~あなたのデータを守るために~
企業へのサイバー攻撃が増加の一途をたどる中、特にランサムウェアによる被害が深刻です。本記事では、ランサムウェアの概要、実際の被害事例、そして有効な対策について解説します。
ランサムウェアとは?
「ランサムウェア」とは、「Ransom(身代金)」と「Software(ソフトウェア)」を組み合わせた造語で、感染したコンピュータのデータを暗号化し、解除の代金として身代金を要求する攻撃手法です。
ランサムウェアの種類
ランサムウェアにはいくつかの種類があります。
- 暗号化型: ファイルを暗号化し、復号化のための鍵と引き換えに身代金を要求する。
- ロック型: コンピュータ全体をロックし、使用不能にして身代金を要求する。
- ダブルエクストーション型: データを暗号化するだけでなく、盗み出したデータを公開すると脅迫する。
実例
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2021年5月: アメリカ東海岸の燃料供給を担う「コロニアル・パイプライン社」がランサムウェア被害を受け、1週間にわたる操業停止に追い込まれました。この事件は、身代金 440万ドル(約4億8000万円) の支払いにつながり、世界中に大きな衝撃を与えました。
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2023年7月: 大手ITサービス企業がランサムウェア攻撃を受け、顧客の機密データが流出。攻撃者はさらに、盗み出したデータを公開すると脅迫し、身代金を要求しました。
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日本国内の事例: 近年、日本の中小企業も標的となるケースが増加。特に、製造業や医療機関が狙われることが多く、業務停止による損失が深刻です。
ランサムウェア被害の実態
- 過去3年間で56.8%の企業がサイバー攻撃を経験。
- 被害額: ランサムウェア被害経験企業の平均被害額は 1億7689万円。
- 業務停止期間: 国内拠点で平均 4.5日、海外拠点で 7.0日。
被害の背景には、次のような脆弱性が挙げられます。
- セキュリティ対策の不備: 古いOSやソフトウェアの脆弱性を放置。
- 従業員のリテラシー不足: フィッシングメールや不審なリンクをクリックしてしまう。
- 人的リソースの不足: サイバーセキュリティ専門家の不足が深刻(調査では74.4%の企業が「セキュリティスキル人材の不足」を指摘)。
対策の基本
1. データのバックアップ
データのバックアップは、ランサムウェア攻撃を受けた際の最重要対策です。
- エアギャップ: バックアップデータをネットワークから隔離し、安全性を確保します。例として、外部ドライブやクラウドへのオフライン保存があります。
- イミュータブル化: 変更不可能な形式でデータを保存することで、ランサムウェアの改ざんを防ぎます。
2. データ暗号化
バックアップデータや保存データを暗号化することで、窃取されても悪用を防ぐことができます。
以下は、Linux環境でのデータ暗号化テストの例です。
# 元データを準備
echo "password" > inputdata
# Opensslで暗号化
openssl aes-256-cbc -e -in inputdata -out outputdata
# 暗号化後のデータを確認
cat outputdata