初心者向けの記事です.細かい部分は省略してモデリングしていきます.
オムニホイールの設計方法を記録します.
今回設計するのはこのホイールです.
https://www.robotshop.com/jp/ja/48mm-omni-wheel-hex-hub.html
どのようにモデリングしていくか
オムニホイールは赤枠のタイヤ(よく樽と呼ばれているため,以下は樽と呼称)と青枠のフレームでおおまかに構成されています.
オムニホイールは樽が4つとフレームで構成された面が2つ重なっているといえます.
そのため,樽,フレームを1つモデリングして,それをコピーして組み合わせれば作れそうです.
樽のモデリング
採寸
樽のモデリングには以下のパラメータが必要です.
- 樽の直径
- 樽の長さ
- ホイール直径
樽の直径
樽の長さ
同様に計測します.本来は樽とフレームの間にあそびがあるのですが,今回は簡単のためになしとして考えます.
ホイール直径
樽は常に接地していないといけないため,構造的に樽の外接円(円弧)はホイールの外接円と同じになります.そうでなければつねにガタガタした走行になってしまいますね.
そのため,ホイールの直径を調査します.
ウェブショップからの情報から,今回使用するホイールの直径は48mmです.
樽をモデリングする
これらのパラメータから樽をモデリングしていきます.
このスケッチを"回転"を使ってボディを作っていきます.回転軸はスケッチのこの部分を使います.
保存して樽は完成です.
フレーム部分のモデリング
※中心穴は使用するオムニにより異なるため今回は扱いません.
採寸
樽と同様に必要な個所を計測します.
フレームのモデリングには以下のパラメータが必要です.
- フレーム直径
- 中心部の出っ張り円の直径
- 出っ張り円の高さ
- フレームと樽の隙間
- フレームの厚さ
- 樽取付中心からフレームまでの前後の距離
- オムニ(両端の出っ張りまで)の厚さ
フレーム直径
中心部の出っ張り円の直径
出っ張り円の高さ
フレーム面から中心面の高さはこのようにノギスを使って測ります.
高さは1mmです.
フレームと樽の隙間
出っ張り円の直径に外接しているので,ホイール直径と樽のサイズから求められます.
計算は省略しますが1.2mmです.
フレームの厚さ
樽取付中心からフレームまでの前後の距離
ホイールの取付位置や丸みの幅も中心からずれているためこの部分も計測します.
オムニ(両端の出っ張りまで)の厚さ
モデリング
計測した値をもとにモデリングしていきます.
正面方向
樽とフレームの間は1.2mmの隙間が空いているため,⌒の部分を上側に移動します.
その際に「オフセット」を使うと内側&外側に線分のコピーができるため便利です.
「トリム」でスケッチの不要な部分を削除し,樽の部分を「円形状パターン」で4つ増やします.
垂直方向
正面方向だけで押し出しを行うとカクカクになってしまい垂直方向の丸みが表現できません.そのため,次に新しく垂直面にスケッチを作って,垂直方向の丸みを切り抜くためのスケッチを作成します.
今回は切り抜き用のスケッチを作成するので,適当なサイズで外枠を作ります.
垂直方向のスケッチも完成です.
形成
正面方向のスケッチを押し出します.フレームの厚み9.5mm+出っ張りの厚み1mmで合計10.5で押し出します.
次に垂直方向のスケッチを使って切り抜きします.「回転」で操作を「切り取り」にしてください.
次に2枚のフレームを組み付ける部分を作成します.
さらに新しくスケッチを作ります.その際に,フレームの裏面でスケッチを作ります.
もう片面のフレームと組み合わせる丸台を作ります.中心から直径20mmの円です.
実際に測れない部分なのでサイズはおおよそですが,今後の設計にはあまりかかわらない部分なので大丈夫です.
オムニ(両端の出っ張りまで)の厚さを計測したとき25.4mmだったので,出っ張りから丸台までの距離はその半分の12.7mmです.
フレーム面の幅が10.5mmだったので,引き算して2.2mmが丸台の高さになります(下方向に押し出すので負の値になります).
これでフレームのモデリングは完成です.
次に樽とフレームを組み付けてオムニの片面を作成していきます.
樽取付用の穴
そのままでは樽を正しい位置に取り付けることができないため,スケッチに取り付け用の点をプロットしていきます.
先ほどのフレームのデザインで,樽取付面の横に新しくスケッチを作成します.
点をプロットします.計測した通り,高さは底面から3.5mm,横の長さは原点から17.6mmの距離です.
これを樽を取り付けるように4面それぞれつくっていきます.
全部描いてもいいのですが,面倒なのでスケッチをコピーしてしまいましょう.
まず先ほどのスケッチを開いて,ドラッグ&ドロップ&Ctrl+Cで全部コピーします.
スケッチを閉じ,新しい面でスケッチを作成します.
作成したらCtrl+Vを押してペーストします.
そうすると,先ほど作図した丸や寸法がこのスケッチ上でもコピーされます.
これで保存すれば準備は完了です.
なお,プロットした点のスケッチは見える状態で保存してください.
次はフレームに樽を取り付けていきましょう.
オムニの片面組付け
まず新規デザインを作成し,名前を付けて保存します.
次に作成したフレームをドラッグ&ドロップして新規デザインにコピーします.
樽の配置とジョイント
先ほどのスケッチのプロットを軸にして樽を配置します.
フレームの時と同様に樽もドラッグ&ドロップしてコピーします.
そのままだと置くだけになってしまうので,フレームに樽をくっつけてみましょう.
くっつけることを「ジョイント」と言います.今後多用するので覚えておいてください.
「アセンブリ」から「ジョイント」を選択します.
ジョイントするもう片面を先ほどスケッチでプロットした点にします.
なお,樽が逆向きについてしまうときはこの反転ボタンを押すと逆向きに付けれます.
これで片面は完成です.
オムニの両面組み付け(完成)
先ほどのオムニの片面を保存します.また新しく新規デザインを作成し,保存してオムニの片面を2回ドラッグ&ドロップします.
その際に45度回転します.
こうすることで樽が常に接地するようになります.
これで完成です.
お疲れさまでした!
ここまでやれればあとは穴を空けることはそこまで難しくないと思うので記載はしません.
穴を空ける際はフレームのデザインを修正するか,組付け後のリンクを解除する方法がありますが,リンクを解除すると修正が反映されなくなるため,前者がおすすめです.