アナログの時代のVR
実はVRは最初、トリックアートから生まれた技術なんですね。
有名なもので扉にギターがかかっているように見えるというイギリスのトリックアートがあります。
これは、jan van der vaarによって描かれたトリックアートです。
この類のトリックアートというのは1600年代から1700年代にかけて非常に人気がありました。
また、他にもLeicester Squareにあるパノラマ画像も没入感を楽しむアートとして有名です。
このパノラマは1801年のものです。当時からしたら最も最先端の没入感を楽しむ術だったんですね。
1800年から1900年までこの類のものは世界中のミュージアムどこででも見れることができます。
そして、次に誕生したのがステレオグラムです。
ステレオグラムとは目の焦点を意識的にずらし合わせることで、立体的な印象を持たせるように描かれた平面の図や絵、写真の事です。
いわゆる3Dメガネ的な奴ですね。
このときのステレオグラムは右目と左目に別々のものを見せて立体に見せるというものでした。
デジタルの時代のVR
さぁそして、いよいよVRの原型となるものが1900年から2000年にかけて登場するわけです。
実はVRという技術は第一次世界大戦中のパイロットのトレーニング用に開発されました。
有名なものにLink Trainerというものがあります。
このころはまだ、デジタルの技術はないので、右目用のプリントされた絵と左目用のプリントされた絵を高速で見せてあたかも飛んでいるかのように見せていました。
そして、来ました第二次世界大戦。
このころには多くの会社がシミュレーターの作成に取り組んでいました。
例えば有名どころでいうと、Evans & Sutherland。
そもそも、アナログからデジタルにすることのメリットは、好きな映像を簡単に変えることができます。
前回ご紹介した通り、アナログ時代ではいわゆるすでにある写真や絵を使っていましたが、コンピューターを使うとそれら写真や絵を簡単に編集して様々ものを作ることができます。
簡単に言えば、アナログからデジタルにすることで柔軟性が増すんですね。
そして、このデジタルVRの起源は、1968年のIvan Sutherland's の Sword of Damocles Systemです。
以下がSword of Damocles Systemになります。
写真を見てもらったらわかるように一番最初のVR機器は奇妙な装置なんです。
なぜこういう形かというと、こうすると頭をどれだけ動かしたかが簡単にわかるのでそれに合わせて映像を変えやすいんですよね。
とにかくなんでもそうですが、物理的につながっているほうが挙動とかわかりやすいんですよね。
もちろんこの時代のVRなので、映像は荒かったです。
その次は、1989年にNasaのThe Virtual Interface Environment WorkstationというVR機器です。
これが今では現代のVRのプロトタイプとされています。
もちろん、手のグローブ的なものは手のトラッキングもできますし、音声も聞けるうえ360度見れます。(いやほぼ現代!Nasaすごいですね。地球外少年少女に出てくるだけある。)この装置は主に飛行士の訓練に使われました。
そして、1990年代あたりからVR産業が発達してきます。
その一つが、バーチャルリアリティ製品の開発と販売事業を行なっていた会社であるVPLリサーチです。
そして、もちろんVRの研究も盛んになってきます。
こちらは、1990年代の時のもっとも最先端なVR機器である、virtual research flight helmetです。
しかしながら、これらはまだ個人向けには売られていなかったんですね。
しかし、様々なところでVRを体験できました。その一つの例として、
もちろんですが、そもそもコンピューターがあまり普及していなかった時代ですし、ましてや3Dグラフィックアクセラレーターを兼ね備えたパソコンはとんでもなくレアだったので、価格は非常に高かったです。
しかし、年がたつにつれて、だんだんと値段は安くなっていきます。
1995年にはVFX1 Forte head mounting displayをコンシューマー向けに出しました。
しかしながら、それは流行りませんでした。
というのも、そもそも画質が荒かったんですね。
それから、ラグがあったりしたため、操作者は酔ってしまうという問題がありました・・・・。
そして、当時最高の画質を誇っていたVirtual Research VR 1280。
これの画質がこちら。
最高の画質といえど、正直これが限界でした。
次は1990年の後半と2000年前期ににかけてのVRのお話をしていきます。
気になる方は要チェックです!