本資料のターゲット
本稿は学部論文を執筆する方に向けて書いています。筆者がアカデミックな領域を知らないのであくまで初心者の忘備録です。
筆者は2021年に1年掛けて研究活動した結果を、翌2022年~2023年に掛けて論文として執筆しました。執筆自体の期間は2022/12/29~2023/2/3の5週間ほどです。研究は業務と並行しながらで、執筆は主に業務外の時間を使って書きました。
簡単な機械学習プログラミングの習得をテーマに学習の手法について、「機械学習プログラミングのスキル習得における集団学習の有効性」として情報処理学会様に掲載して頂きました。
技術論文と銘打ってますが、筆者の執筆論文はバリバリ文系論文だと思います。
この論文執筆で得た知見をもとに、これから学部論文を執筆される方のヒントになれば幸いと考え、本稿を書いています。
本稿では、下記のような一問一答式で、技術論文執筆において参考になりそうな情報を記載しています。
Q.楽に論文を終わらせるにはどうしたらいいか。
A.担当教授に素直に何度もアドバイスを求めたほうがよいです。
できれば最初からやる気MAXで居たほうが結果楽です。足繫く研究室に通い、教授とコミュニケーションを試みるのが最も楽に論文を終わらせる方法だと思います(楽に終わらせられるとは言ってない)。
ほとんど何もせず締切が見えてくるような万事休すな状況でもアクション起こせば温情ですくってもらえることがあります(体験談)。
Q.泥臭いのは嫌だ!スマートに楽するならどうしたらいい?
A.先輩の研究を譲り受けて、先人たちの論文を参考に書くのが楽だと思います。
そんなスマートな人は本稿のようなトピックスは目にしないと思います。
Q.何から書いたらいいかわからん
A.論文作成穴埋めシートなるものを提供している方がいらっしゃいます。これを埋めると何が足りていないかわかります。
穴埋めシート直後に「あなたは論文が書けないのではない、研究ができないのだ」という正論置きパンチがあるので存分に食らうといいと思います。
Q.データなんかねえよ。
A.ないのはワラント(データと主張の紐づけ)のほうではないですか。
筆者が論文執筆中に強虫モンブランが流行っていました。
筆者も歌詞に大いに共感しましたが、突き詰めて考えると主張を無条件に肯定してくれる最高に便利なデータがない、というだけでした。
本当にデータがない人は執筆に取り掛かれていないと思うので、多分データと主張を紐づける箇所が足りないのだと思います。
これも前述ブログ著者のくるぶし(読書猿)様曰く、ワラントというデータと主張を紐づける根拠や説明が論証の1つであるとのことです。
およそ論文ならば、主張を言いっぱなしにするのでなく、主張を証拠に基づいて論証しなくてはならない。
論証の基本フォーマットはつぎの3つで構成される(論証の三角形)。
・クレーム(主張)
・データ(主張を支える事実)
・ワラント(データと主張を結びつけ、データによってどのように主張が根拠付けられるかを示す説明)
(引用:https://readingmonkey.blog.fc2.com/blog-entry-563.html)
論文に取り掛かろうとするとき、何らかの仮説に基づき、データと呼べるものを集めていると思うのですが、その仮説をいかに立証にたるデータとして主張に紐づけるのか、という工程が論文の肝だと感じました。
具体的にはデータの正当性の立証の上で、研究の正当性を論じる、というやり方です。
また同ブログ様より引用いたします。
(引用であるが読みやすさのため本稿の著者による文字の強調を施している)
A. このデータは正しい
・(クレーム)このデータは正しい(得られたデータは信頼に値する)
・(データ)データの収集方法(実験手続、測定方法、統計処理の方法、実験回数など)…論文のMethods & Materials
・(ワラント)(データ収集方法が確立されている場合省略されることが多い)B.この研究は正しい
・(クレーム)論文全体の主張(検証命題)は正しい(「XXのモデルとよく一致した(あまり一致しなかった)」など)
・(データ)得られたデータ…論文のRsults
・(ワラント)データから言えること(推論)…論文のDiscussion
(引用:https://readingmonkey.blog.fc2.com/blog-entry-563.html)
データを集めるにあたり立てた仮設を立証することが、研究の正しさの立証を補完します。
但し、メインとなるのは研究の主張がなぜ正しいといえるのか(ワラント・推論)の部分で、データによる立証はあくまで推論を支える足場です(だからデータは大事ですがすべてを立証してくれるわけではないです)。
Q.論文用の文章の書き方がわからん
A.山内志朗 著「ぎりぎり合格への論文マニュアル」が参考になります。
基本作法、出典や参考文献、注釈の書き方などはもちろん「すぐに使えるフレーズ集」は読んでて楽しいですし、実際いくつか使いました。
執筆開始前に一通り読みましたが、テクニックよりも心構え的な内容のほうが心に残りました。
新書で文章も短く明瞭でわかりやすくて面白いので、できれば全部読んでからテクニックを使ったほうが、山内志朗氏も本望ではないかと思われます。
※アフィリエイトリンクではありません。
終わりに
本稿があまり有益な記事である実感はございませんが、論文執筆自体は楽しかった記憶がございます。
書いた文字数は2万文字(400字詰め原稿用紙50枚程度)で、中学生の時に書いたオリジナル小説の同原稿用紙20枚の記録を大きく上回る結果となり、大変満足しています。
学部論文は2~4万字位が多いそうなので、筆者の体験は学部論文よりライトなものだったようです。
末筆ではございますが、現在進行形で執筆されている方がおられましたら、陰ながら応援しております。どうか最後まで頑張ってください。