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OpenAI o3 と o4-mini: 革新的な推論能力と完全なツールアクセスを持つ次世代AIモデル

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Introducing OpenAI o3 and o4-mini y

目次

イントロダクション

OpenAIが最新のAIモデル「o3」と「o4-mini」をリリースしました。これらのモデルは、OpenAIのo-seriesの最新版であり、「応答する前により長く考えるように訓練された」モデルとして位置づけられています。OpenAIはこれらを「これまでで最も賢く、最も能力の高いモデル」と説明しており、ChatGPT内のすべてのツールを利用および組み合わせる能力を持つ初めてのモデルとなります。🚀

o3とo4-miniの登場は、AIの歴史における重要な節目と言えるでしょう。これらのモデルは単なる性能向上ではなく、AIの使い方そのものを変える可能性を秘めています。特に注目すべきは、ウェブ検索、Pythonによるファイル分析、視覚入力に関する推論、画像生成など、さまざまなツールを組み合わせて使用する能力です。これにより、より複雑な問題に対する詳細で思慮深い回答を、通常1分以内に提供できるようになりました。

この記事では、これらの革命的なモデルの特徴、技術的背景、実際の応用例、そして将来の可能性について詳しく解説します。AIの専門家でなくても理解できるよう、わかりやすく説明していきますので、最後までお付き合いください。

第1部: モデルの概要と進化

o-seriesとは何か

o-seriesは、OpenAIが開発した「思考型」AIモデルのシリーズです。従来の言語モデルと異なり、o-seriesモデルは「応答する前により長く考える」ように特別に訓練されています。つまり、単に知識を引き出すだけでなく、複雑な問題に対して段階的に推論を行い、より深い理解と解決策を提供することができます。🧠

初代モデルのo1は2023年12月にリリースされ、複雑な問題に対する高度な推論能力を示しました。その後、小型で効率的なo1-miniとo3-miniが続き、現在、最新世代のo3とo4-miniがリリースされました。

o-seriesの特徴は以下の点にあります:

  1. 明示的な思考過程: 問題を解く過程で段階的な思考を明示的に行う
  2. 長時間の推論: より長い時間をかけて問題を考察できる
  3. 複雑な問題解決: 数学、コーディング、科学など高度な分野での問題解決能力
  4. 構造化された出力: 論理的で構造化された回答を提供

用語説明: o-seriesにおける「o」は「reasoning(推論)」を表すと考えられています。これらのモデルは「推論に特化したモデル」として位置づけられています。

o3とo4-miniの位置づけ

o3とo4-miniは、o-seriesの最新モデルとして、これまでのモデルの進化形と言えます。それぞれの特徴と位置づけは以下のとおりです:

OpenAI o3:

  • o-seriesの最も強力な推論モデル
  • コーディング、数学、科学、視覚認識など幅広い分野でのフロンティアを押し広げる
  • 複数の側面からの分析を必要とする複雑なクエリに最適
  • 視覚タスク(画像、チャート、グラフィックの分析)で特に強力

OpenAI o4-mini:

  • 高速で費用対効果の高い推論に最適化された小型モデル
  • そのサイズとコストに対して驚くべき性能を発揮
  • 特に数学、コーディング、視覚タスクで優れたパフォーマンスを示す
  • o3よりも高い使用制限をサポート(高ボリューム、高スループットのオプション)

これらのモデルは、単にo1やo3-miniの改良版ではなく、推論能力と実用性のバランスを大幅に向上させた新世代のAIと言えるでしょう。❗

前モデルからの主要な進化点

o3とo4-miniがもたらした主要な進化点は以下のとおりです:

  1. ツールアクセスの完全統合:

    • ChatGPT内のすべてのツールを使用・組み合わせる能力
    • 問題解決のためにツールをいつ、どのように使用するかを判断する能力
  2. マルチモーダル理解の向上:

    • 画像を思考連鎖に直接統合できる能力
    • 視覚と言語の推論を融合させた新しいタイプの問題解決
  3. エラー率の低減:

    • o3はo1に比べて難しい実際のタスクでの重大なエラーが20%減少
    • プログラミング、ビジネス/コンサルティング、創造的なアイデア創出で特に優れた性能
  4. 会話の自然さと個人化:

    • より自然で会話的な応答
    • メモリと過去の会話を参照して、より個人に合わせた関連性の高い応答
  5. コスト効率の向上:

    • 同等のパフォーマンスをより低コストで達成
    • より高いスループットと使用制限

モデル比較: o1 vs o3, o3-mini vs o4-mini

機能/性能 o1 o3 変化
数学問題解決能力 (AIME 2024) 74.3% 91.6% +17.3%
コーディング (Codeforces ELO) 1891 2706 +815
視覚的数学推論 (MathVista) 71.8% 86.8% +15.0%
ツールアクセス 限定的 完全 大幅改善
マルチモーダル理解 基本的 高度 大幅改善
エラー率 (実世界タスク) 基準 -20% 20%改善
機能/性能 o3-mini o4-mini 変化
数学問題解決能力 (AIME 2024) 87.3% 93.4% +6.1%
コーディング (Codeforces ELO) 2073 2719 +646
科学的図表推論 (CharXiv) -- 72.0% 新機能
コスト効率 基準 向上 改善
マルチモーダル能力 なし あり 新機能
処理速度 基準 向上 改善

これらの比較から、o3はo1から、o4-miniはo3-miniから、それぞれ大幅な能力向上を達成していることが明確にわかります。特に注目すべきは、o4-miniが小型モデルでありながら、マルチモーダル能力を備え、コスト効率と性能のバランスを大きく改善している点です。

これらの進化により、o3とo4-miniは単なる性能向上を超えた、AIの使い方そのものを変える可能性を秘めています。特に注目すべきは、これらのモデルが従来の推論能力を維持しながらも、ツール使用、マルチモーダル理解、そして会話の自然さを統合した点です。🔄

第1部のまとめ:
o3とo4-miniは、OpenAIのo-seriesの最新モデルとして、推論能力、ツール使用、マルチモーダル理解において大きな進化を遂げました。これらのモデルは、複雑な問題解決から自然な会話まで、幅広い用途に適用できる汎用性と専門性を兼ね備えています。

第2部: 技術的特徴と能力

強化学習のスケーリング

o3とo4-miniの開発において、OpenAIは強化学習(Reinforcement Learning: RL)のスケーリングに重点を置きました。これは、GPTシリーズの事前学習で観察された「より多くの計算リソース = より良いパフォーマンス」というトレンドを強化学習にも適用したものです。🔍

強化学習のスケーリングの主なポイント:

  1. 訓練計算量と推論時間の拡大:

    • 訓練計算量と推論時間の両方で1桁以上のスケールアップ
    • それでもなお明確なパフォーマンス向上が見られる
  2. 思考時間とパフォーマンスの関係:

    • モデルが「より長く考える」ことを許可すると、パフォーマンスは向上し続ける
    • 同じレイテンシとコストでo1と比較すると、o3はChatGPTでより高いパフォーマンスを発揮
  3. RLのスケーリング曲線:

    • GPTシリーズの事前学習と同様に、RLにおいても計算量の増加に伴いパフォーマンスが向上
    • このスケーリング法則の発見は、AIモデルの継続的な改善方法の理解に貢献

この強化学習のスケーリングアプローチにより、o3とo4-miniは前世代のモデルを大幅に上回るパフォーマンスを達成しています。特筆すべきは、単にトレーニングデータを増やすだけでなく、モデルが「考える」ための方法と時間を最適化したことです。

ツール使用の学習方法

o3とo4-miniの最も革新的な特徴の一つが、ツールの使用方法を強化学習を通じて学習した点です。これらのモデルは、単にツールの「使い方」だけでなく、「いつ」「どのように」ツールを使用するかについての推論能力も獲得しています。🔧

ツール使用学習の主なアプローチ:

  1. 強化学習によるツール使用訓練:

    • 目的の達成に基づいてツールをいつ、どのように使用するかを学習
    • 単なるツールの操作方法だけでなく、状況に応じた適切なツール選択を学習
  2. 複数ツールの統合的使用:

    • ウェブ検索、Python、視覚推論、画像生成などのツールを組み合わせる能力
    • 複雑なワークフローや多段階のタスクでの効果的な使用
  3. 結果に基づくツール選択:

    • 望ましい結果に基づいてツールを展開する能力
    • オープンエンドな状況での適応力

この学習アプローチにより、o3とo4-miniは学術ベンチマークと実世界のタスクの両方で大幅に向上したパフォーマンスを示しています。特に、視覚推論や多段階のワークフローが必要なケースでの能力が飛躍的に向上しています。

マルチモーダル推論

o3とo4-miniの画期的な機能の一つが、「画像とともに考える」能力です。これらのモデルは画像を単に「見る」だけでなく、画像を思考連鎖(chain of thought)に直接統合することができます。これにより、視覚的および言語的推論を混合した新しいタイプの問題解決が可能になりました。👁️

マルチモーダル推論の主な特徴:

  1. 画像を思考連鎖に統合:

    • 画像を思考過程の一部として取り込む能力
    • テキストと視覚情報を融合させた推論
  2. 高度な視覚理解:

    • ホワイトボード、教科書の図、手書きのスケッチなどを解釈する能力
    • 画像が不鮮明、反転、低品質であっても処理可能
  3. 画像操作とトランスフォーメーション:

    • 推論過程の一部として画像を回転、ズーム、変換する能力
    • ツールを用いたオンザフライでの画像操作
  4. 視覚認識タスクでの優れた精度:

    • マルチモーダルベンチマークでの最高クラスの精度
    • 以前は到達不可能だった質問に答える能力

マルチモーダル推論能力により、o3とo4-miniは以下のような新たなユースケースに対応できるようになりました:

  • 複雑な図表やグラフの解析と説明
  • 手書きメモや数式の理解と解釈
  • 科学論文や教科書の視覚資料の分析
  • 混合メディア(テキストと画像)を含む複雑なクエリへの応答

このマルチモーダル推論能力は、例えばビジネスプレゼンテーションの分析や科学研究のサポートなど、様々な実用的なシナリオで大きな価値を提供します。

エージェント的ツール使用

o3とo4-miniが持つ「エージェント的ツール使用」能力は、これらのモデルが単なる言語モデルから、ユーザーに代わってタスクを自律的に実行できるエージェントへと進化したことを示しています。この機能により、ChatGPT内のすべてのツールだけでなく、API経由で機能呼び出しを使用したカスタムツールも利用できます。🤖

エージェント的ツール使用の主な機能:

  1. 問題解決のための推論:

    • 問題の解決方法について推論する能力
    • 適切な出力形式で詳細かつ思慮深い回答を素早く提供
  2. 複数ツールのチェーニング:

    • 複数のツールを連鎖的に使用する能力
    • 一つのツールからの出力を別のツールの入力として使用
  3. 情報に基づく適応と方向転換:

    • 遭遇した情報に基づいて反応し、必要に応じて方向転換する能力
    • 例:検索結果を見て新しい検索を試みるなど
  4. 多岐にわたるモダリティでの出力生成:

    • テキスト、画像、グラフなど様々な形式での出力生成
    • 複数の情報源からの情報の統合

この柔軟で戦略的なアプローチにより、o3とo4-miniは以下のようなケースを処理できます:

  1. モデルの組み込み知識を超えた最新情報へのアクセスが必要なタスク
  2. 拡張された推論、合成、分析が必要なケース
  3. 複数のモダリティにまたがる出力生成が必要な状況
  4. 複数のステップや判断が必要な複雑なワークフロー

エージェント的ツール使用は、o3とo4-miniが単なる質問応答システムから、ユーザーの意図を理解し、適切なツールを活用して目標を達成する真のAIアシスタントへと進化したことを示しています。

第2部のまとめ:
o3とo4-miniの技術的特徴は、強化学習のスケーリング、高度なツール使用学習、マルチモーダル推論、そしてエージェント的ツール使用という4つの柱で構成されています。これらが組み合わさることで、前世代のモデルを大幅に上回る能力と柔軟性を実現しています。特に注目すべきは、これらのモデルが単一の問題解決だけでなく、複数のツールや情報源を組み合わせた複雑なワークフローにも対応できる点です。

第3部: パフォーマンスとベンチマーク

数学と科学的推論

o3とo4-miniは、数学と科学的推論の分野で大幅なパフォーマンス向上を示しています。これらのモデルは、複雑な数学的問題や科学的質問に対して高い精度で回答することができます。📊

主要なベンチマーク結果:

  1. AIME(数学コンテスト):

    • AIME 2024: o4-mini(ツールなし)が93.4%の精度を達成(o1は74.3%)
    • AIME 2025: o4-mini(ツールなし)が92.7%の精度を達成(o1は79.2%)
  2. GPQA Diamond(PhD級の科学質問):

    • o3(ツールなし)が83.3%の精度を達成(o1は78.0%)
    • o4-mini(ツールなし)が81.4%の精度を達成
  3. Humanity's Last Exam:

    • o3(Python+ブラウジングツール)が24.9%の精度を達成(o1-proは8.12%)
    • o4-mini(Python+ブラウジング)が17.7%の精度を達成

以下は、これらのベンチマーク結果を視覚化したグラフです:

実例: 複雑な数学問題の解決プロセス

o3とo4-miniは、複雑な数学問題を解く際に段階的な推論を行います。例えば、AIME(American Invitational Mathematics Examination)レベルの問題を解くプロセスは以下のようになります:

  1. 問題の理解と分解:

    • 問題を慎重に読み解き、主要な要素を特定
    • 問題を解決可能なサブ問題に分解
  2. 関連する数学的概念の適用:

    • 関連する数学的概念や定理を適用
    • 必要に応じて、Pythonを使用して計算や検証を実行
  3. 問題解決の戦略的アプローチ:

    • 複数の解法を検討し、最適なアプローチを選択
    • 解決プロセスを段階的に進め、各ステップを検証
  4. 結果の検証と洗練:

    • 得られた解答を様々な方法で検証
    • 解答の正確性を確保するための追加チェックを実施

これらのモデルは、単に回答を生成するだけでなく、解決プロセス全体を通じて数学的洞察を提供し、教育的な価値も提供します。

コーディングと技術的問題解決

o3とo4-miniは、コーディングと技術的問題解決の分野でも顕著なパフォーマンス向上を示しています。これらのモデルは、複雑なコーディング課題やソフトウェアエンジニアリングの問題を高い精度で解決できます。💻

主要なベンチマーク結果:

  1. Codeforces(競技プログラミング):

    • o3(ターミナル付き)が2706 ELOを達成(o1は1891)
    • o4-mini(ターミナル付き)が2719 ELOを達成
  2. SWE-Bench Verified(ソフトウェアエンジニアリング):

    • o3が69.1%の精度を達成(o1は48.9%)
    • o4-miniが68.1%の精度を達成
  3. SWE-Lancer: IC SWE Diamond(フリーランスコーディングタスク):

    • o3-highが$65,250を獲得(o1-highは$28,500)
    • o4-mini-highが$56,375を獲得
  4. Aider Polyglot(コード編集):

    • o3-highが全体で81.3%、差分で79.6%の精度を達成(o1-highは全体で64.4%、差分で61.7%)
    • o4-mini-highが全体で68.9%、差分で58.2%の精度を達成

以下は、これらのベンチマーク結果を視覚化したグラフです:

実例: ソフトウェアエンジニアリング問題の解決プロセス

o3とo4-miniは、実際のソフトウェアエンジニアリングやコーディングの問題を解決する際に、以下のようなプロセスを経ます:

  1. 問題の理解とコードベースの探索:

    • 問題を慎重に理解し、関連するコードファイルを特定
    • コードベースを探索して全体像を把握
  2. 解決策の設計と実装:

    • 複数の解決策を検討し、最適なアプローチを選択
    • 解決策を段階的に実装、必要に応じてツールを使用
  3. テストと検証:

    • 実装した解決策をテストコードで検証
    • エッジケースや潜在的な問題を考慮
  4. ベストプラクティスの適用:

    • コードの品質、可読性、パフォーマンスを考慮
    • ソフトウェアエンジニアリングのベストプラクティスを適用

これらのモデルは、単純なコード生成を超えて、実際のソフトウェア開発の文脈における複雑な問題解決能力を示しています。エラー修正、機能追加、パフォーマンス最適化など、様々なタイプのコーディング課題に対応できます。

マルチモーダルベンチマーク

o3とo4-miniは、画像理解と視覚的推論を含むマルチモーダルベンチマークでも卓越したパフォーマンスを示しています。これらのモデルは、テキストと画像を組み合わせた複雑なタスクを処理する能力を持っています。👁️🔤

主要なベンチマーク結果:

  1. MMMU(大学レベルの視覚的問題解決):

    • o3が82.9%の精度を達成(o1は77.6%)
    • o4-miniが81.6%の精度を達成
  2. MathVista(視覚的数学推論):

    • o3が86.8%の精度を達成(o1は71.8%)
    • o4-miniが84.3%の精度を達成
  3. CharXiv-Reasoning(科学的図表推論):

    • o3が78.6%の精度を達成(o1は55.1%)
    • o4-miniが72.0%の精度を達成

以下は、これらのベンチマーク結果を視覚化したグラフです:

マルチモーダル推論の実例

o3とo4-miniは、以下のようなマルチモーダルタスクで優れた能力を発揮します:

  1. 科学的図表の解析:

    • 研究論文やテキストブックの複雑な図表を解析
    • 図表から重要なパターンやトレンドを抽出し説明
  2. 視覚的数学問題の解決:

    • 数学的図形や図表を含む問題を解決
    • 視覚情報から数学的関係を導き出す
  3. 画像内のテキスト認識と処理:

    • 画像内のテキストを認識して処理
    • 複数の情報源(テキストと画像)からの情報を統合
  4. 視覚的証拠に基づく推論:

    • 画像を証拠として使用して推論を行う
    • 視覚的情報に基づいて結論を導き出す

これらのモデルのマルチモーダル能力は、教育、研究、診断、ビジネス分析など様々な分野で活用できる可能性を秘めています。

コスト効率と実用性

o3とo4-miniの重要な側面の一つが、その優れたコスト効率と実用性です。これらのモデルは、単に高いパフォーマンスを提供するだけでなく、従来のモデルと比較してより効率的にそれを実現します。💰

コスト効率の主な特徴:

  1. コストパフォーマンスの向上:

    • o3はo1と比較して、同等のコストでより高いパフォーマンスを発揮
    • o4-miniはo3-miniと比較して、同等のコストでより高いパフォーマンスを発揮
  2. 効率的な推論:

    • より少ないリソースでより高い精度を実現
    • 効率的な推論プロセスにより、レスポンス時間を短縮
  3. 高いスループットと使用制限:

    • o4-miniはo3よりも大幅に高い使用制限をサポート
    • 高ボリューム、高スループットのユースケースに最適
  4. 実用的な応答時間:

    • 複雑な問題に対して通常1分以内に回答を提供
    • 効率的なツール使用により処理時間を最適化

実用性の側面:

  1. 広範なユースケースへの適用:

    • 研究、ビジネス、教育、個人利用など様々な分野に適用可能
    • 単一のモデルで多様なタスクをこなせる汎用性
  2. スケーラビリティ:

    • o4-miniの高スループット特性により大規模なデプロイメントが可能
    • 組織のニーズに応じて適切なモデルを選択可能
  3. ツール統合による実用性の向上:

    • ウェブ検索、コード実行、画像分析などのツールとの統合
    • カスタムツールとの連携も可能(API経由)
  4. バランスの取れたリソース使用:

    • タスクの複雑さに応じた適切なリソース割り当て
    • 不必要な計算を避け、効率的に結果を導き出す

o3とo4-miniのコスト効率と実用性は、これらのモデルが研究目的だけでなく、実際のビジネスや個人の使用にも適していることを示しています。特にo4-miniは、そのサイズとコストに対して驚くべきパフォーマンスを発揮し、多くのユースケースで最適な選択肢となる可能性があります。

第3部のまとめ:
o3とo4-miniは、数学と科学的推論、コーディングと技術的問題解決、マルチモーダルタスク、そしてコスト効率と実用性の全ての面で著しい向上を示しています。これらのモデルは、様々なベンチマークでこれまでのモデルを大幅に上回るパフォーマンスを達成し、実用的なシナリオでの価値を提供します。特に注目すべきは、o4-miniが小型モデルでありながら、多くのベンチマークでフルサイズのo3に匹敵するパフォーマンスを示している点です。

第4部: 実際の応用例

研究と学術支援

o3とo4-miniは、その高度な推論能力と知識ベースを活かして、研究と学術の分野で強力なサポートを提供します。これらのモデルは、研究者や学生が複雑な学術的課題に取り組む際の貴重なアシスタントとなることができます。🔬📚

主な応用例:

  1. 研究論文の分析と要約:

    • 複雑な研究論文の迅速な分析と主要なポイントの抽出
    • 様々な分野の文献レビューの支援
  2. 仮説生成と評価:

    • 新しい研究仮説の生成とクリティカルな評価
    • 特に生物学、数学、工学の文脈での創造的な仮説提案
  3. 実験設計のサポート:

    • 研究目的に基づいた効果的な実験設計の提案
    • 実験プロトコルの最適化と潜在的な問題点の特定
  4. データ分析と視覚化:

    • 複雑なデータセットの分析と意味のある洞察の抽出
    • データを視覚化するためのコード生成と解釈

大学生の研究活動における活用例:

  • 文献レビュー: 膨大な論文から関連情報を抽出し、研究動向を把握
  • 実験計画: 研究目的に基づいた実験設計のアドバイスと最適化
  • データ分析: 複雑なデータセットの分析と視覚化の支援
  • 論文執筆: 構造化された論文の下書き作成と校正
  • 発表資料: 研究結果を効果的に伝えるプレゼン資料の作成

例えば、生物学専攻の学生が新しい生物種の分類に関する研究を行う場合、o3は関連論文の分析、分類法の提案、統計分析の実行、そして結果の視覚化まで一連のプロセスをサポートできます。

実際の例: 複雑な数学問題の解決

以下は、o3が非常に難しい数学問題を解決する例です:

[問題]
次の難解な数学問題を解け:

複素数係数を持つ19次多項式 p(x) を構築せよ。ただし、集合 X := {p(x) = p(y)} ⊂ ℙ¹ × ℙ¹ が
少なくとも3つの(ただし全てが線形ではない)既約成分を持つようにせよ。
p(x)が奇関数で、モニック(最高次の係数が1)であり、実数係数を持ち、
線形項の係数が-19となるようにして、p(19)を計算せよ。

[o3の解答プロセス(要約)]
1. 多項式構築のための推論を開始
2. p(x)-p(y)の因数分解に着目
3. Dickson多項式の特性を活用
4. 必要な条件を満たすDickson多項式D_{19}(x,1)を特定
5. この多項式が少なくとも3つの既約成分を持つことを確認
6. Pythonを使用してp(19)の値を計算
7. p(19) = 1,876,572,071,974,094,803,391,179 という結果を導出

このように、o3は非常に複雑な数学問題に対して段階的な推論を適用し、正確な解答を導き出すことができます。これは、高度な研究や学術活動における強力なサポートツールとしての可能性を示しています。

ビジネス分析と意思決定

o3とo4-miniは、ビジネス分析と意思決定のプロセスを強化するための強力なツールとなります。これらのモデルは、複雑なビジネスデータを分析し、戦略的な洞察を提供することができます。📈💼

主な応用例:

  1. 市場調査と競合分析:

    • ウェブ検索を活用した最新の市場動向の分析
    • 業界データに基づく競合情報の整理と戦略的洞察の提供
  2. ビジネス展開の戦略立案:

    • データに基づく新市場への展開戦略の策定
    • 潜在的なリスクと機会の特定
  3. 財務分析と予測:

    • 財務データの分析と将来のパフォーマンス予測
    • 投資判断や予算配分のサポート
  4. ビジネスプレゼンテーションの作成:

    • データを視覚化した説得力のあるプレゼンテーションの作成
    • 複雑な情報を明確で理解しやすい形式に変換

実際の例: ホテルチェーン拡大の戦略分析

以下は、o3がホテルチェーン拡大の戦略分析を行う例です:

[依頼]
私はリスボン、ベルリン、ロンドンに展開するブティックホテルチェーンを所有しています。
2026年にヨーロッパの新しい国と、アジアの都市に展開する計画です。
観光成長率、季節的な稼働率パターン、地域経済指標など、成功を予測する要因は何でしょうか?
他社より先に次のホットな都市に進出したいと考えています。
地域の旅行データ、経済統計、ホテル稼働率を調査し、
トレンドを視覚的に分析して、理想的な展開場所を推薦してください。

[o3の分析プロセス(要約)]
1. ウェブ検索を使用して最新のホテル業界データを収集
2. ヨーロッパとアジアの候補都市の稼働率、RevPAR成長率、旅行者増加率などを比較
3. ヨーロッパではアテネ、バレンシア、ブダペストを主要候補として分析
4. アジアでは大阪、バンコク、ダナンを詳細に比較
5. 各都市の強みと弱みを経済指標と観光データに基づいて評価
6. データを視覚化したチャートを作成して比較
7. 詳細な拡大戦略と次のステップを推奨

この例では、o3が複数のデータソースを組み合わせ、ビジネス拡大のための戦略的意思決定をサポートしています。ウェブ検索機能を活用して最新のデータを収集し、それを分析して意味のある洞察を引き出すことができます。

技術的問題解決とコーディング

o3とo4-miniは、技術的問題解決とコーディングの分野で優れた能力を発揮します。これらのモデルは、複雑なプログラミング課題の解決から、ソフトウェア開発のサポートまで、幅広い技術的なニーズに対応できます。💻🔧

主な応用例:

  1. コード生成と最適化:

    • 具体的な要件に基づく効率的なコードの生成
    • 既存コードのパフォーマンス最適化と改良
  2. バグ修正とデバッグ:

    • 既存コードの問題点の特定と修正
    • デバッグ過程のサポートと解決策の提案
  3. ソフトウェア設計と開発:

    • ソフトウェアアーキテクチャの設計と評価
    • ソフトウェア開発のベストプラクティスの適用
  4. 技術ドキュメントの作成:

    • コードの詳細な説明と使用方法の解説
    • API仕様や技術マニュアルの作成

実際の例: 複雑なバグ修正

以下は、o3が複雑なソフトウェアバグを修正する例です:

[問題]
「sympy」というPythonの数学ライブラリにおけるバグを修正する必要があります。
このバグでは、特定の記号表現が正しく表示されません。

[o3の解決プロセス(要約)]
1. 問題を再現して確認(バグが実際に存在することを確認)
2. コードリポジトリを探索して関連ファイルを特定
3. 継承階層を確認し、問題の根本原因を特定(クラスの継承関係の問題)
4. コードを修正するパッチを作成
5. 単体テストを実行して修正が正しく機能することを確認
6. 解決策と修正の説明を提供

このように、o3はコンテナツールを使用して実際のコードリポジトリにアクセスし、バグを特定して修正することができます。これは、ソフトウェア開発者にとって強力なアシスタントとなる可能性を示しています。

日常生活での活用

o3とo4-miniは、研究やビジネスだけでなく、日常生活のさまざまな側面でも活用できます。これらのモデルは、個人的なタスクから学習サポートまで、多様なニーズに対応可能です。🏠📱

主な応用例:

  1. 学習とスキル開発:

    • 複雑な概念の説明と学習サポート
    • 新しいスキルの習得のためのカスタムガイドの作成
  2. 日常のタスク計画と最適化:

    • 効率的なスケジュールと行程の計画
    • 複雑なタスクの分解と段階的なガイド
  3. 情報収集と整理:

    • 特定のトピックに関する最新情報の収集と要約
    • 複数の情報源からのデータの統合と整理
  4. 創造的なプロジェクト:

    • 創作活動へのアイデアやフィードバックの提供
    • デザインやコンテンツ作成のサポート

大学生の日常生活における活用例:

  • 授業ノートの整理と要約: 授業で取ったノートを整理し、重要ポイントを強調した要約を作成
  • 研究計画と時間管理: 学期中のプロジェクトや試験のスケジュール最適化
  • 言語学習サポート: 外国語の学習と練習、文法チェック、会話練習
  • 進路相談: 興味のある分野の職業オプションやキャリアパスの分析
  • 健康と生活バランス: バランスの取れた食事計画や運動ルーチンの提案

例えば、忙しい試験期間中の学生は、o4-miniを使って最適な学習スケジュールを作成し、各科目の重要概念の要約を生成して効率的に復習することができます。

実際の例: 旅行スケジュール最適化

以下は、o4-miniが旅行スケジュールを最適化する例です:

[依頼]
現在12時で、すでにアトラクション#4を見ました。全てのアトラクションとショーを見られるように
スケジュールを作成してください。各ショーの所要時間(1列目)とショー間の10分間のバッファを
考慮してください。

[o4-miniの解決プロセス(要約)]
1. 提供された画像からアトラクションのリストと時間を分析
2. すでに見たアトラクション#4を除外
3. 各ショーの所要時間と上演時間を確認
4. ショー間に10分のバッファを含めた最適なスケジュールを計画
5. 全てのアトラクションを漏らさずに見られる効率的なルートを作成
6. ショーの特性(イマーシブなものか、座席が必要なものかなど)も考慮
7. 詳細な時間ごとのスケジュールを提供

この例では、o4-miniが視覚情報(スケジュール表)を分析し、制約条件(10分のバッファなど)を考慮して最適なスケジュールを作成しています。これは、日常生活における複雑な計画タスクの効率化に役立つ例です。

第4部のまとめ:
o3とo4-miniは、研究と学術支援、ビジネス分析と意思決定、技術的問題解決とコーディング、そして日常生活の様々な場面で実践的な価値を提供します。これらのモデルの高度な推論能力、ツール使用、そしてマルチモーダル理解を組み合わせることで、従来のAIモデルでは難しかった複雑なタスクや多段階の問題解決が可能になります。実際の例からも分かるように、これらのモデルは単なる質問応答システムではなく、ユーザーの目標達成を支援する真のアシスタントとして機能します。

第5部: セキュリティと安全性

安全性向上への取り組み

o3とo4-miniのリリースに伴い、OpenAIはモデルの能力向上に見合ったセキュリティと安全性の改善に重点を置いています。これらのモデルは、より強力になる一方で、より安全に使用できるよう設計されています。🔒🛡️

主な安全性向上の取り組み:

  1. 安全性トレーニングデータの完全な再構築:

    • 安全性トレーニングデータを一から再構築
    • 生物学的脅威(バイオリスク)、マルウェア生成、ジェイルブレイクなどの分野での新しい拒否プロンプトを追加
  2. 強力な拒否パフォーマンス:

    • 内部拒否ベンチマーク(例:指示階層、ジェイルブレイク)での強力なパフォーマンスを達成
    • 潜在的に危険な指示や質問に適切に対応する能力
  3. システムレベルの緩和策:

    • フロンティアリスク領域での危険なプロンプトをフラグする仕組みを開発
    • 画像生成における以前の取り組みと同様のアプローチ
  4. 推論LLMモニター:

    • 人間が書いた解釈可能な安全性仕様に基づいて動作する推論LLMモニターを訓練
    • バイオリスクに適用した場合、人間のレッドチーミングキャンペーンで会話の約99%を正しくフラグ付け

これらの安全性向上への取り組みにより、o3とo4-miniはより強力な能力を持ちながらも、安全に使用できるようになっています。OpenAIは能力とセキュリティのバランスを取りながら、モデルの継続的な改善を目指しています。

準備フレームワークと評価

OpenAIは、o3とo4-miniのリリースに際して、更新された「準備フレームワーク(Preparedness Framework)」に基づいた厳格な安全性評価を実施しました。このフレームワークは、AIモデルの能力とそれに伴うリスクを評価するための構造化されたアプローチを提供します。🔍📊

準備フレームワークの主要コンポーネント:

  1. 追跡対象能力領域:

    • 生物学的および化学的リスク
    • サイバーセキュリティリスク
    • AI自己改善リスク
  2. 評価プロセス:

    • 各能力領域における詳細な評価
    • 潜在的なリスクシナリオのテスト
    • モデルの制限と安全メカニズムの効果の検証
  3. リスクレベルの分類:

    • 低、中、高のリスクレベルで評価
    • 各レベルに応じた適切な安全対策の実施

評価結果:

OpenAIの評価によると、o3とo4-miniは共に、追跡対象の3つの能力領域すべてにおいて「高」閾値を下回っていることが確認されました。これは、これらのモデルが現時点で許容可能なリスクレベル内で動作することを示しています。

詳細な評価結果は、添付のシステムカードに公開されています。この透明性のある評価と情報開示は、OpenAIの責任あるAI開発へのコミットメントを示すものです。

倫理的考慮事項

o3とo4-miniのような高度なAIモデルの開発と展開には、様々な倫理的考慮事項が伴います。OpenAIはこれらの倫理的側面にも注意を払い、責任あるAI開発を推進しています。🤔⚖️

主な倫理的考慮事項:

  1. バイアスと公平性:

    • モデルが社会的バイアスを増幅しないようにする取り組み
    • 様々な人口統計や文化的背景にわたる公平なパフォーマンスの確保
  2. 透明性と説明可能性:

    • モデルの能力と限界についての明確なコミュニケーション
    • 推論プロセスの透明性向上(例:推論サマリーの提供)
  3. プライバシーとデータ保護:

    • ユーザーデータの責任ある取り扱い
    • プライバシー保護機能の実装
  4. アクセシビリティと包括性:

    • 多様なユーザーグループがモデルの恩恵を受けられるようにする
    • 言語やアクセシビリティの障壁を減らす取り組み
  5. 長期的な影響の考慮:

    • AIの進歩が社会や労働市場に与える長期的な影響の検討
    • 責任あるAI開発のための継続的な対話と協力

これらの倫理的考慮事項は、o3とo4-miniの開発だけでなく、OpenAIの全体的なアプローチにも反映されています。OpenAIは、AIの恩恵を最大化しながら、潜在的なリスクや課題に積極的に対処することを目指しています。

第5部のまとめ:
セキュリティと安全性は、o3とo4-miniの開発において不可欠な要素です。OpenAIは、安全性トレーニングデータの再構築、システムレベルの緩和策、準備フレームワークに基づく厳格な評価、そして様々な倫理的考慮事項への対応を通じて、これらの強力なモデルを安全に提供することに重点を置いています。これらの取り組みは、AIの進歩がもたらす恩恵を最大化しながら、潜在的なリスクを最小化するための重要なステップです。

第6部: 利用方法とアクセス

ChatGPTでの利用

o3とo4-miniは、ChatGPTプラットフォームを通じて幅広いユーザーが利用できるようになっています。これらのモデルへのアクセス方法と利用の詳細を見ていきましょう。🖥️💬

アクセス計画:

  1. 即時アクセス(リリース日から):

    • ChatGPT Plus、Pro、およびTeamユーザー
    • モデルセレクタでo3、o4-mini、およびo4-mini-highを選択可能
    • これらは従来のo1、o3-mini、およびo3-mini-highに代わるもの
  2. 1週間後のアクセス:

    • ChatGPT EnterpriseおよびEduユーザー
  3. 無料ユーザー向けアクセス:

    • 無料ユーザーは、クエリを送信する前にコンポーザで「Think」を選択することでo4-miniを試用可能
  4. レート制限:

    • すべてのプランでのレート制限は以前のモデルから変更なし
  5. o3-proのリリース予定:

    • 数週間後にリリース予定(全ツールサポート付き)
    • それまでの間、Proユーザーはo1-proにアクセス可能

ChatGPTでの使用方法:

  1. モデルの選択:

    • ChatGPTインターフェースのモデルセレクタからo3またはo4-miniを選択
    • 適切な思考努力レベル(標準またはhigh)を選択
  2. ツールの活用:

    • ウェブ検索、Python、視覚分析、画像生成などのツールを活用
    • 複雑なクエリでは、モデルが自動的に適切なツールを選択
  3. マルチモーダル機能の使用:

    • 画像をアップロードして分析や解釈を依頼
    • テキストと画像を組み合わせた複雑なクエリの作成
  4. オプティマイゼーションのヒント:

    • 複雑な問題には十分な文脈と詳細を提供
    • 必要に応じてフォローアップ質問で対話を継続

ChatGPTでのo3とo4-miniの利用は、直感的かつシームレスになるように設計されています。ユーザーは高度な推論能力と完全なツールアクセスを組み合わせることで、より複雑な問題解決や創造的なタスクを実行できるようになります。

開発者向けAPI

o3とo4-miniは、開発者がカスタムアプリケーションやサービスに統合できるように、APIを通じても提供されています。これにより、開発者はこれらの強力なモデルの能力を自社のプロダクトやワークフローに組み込むことができます。🔌👨‍💻

API提供の概要:

  1. 即時アクセス:

    • Chat Completions APIおよびResponses APIを通じて開発者に提供
    • 一部の開発者はこれらのモデルにアクセスするために組織を検証する必要あり
  2. 主要なAPI機能:

    a. Responses API:

    • 推論サマリーのサポート
    • 関数呼び出し周辺の推論トークンを保持する機能(パフォーマンス向上)
    • ウェブ検索、ファイル検索、コードインタープリターなどの組み込みツールを今後サポート予定

    b. Chat Completions API:

    • 標準的なチャットインターフェースとの統合
    • マルチモーダル入力のサポート
  3. ツールとの連携:

    • API経由でのカスタムツール呼び出しが可能
    • モデルの推論能力とカスタムツールの組み合わせ
  4. AzureでのAI統合:

    • Azure OpenAI Serviceを通じてo3とo4-miniが利用可能
    • Azure AI FoundryとGitHubを通じた統合が可能

開発者向けの主要な特徴:

  1. 推論サマリー:

    • モデルの思考プロセスの要約を出力に含める機能
    • より高い透明性と理解を提供
  2. マルチモダリティのサポート:

    • 画像分析と視覚的推論の能力
    • テキストと画像を組み合わせた入力の処理
  3. 並列ツール呼び出し:

    • 複数のツールを並行して呼び出す能力
    • エージェント的なソリューションの構築をサポート
  4. コスト効率と性能のバランス:

    • タスクに応じた最適なモデル(o3またはo4-mini)の選択
    • コストとパフォーマンスの最適なバランスを実現

開発者向けAPIを通じてo3とo4-miniを統合することで、開発者は自社のアプリケーションやサービスに高度な推論能力を組み込むことができます。これにより、エンドユーザーエクスペリエンスの向上、複雑な問題解決の自動化、そして新しいタイプのAIアプリケーションの開発が可能になります。

Codex CLI: ターミナルからの利用

OpenAIはo3とo4-miniのリリースと同時に、「Codex CLI」という新しい実験的ツールも公開しました。これは、ターミナルから実行できる軽量なコーディングエージェントで、o3やo4-miniなどのモデルの推論能力を最大化するように設計されています。🖥️⌨️

Codex CLIの主な特徴:

  1. ターミナルベースの軽量インターフェース:

    • コンピュータのターミナルから直接実行可能
    • ユーザーとコンピュータをAIモデルに接続する最小限のインターフェース
  2. ローカル環境での直接操作:

    • ユーザーのコンピュータ上で直接動作
    • ローカルコードベースへのアクセスが可能
  3. マルチモーダル推論のサポート:

    • スクリーンショットや低忠実度のスケッチをモデルに渡す機能
    • コマンドラインからのビジュアル理解が可能
  4. オープンソース:

    • 完全にオープンソース化されているため、誰でも利用・改良可能
    • GitHub(github.com/openai/codex)で公開
  5. サポートモデル:

    • 現在はo3とo4-miniをサポート
    • 今後はGPT-4.1などの追加APIモデルもサポート予定

Codex CLI開発支援イニシアチブ:

OpenAIはCodex CLIとOpenAIモデルを使用したプロジェクトを支援するため、100万ドルのイニシアチブを開始しました。このプログラムでは、25,000ドル単位のAPI統合に対する助成金申請を受け付けています。

使用例:

Codex CLIは、以下のような使用例で特に価値を発揮します:

  1. 複雑なコーディングタスクの自動化:

    • バグ修正や機能実装などの作業を補助
    • コードベース探索と理解のサポート
  2. プロトタイピングと実験:

    • 新しいアイデアを素早くプロトタイプ化
    • コンセプト検証のための迅速な実装
  3. ソフトウェア開発のサポート:

    • コードリファクタリングや最適化の補助
    • テストの生成と実行
  4. システム管理とオートメーション:

    • 複雑なシステム管理タスクの自動化
    • シェルスクリプトやバッチ処理の最適化

Codex CLIは、o3やo4-miniの高度な推論能力をソフトウェア開発のワークフローに直接統合する画期的なツールです。コマンドラインからの使用に特化した設計により、開発者は複雑なコーディングタスクを効率的に処理し、AIの支援を受けながら創造的な問題解決に集中することができます。

第6部のまとめ:
o3とo4-miniへのアクセスは、ChatGPT、開発者向けAPI、そしてCodex CLIという3つの主要なチャネルを通じて提供されています。ChatGPTでは、様々なユーザープランに応じた段階的なロールアウトが計画されており、APIを通じて開発者はこれらのモデルをカスタムアプリケーションに統合できます。また、新しいCodex CLIは、ターミナルからこれらのモデルの推論能力を最大化する革新的な方法を提供しています。これらの多様なアクセス方法により、様々なユーザーがそれぞれのニーズに合わせてo3とo4-miniの能力を活用できるようになっています。

第7部: 未来への展望

モデル開発の方向性

o3とo4-miniのリリースは、OpenAIのAIモデル開発の方向性を示す重要な指標となっています。これらのモデルは、将来のAI開発がどのように進化していくかを垣間見せています。🔮📈

OpenAIが示す将来の方向性:

  1. 能力の統合:

    • o-seriesの専門的な推論能力とGPT-seriesの自然な会話能力を収束
    • ツール使用と高度な問題解決を会話的インターフェースと統合
  2. マルチモーダル理解の深化:

    • テキスト、画像、音声などを融合した深いマルチモーダル理解
    • 複数の情報源からのシームレスな情報統合
  3. エージェント的能力の強化:

    • よりプロアクティブなツール使用と問題解決能力
    • ユーザーの代わりにタスクを自律的に実行する能力
  4. 効率と性能のバランス:

    • 小型で効率的なモデル(o4-mini)と高性能モデル(o3)の並行開発
    • ユースケースに応じた最適なモデル選択の可能性

OpenAIが述べているように、今後のモデルは「自然な会話とプロアクティブなツール使用、高度な問題解決をサポートする」方向に進化していくと考えられます。o3とo4-miniは、この長期的なビジョンに向けた重要なステップとなっています。

潜在的なインパクト

o3とo4-miniのようなモデルの進化は、様々な分野に広範な影響を与える可能性があります。これらのモデルがもたらす潜在的なインパクトを検討することは、将来の準備と適応のために重要です。🌍💡

主要分野における潜在的インパクト:

  1. 科学研究とイノベーション:

    • 研究プロセスの加速と新しい科学的洞察の発見
    • 複雑な科学的課題に対する新しいアプローチの開発
    • 例:物理学や生物学の未解決問題への新しい視点の提供
  2. 教育と学習:

    • パーソナライズされた学習体験の向上
    • 複雑な概念の理解と習得の支援
    • 教育コンテンツの作成と最適化
  3. 知識労働とビジネス:

    • 複雑な分析と意思決定プロセスの高度化
    • ビジネスインテリジェンスと戦略立案の強化
    • コンテンツ作成とコミュニケーションの効率化
  4. ソフトウェア開発とテクノロジー:

    • コード生成と問題解決の自動化
    • ソフトウェア設計と最適化の支援
    • 技術的複雑さの抽象化と理解の容易化
  5. 社会と文化:

    • 情報アクセスと知識共有の民主化
    • 言語と文化の障壁の低減
    • 創造的表現の新しい形態の促進

これらの潜在的なインパクトは、技術の進化とともに現実のものとなっていくでしょう。しかし、その過程では技術的、社会的、倫理的な課題も生じることが予想されます。これらの課題に対処しながら、AIの恩恵を最大化するためのバランスの取れたアプローチが重要です。

次に期待される進化

o3とo4-miniのリリースを踏まえ、AIモデルの次の進化段階ではどのような発展が期待されるでしょうか。現在の技術トレンドと開発の方向性から、次に期待される進化を考察してみましょう。🔄🚀

短期〜中期的に期待される進化:

  1. 推論能力のさらなる向上:

    • より複雑で抽象的な問題に対する推論能力の向上
    • より長い推論チェーンと深い思考プロセスの実現
    • 科学的・数学的問題解決における人間レベルを超える能力
  2. エージェント的能力の進化:

    • より自律的なタスク実行能力
    • 複数のサブタスクの計画と実行
    • 長期的な目標達成のための戦略的思考
  3. マルチモーダル理解の深化:

    • より多くのモダリティ(テキスト、画像、音声、動画など)の統合
    • モダリティ間のより深い意味的理解
    • マルチモーダルコンテンツの生成と操作
  4. メモリと長期的文脈の改善:

    • より長期的な対話履歴の理解と活用
    • ユーザー固有の知識と習慣の記憶
    • 過去の相互作用に基づく個人化の向上
  5. 効率とアクセシビリティの向上:

    • より効率的なモデルアーキテクチャの開発
    • より広範なデバイスとプラットフォームでの実行可能性
    • 低リソース環境でのパフォーマンス向上

長期的には、AIモデルはさらに人間の認知能力に近づき、場合によってはそれを超える領域も出てくると考えられます。しかし、同時に安全性、倫理、ガバナンスなどの側面も進化を遂げる必要があります。AIの発展と社会の適応は並行して進んでいくでしょう。

第7部のまとめ:
o3とo4-miniは、OpenAIのAIモデル開発の方向性を示す重要なマイルストーンです。これらのモデルは、推論能力、ツール使用、およびマルチモーダル理解を統合するという将来のビジョンを体現しています。今後のモデルでは、より高度な自律性、深いマルチモーダル理解、効率的な実行を実現することが期待されます。これらの進化は、科学研究、教育、ビジネス、テクノロジー、社会文化など様々な分野に広範なインパクトをもたらす可能性があります。AIの進化は続き、その能力と応用はますます拡大していくでしょう。

まとめ

o3とo4-miniの登場は、AIモデルの能力と応用可能性における重要な進化を示しています。これらのモデルは、OpenAIのo-seriesの最新版として、「応答する前により長く考える」という特徴を持ちながら、さらに進化した推論能力、完全なツールアクセス、そしてマルチモーダル理解を備えています。

主要なポイント

  1. 革新的な能力:

    • 高度な推論能力と完全なツールアクセスの統合
    • 画像を思考連鎖に直接統合するマルチモーダル理解
    • エージェント的なツール使用と問題解決能力
  2. 技術的進歩:

    • 強化学習のスケーリングによる能力向上
    • ツール使用の学習による複雑な問題解決
    • 様々なベンチマークでの大幅なパフォーマンス向上
  3. 幅広い応用可能性:

    • 研究と学術支援
    • ビジネス分析と意思決定
    • 技術的問題解決とコーディング
    • 日常生活での活用
  4. 安全性と倫理への配慮:

    • 安全性トレーニングデータの再構築
    • 準備フレームワークに基づく厳格な評価
    • 様々な倫理的考慮事項への対応
  5. アクセスと統合:

    • ChatGPTを通じた段階的なアクセス提供
    • 開発者向けAPIでのカスタム統合
    • Codex CLIを通じたターミナルからの利用

未来への展望

o3とo4-miniは、AIの未来の方向性を示す重要な指標です。これらのモデルは、推論能力、ツール使用、そしてマルチモーダル理解の統合という将来のビジョンを体現しています。今後のモデルでは、より高度な自律性、深いマルチモーダル理解、そして効率的な実行を実現することが期待されます。

これらのモデルの進化は、科学研究、教育、ビジネス、テクノロジー、社会文化など様々な分野に広範なインパクトをもたらす可能性があります。AIの能力が向上するにつれて、人間とAIの協力関係もより深く、より生産的なものになっていくでしょう。

o3とo4-miniの登場は、単なる技術的進歩以上のものです。それは、AIが人間の知的活動をより効果的にサポートし、共に複雑な問題を解決していくという未来へのステップなのです。私たちは今、その未来の入り口に立っています。

クイズで理解度チェック

  1. o3とo4-miniの最も革新的な特徴は何ですか?
    a) 自然言語処理能力
    b) 完全なツールアクセスとエージェント的能力
    c) 大規模言語モデルのサイズ
    d) テキスト生成速度

  2. o3とo4-miniが「画像とともに考える」能力とは具体的に何を意味しますか?
    a) 画像を生成する能力
    b) 画像をテキストに変換する能力
    c) 画像を思考連鎖に直接統合する能力
    d) 画像を単に認識する能力

  3. o3とo4-miniの強化学習におけるスケーリングの主な発見は何ですか?
    a) より大きなモデルサイズが常に良い結果をもたらす
    b) より多くの計算リソースがより良いパフォーマンスをもたらす
    c) 訓練データが多いほど良い結果が得られる
    d) モデルのパラメータ数が重要

  4. Codex CLIの主な目的は何ですか?
    a) ウェブアプリケーションの開発
    b) ターミナルからのAIモデルの推論能力の最大化
    c) 画像生成の効率化
    d) データベース管理の自動化

  5. o3とo4-miniのセキュリティ向上のために実施された主な取り組みは何ですか?
    a) モデルサイズの縮小
    b) 安全性トレーニングデータの完全な再構築と推論LLMモニターの導入
    c) ユーザーアクセスの制限
    d) オープンソース化による透明性の向上

回答: 1-b, 2-c, 3-b, 4-b, 5-b

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