この記事でわかること
Copilot for Power BI、データエージェント、スタンドアロンCopilotの違いとその比較表
はじめに
Microsoft Fabricを使っていると、「Copilot」と「データエージェント」、どちらを使えばよいのか迷う場面が出てきます。
一見似たように見えるこれらの機能ですが、実際には 得意とする用途や利用シーンが異なります。
比較的ビジネスユーザーが利用することの多いFabricのAI機能
- Copilot for Power BI(Fabric in Copilot(Power BI))
- データエージェント
- スタンドアロンCopilot
について、
暫定的に、筆者なりの切り口でまとめてみました。
※本記事の内容は 2025年9月時点の情報 に基づいています。
※なお、ETL領域(Dataflow Gen2やノートブック内のCopilotなど)は今回の対象外です。こちらについては以下の動画も参照ください。
各UIを少しだけ紹介(どこから使うか)
それぞれのCopilotが どこから利用できるか を簡単に紹介します。
Copilot for Power BI
Power BI DesktopやPower BI Serviceのレポート編集画面で、右側にサイドパネルとして表示されます。DAX生成やビジュアル作成のサポートが主な用途です。
Fabric データエージェント
Fabricのワークスペース内で「データエージェント」というアイテムを作成して利用します。指示やクエリ例を登録することで、カスタムQ&Aやチャット型の分析環境を提供できます。
スタンドアロン Copilot
Power BI Serviceの左パネルから利用可能です。Fabric全体のデータアセットを横断的に検索・質問するためのインターフェースです。
比較表まとめ
以下はそれぞれのAI機能を比較した表です。
なお、いずれのCopilot機能も「Fabric容量を利用できる状態であること」や「テナント設定が機能を有効化していること」が大前提となります。
また、本記事の比較内容は公式ドキュメントだけでなく、筆者が実際に各機能を操作して確認した結果に基づいて記載しています。
そのため、プレビュー機能や環境設定によっては挙動が異なる場合がある点にご注意ください。
その上で、利用者視点での違いを整理したのが以下の表です。
項目 | Copilot for Power BI | Fabric データエージェント | スタンドアロン Copilot |
---|---|---|---|
主な用途 | Power BIレポートの作成・分析支援 | 組織専用のQ&Aやエージェントの構築 | データアセットの横断的探索・分析 |
利用可能なインターフェース | Power BI Desktop / Service(レポート編集画面内のサイドパネル) | Fabricワークスペースで作成したデータエージェントアイテム | Power BI Service・Fabric全体のナビゲーション |
利用対象ユーザー | レポート作成者、レポート利用者 | 特定の目的に沿った(部門単位など)ユーザー | Fabric内でデータを検索・活用するユーザー |
利用可能ユーザー | レポート閲覧ユーザー(分析機能のみ利用可能)レポートの編集ユーザー(レポート作成・修正機能が利用可能) | データエージェントアイテムへのアクセス権を持つユーザー | Power BI Webにアクセス可能なユーザー |
作成 | 不要(レポート作成時に自動で利用可能) | 必要(データエージェントアイテムを新規作成) | 不要(テナント設定によって利用可否が決定) |
可視化 | レポート画面でできる(チャットパネル画面内ではできない) | できない | レポートをデータソースにした場合のみレポート内の既存のビジュアルを表示することができる |
カスタマイズ性 | 低(事前構築不要) | 高(AIへの指示・プロンプト例の作成が可能) | 低(事前構築不要) |
データソース数 | 単一(対象レポートおよびその背後のセマンティックモデル) | 最大5つまで(自由に組み合わせ可能) | 最大5つまで(自由に組み合わせ可能) |
データソース種類 | セマンティックモデル | レイクハウス、ウェアハウス、セマンティックモデル、KQLデータベース | レポート、セマンティックモデル、データエージェント |
外部連携 | なし | Copilot Studio(Teams公開など)、Azure AI Foundryと連携可能 | なし |
利用環境 | 一般提供(GA)済み | パブリックプレビュー中 | パブリックプレビュー中 |
SQL・Pysparkの生成 | 可能 | 可能 | 可能 |
その他 | インターネット上の情報と組み合わせた回答を得ることができる |
筆者から見た使い分けの感想
Copilot for Power BI
既存のPower BIレポートの作成・分析・改善時に最適。
レポート作成者がDAX生成、ビジュアル作成、要約を行うときにとても役立ちます。
DAX生成のサポートは特に強力で、複雑な計算式や条件分岐を自動的に提案してくれるため、これまで時間がかかっていた集計ロジックを素早く作成できます。
また、ユーザーが気づきにくい切り口や比較視点を提示してくれるなど、分析を進める上で新たな発見を促す補助機能としても大きな効果を発揮します。
Fabric データエージェント
複数のデータソース(最大5つ)を統合し、組織専用のQ&Aやチャットサービスを構築したい場合に最適。
-
部門固有の用語や業務ルールを自然言語で指示として追加できるため、利用シーンに合わせた柔軟な回答が可能です。
-
インターネット上の情報も活用しながらFabricデータと組み合わせて分析できるため、社内データだけでは得られない視点を補うことができます。
-
カスタム性が高く、Copilot StudioやTeamsと連携して社内外向けのチャットボットやアシスタントを開発できるのも大きな強みです。
Fabricの機能を超えて、Fabricデータに基づく高度なチャットサービスを簡単に作成できる点は、データ活用を一段上のレベルへ引き上げます。
スタンドアロン Copilot
組織全体に散在するデータアセットを横断的に探索・発見したい場合に最適。
「どのデータがどこにあるか分からない」といった状況でも、複数のレポートやデータソースを横断して検索・分析できるため、アドホックな調査やデータ発見に役立ちます。
ただし現状では精度や回答品質がCopilot for Power BIやFabric データエージェントよりやや劣る印象があり、機能面でも前の2つと重なる部分が多いため、筆者としては現時点で明確な使いどころを見つけにくいと感じています。今後のアップデートによる進化に期待したいところです。
おわりに
FabricのCopilotは同じ“会話型AI”でも狙っている利用シーンがそれぞれ異なります。
どれか一つが万能というわけではなく、使う場面や目的によって選び分けることが重要です。
Youtubeもやっているので見ていただけると嬉しいです!
FabricやDatabricksについて学べる勉強会を毎月開催しています!
次回イベント欄から直近のMicrosoft Data Analytics Day(Online) 勉強会ページ移動後、申し込み可能です!