生成AIの歴史をまとめてみました。
第一次AIブーム(1950年代後半~1960年代)
第一次AIブームは、人類が初めてコンピューターに「知性」を与えようと試みた時期です。この頃のAIは主に「記号処理」と呼ばれる方法で、人間の思考プロセスをコンピューター上で再現することを目指しました。
主な出来事
- 1956年:ダートマス会議で初めて「人工知能(Artificial Intelligence、AI)」という言葉が登場。
- チェスや迷路の攻略プログラムが開発される。
しかし、この時代のAIは「推論」や「探索」を行うものの、現実世界の複雑さを処理できず、限界を迎えました。1960年代末にはAI研究は一時的に下火になりました。
第二次AIブーム(1980年代)
第二次AIブームは、1980年代にコンピューターの性能向上に伴い再び盛り上がりました。この時期は「エキスパートシステム」という専門知識をルールベースで記述する技術が中心でした。
主な特徴と応用例
- 人間の専門家の判断をルール化する(例:「もしAならばB」)。
- 医療診断システム、金融アドバイス、製造業などに実際に導入された。
しかし、ルールの数が増えるほど管理が複雑になり、ルール同士の衝突が起こり、メンテナンスが困難になりました。これにより、大規模なエキスパートシステムの実現が難しくなり、ブームは再び沈静化しました。
第三次AIブーム(2010年代)
2010年代に入り、大きな技術革新が起こりました。それが「機械学習(Machine Learning)」、特に「深層学習(Deep Learning)」の登場です。深層学習は人間の脳の神経細胞(ニューロン)の働きを模倣したニューラルネットワークを基盤としています。
深層学習の発展
- 2012年:画像認識コンテスト(ILSVRC)で深層学習が飛躍的な精度向上を実現。
- 画像認識、音声認識、自然言語処理(翻訳・要約)で実用化が急速に進む。
- スマートフォンの音声アシスタント、自動運転技術などが普及。
また、この時代はインターネットやスマートフォンの普及に伴い、「ビッグデータ」と呼ばれる大量のデータが蓄積され、AIが学習するための環境が整ったことも特徴です。
第四次AIブーム(2020年代~現在)
現在の第四次AIブームは、「生成AI(Generative AI)」が主役です。生成AIは、自らコンテンツ(画像、文章、音楽、映像)を創造する能力を持ち、人間の創造性をサポートする革新的な技術です。
主な生成AIの技術
- GPT(Generative Pre-trained Transformer):文章や会話を生成する大規模言語モデル(例:ChatGPT)。
- Stable Diffusion、DALL·E:与えられた文章からリアルな画像やイラストを生成。
生成AIの登場により、記事作成、デザイン、音楽制作などクリエイティブな領域が大きく進化しています。
課題と議論
- AIが生成する内容のファクトチェック(正確性の確認)。
- 著作権や倫理的な問題への対応。
社会的、法的な議論も活発化しており、技術的な進歩だけでなく、AIが社会に与える影響についても広く注目されています。
AIの歴史のまとめと展望
AIの歴史は次の4つの段階を経て発展しています。
- 第一次ブーム:「記号やルールを用いた推論・探索」
- 第二次ブーム:「専門知識をルール化したエキスパートシステム」
- 第三次ブーム:「深層学習によるデータ活用・パターン認識」
- 第四次ブーム:「生成AIによる新しいコンテンツ創造」