトウェアパス Confirmed ステージ以上のパートナーに所属しているエンジニア

全認定資格保持者となった社員に表彰を受けてもらうためには、当社がセレクトティアになるしかありません

このことも私自身の大きなモチベーションとなり、社内稟議の強力な後押しになりました

個人が APN アカウントを作るとき、認定情報を組織に共有する設定をしておきましょう

AWS Partner Central から組織内の保有資格一覧を表示できますが、認定情報の共有がオフになっている個人がいた場合、誰なのかが見えなくなります

認定資格は3年更新なので気をつけましょう

(私個人はちゃんと更新していなかったので失効しています)

新社屋での JAWS イベント開催

今年、株式会社オーイーシーは新社屋を建築しました

せっかくの新社屋なので、 JAWS のイベントに使おうと考えました

イベントの様子はこちら

私自身、エンジニアとしては AWS を日常的に使っていますが、この時点では「会社としての AWS との関係」を正直よくわかっていませんでした

このイベントをきっかけに、パートナーシップの強化に向けて動き出すことになります

社内、パートナーとの認識合わせ

既にダイワボウ情報システム(以下、 DIS)さんと AWS Distribution Seller の契約をしていました

今までは営業部門が DIS さんとやり取りをしていたこともあり、私自身は「どういう契約でどういうパートナーになっているのか」きちんと理解できていませんでした
また、各部が個別に AWS アカウントを作っていたり、全社的な共通認識ができていない状態でした

そのため、まずは現状整理のため、前述のイベントを契機として DIS 、 AWS 、 oec の 3 社ミーティングをすることにしました
ミーティングでは社内の営業、開発、財務、人事、管理のメンバーを集め、現状の整理、パートナーのメリット、今後の進め方について話をしました

この時点で「どういうメリットがあるのか」「何をしなければならないのか」を明確にできました

  • 既に DIS さん経由でパートナーの登録はしている
  • 営業部門も将来的にセレクトティアとして登録しようとしていた
  • 既に資格者数は条件をクリアしている
  • 案件登録が必要

管理部門含め社内で共通認識を持つことができたので、その後もスムーズに進められたと思います

AWS Accreditation

セレクトティアには AWS Accreditation のテクニカル、ビジネスの取得者がそれぞれ2名必要です

AWS Skill Builder から 以下のデジタルコースを受講し、最後の試験に合格することで取得できます

  • AWS Partner: Accreditation (Technical)
  • AWS Partner: Sales Accreditation (Business)

当社の場合、既に Public Sector パートナーになっていたため、この要件は満たしていました
(営業メンバーが公共部門ユーザーへ販売するために進めてくれていました)

私個人もつい最近 Accreditation (Technical) を取得しました
日本語版があり、デジタルコースの内容も良いので、受講しておいて損はないです

財務部との調整

3社ミーティング後に財務部と打ち合わせをしました

ミーティングでパートナー年会費やクレジットの扱いについて具体化できていたので、財務部と「経費としてどう処理するのか」について細かく詰めることができました

案件登録の依頼

実績として、以下の要件が求められます

  • ローンチ済みオポチュニティ(案件) 数: 3件
  • 月間 AWS 利用料 (MRR): $1,500

AWS Partner Central から案件登録をすることでクリアできます

案件の見込み段階から登録しておき、見積もり時点で MRR も入力しておきます
ローンチ(本番稼働開始)したら、本番環境に使用している AWS のアカウント IDを登録します
登録内容が認められれば件数と利用料がカウントされます

私は社内の営業さんに声を掛け、案件登録に協力してもらいました

既に昨年度ローンチしたのに登録されていない案件を登録し、登録済だがローンチ状態にしていなかった案件を更新することで、条件を満たすことができました

実績は毎年更新時に必要なので、営業メンバーにちゃんと登録するように言っておきましょう

APN 料金

ここまで挙げた要件を満たしたことを確認し、社内に稟議を回付しました
年会費 $2,500 を払うため、稟議承認は必須です
年間 $3,500 分の AWS クレジットがもらえる、などのメリットを書いて回しました
(当然、社長含め根回しは全て終わっています)

結果

無事稟議が承認されたので、 AWS Partner Central からパートナー登録を進めました

AWS Partner Central からの紐付け先は全社用に経営管理部が管理している AWS アカウントにしています

また、以下の対応も実施しました

  • 社内向けのお知らせ(社内グループウェアの掲示板)掲載
  • 社外向けのニュース掲載

今進めていること

社内に開発部門が複数あるのですが、それぞれのアカウントが個別に複数存在している状態のため AWS Organizations への集約を進めています

管理部門としては請求が一括管理できたり、一定のセキュリティポリシーを強制できるのが嬉しい点です

順次、前述の経営管理部 AWS アカウントをルートとして組織に入れていきます

まとめ

AWS セレクトティアサービスパートナーの登録を実現することができました

私自身はそもそも一介のエンジニアでしかない(役員でも管理職でもない)のですが、社内外の多くの人の協力を得て実現に至りました

協力していただいた皆様、改めてありがとうございました

やはり個人ではできないようなことをするとき、「巻き込む」ことの重要性を強く感じました

私はいわゆる「コミュ力」に全く自信がなく、飲み会でも「何を話せばいいのか」分からないタイプです

それでも多くの人を巻き込んで動くことができたのは、長く続けている社内勉強会と社外コミュニティのおかげだと思っています

人に教えたり、教えられたり、「教育」というのは最も強力なコミュニケーションなのではないでしょうか

今年度も新しいことを次々やろうとしていますので、ご支援、ご協力よろしくお願いいたします

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