機械学習を利用するAndroidアプリの開発
近年機械学習が話題になっています。しかし、機械学習を本格的に学んだことがある開発者が少ないので、機械学習を使うアプリの開発を難しく感じるかもしれません。
ところが、実際の開発において、機械学習のロジックを自前で実装する必要がありません。ML Kitを使えば、機械学習の知識がなくても簡単に開発できます。
Androidで簡単に導入できるML Kitが二つあります。
- HMS ML Kit
- Firebase ML Kit
どれを導入すべきか迷う方がいらっしゃると思うので、HMS ML KitとFirebase ML Kitの機能をまとめてみました。
※HMSにHUAWEI HiAiの機能もあるが、ファーウェイの端末でしか利用できないので、今回の比較対象に入れないことにします。HUAWEI HiAiに興味がある方はこちらをご参照ください(https://developer.huawei.com/consumer/jp/hiai)。
HMSのML KitとFirebaseのML Kitの比較
下記はHMSのML KitとFirebaseのML Kitの比較表です。Google Cloudで代用できる機能も表に入れました。
機能 | HMS(オンデバイス) | Firebase(オンデバイス) | HMS(クラウド) | Firebase(クラウド) |
---|---|---|---|---|
テキスト認識 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
ドキュメント認識 | 〇 | Google Cloud - Vision AI | ||
銀行カード認識 | 〇 | |||
一般カード認識 | 〇 | |||
翻訳 | 〇 | 〇 | 〇 | Google Cloud - 翻訳 |
言語識別 | 〇 | 〇 | 〇 | |
音声認識 | 60秒以内、ファイル、リアルタイム、日本語未対応 | Google Cloud - Speech-to-Text | ||
音声合成 | 日本語未対応 | Google Cloud - Text-to-Speech | ||
自然な音声合成 | 日本語未対応 | Google Cloud - Text-to-Speech | ||
音声種類識別 | 〇 | |||
画像のラベル付け | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
オブジェクトの検出とトラッキング | 〇 | 〇 | ||
ランドマーク認識 | 〇 | 〇 | ||
オブジェクト切り抜き | 〇 | |||
類似商品検索 | 〇 | Google Cloud - Vision AI | ||
画像高画質化 | 〇 | |||
画像歪み補正 | 〇 | |||
文字高画質化 | 〇 | |||
場面のラベル付け | 〇 | |||
顔検出 | 〇 | 〇 | ||
骨格検出 | 〇 | |||
Live Face Detection | 〇 | |||
手のひら検出 | 〇 | |||
自然言語処理 | 〇 | Google Cloud - 自然言語 | ||
AutoML モデルの推論 | 〇 | 〇 | ||
カスタムモデルの推論 | 〇 | 〇 | ||
バーコード スキャン | 〇 | 〇 | ||
スマート リプライ | 〇 | Google Could - Dialogflow |
比較表に示したように、画像認識分野においては、HMSのほうがより多くの機能を提供しています。音声認識分野においても、Firebaseがオンデバイスの言語識別機能しか提供していないのに対し、HMSがさらにクラウド機能も提供しています。また、日本語の音声認識と音声合成機能を使う場合は現時点ではGoogle Couldを使うとよいでしょう。総じて言えば、HMSのほうがより豊富な機械学習能力を提供しています。
参考
- HMS:https://developer.huawei.com/consumer/jp/
- HMS ML Kitの紹介:https://developer.huawei.com/consumer/jp/hms/huawei-mlkit
- HMS ML Kitのドキュメント:https://developer.huawei.com/consumer/jp/doc/development/HMSCore-Guides/service-introduction-0000001050040017
- Huawei Developers:https://forums.developer.huawei.com/forumPortal/en/home
- Facebook Huawei Developersグループ:https://www.facebook.com/Huaweidevs/