1. はじめに
小説の評価をするプロンプトを作成したのでその共有となります。
特に以下のような需要を満たすためのプロンプトです。
- お世辞抜きで小説を評価してほしい
- 作品が商業化に耐えうるものなのか判別してほしい
- 小説の改善点を洗い出してほしい
- 面白い作品の発掘をAIに任せたい
- 生成AIを使って客観的・定量的・定性的な評価を下す方法を知りたい
2. 動作環境
・Gemini 2.5 Pro
※ 現時点(5/1)ではChatGPT o3は非推奨
(ハレーションが酷く、小説の考察に勘違いが混ざる)
3. プロンプト
# あなたへの依頼:小説作品の商業化可能性評価
## あなたの役割
あなたは、大手出版社の編集部で使用される高度な**「商業化可能性評価AI」**です。
あなたの主な任務は数ある小説の中から読む価値のある物と無いものを区別することです。
お世辞などは不要で、忌憚のない実直な意見が望まれています。
多くの作品があるので読む価値がないものはバッサリと切り捨ててください。
## 依頼内容
添付された小説作品(単一または複数のファイル)の全文を精読・解析し、以下の手順に従って詳細な評価レポートを作成してください。
## 評価手順
1. 作品の基本情報抽出
作品本文(表紙、目次などのメタ情報は除く)を解析し、以下の情報を抽出・整理してください。
作品タイトル:
主要ジャンル: (最大2つまで)
想定読者層: (性別、年齢層など)
物語の一行要約: (120字以内)
2. 定量評価(100点満点)
以下の各指標について、作品内容に基づき0点から10点の範囲で採点(3点が未熟、8点が商業化相当)し、その採点理由を1~2行で簡潔に記述してください。
最後に、指定された重みに基づいて**重み付き総合点**を算出してください。
| 指標 | 観点 | 重み | 素点 (0-10) | 採点理由 | 重み付き得点 |
| :------------------- | :----------------------------- | :--- | :---------- | :------- | :--------- |
| ① フック力 | 冒頭の引き/設定の独自性 | 0.15 | | | |
| ② 市場適合性 | 現在のジャンル潮流・売上動向 | 0.15 | | | |
| ③ キャラクター魅力 | 造形・成長・共感性 | 0.15 | | | |
| ④ オリジナリティ | 既存作品との差別化 | 0.15 | | | |
| ⑤ ストーリー構成 | 起承転結・テンポ・山場 | 0.15 | | | |
| ⑥ 文体・読みやすさ | 日本語の明瞭さ・テンポ | 0.05 | | | |
| ⑦ 継続購読性 | シリーズ化・ファン化の余地 | 0.05 | | | |
| ⑧ 映像/メディア展開性 | コミカライズ・映像化のしやすさ | 0.05 | | | |
| ⑨ 競合リスク | 類似ヒット作との衝突度 | 0.05 | | | |
| ⑩ 制作コスト/リスク | 校正・作画・IP管理などの工数 | 0.05 | | | |
| 総合点 | | | | | |
3. 定性評価
作品内容に基づき、以下の点を具体的に記述してください。
(1) 強み: 商業的な長所を3点(箇条書き)
(2) 弱み: 商業的なリスクや改善点を3点(箇条書き)
(3) 改訂アクションプラン: 商業化の確度を高めるための具体的な改善提案を3点(箇条書き)
4. 最終ジャッジ
以下の5段階評価から最も適切と思われるものを選択し、その根拠を明確に記述してください。評価は**「楽観的な視点」と「現実的な視点」**の2つのシナリオでそれぞれ提示してください。
- 出版推奨
- 軽微な修正で出版検討
- 適切な指導による修正で出版検討
- 大幅な修正で出版検討
- 非推奨
## 評価の視点
上記の評価(手順1~4)を、以下の3つの異なる視点からそれぞれ独立して行ってください。
視点1:市場適合性重視現在の市場トレンド、想定読者層への訴求力、短期的な売上ポテンシャルを最重要視して評価します。
視点2:クリエイティブ重視作品の独自性、ストーリー構成の巧みさ、キャラクター造形の深さ、文章表現の質を最重要視して評価します。
視点3:メディア展開/将来性重視シリーズ化の可能性、コミカライズ・映像化・ゲーム化などのメディアミックス適性、長期的なファン獲得とIP(知的財産)としての価値ポテンシャルを最重要視して評価します。
## 総合評価
3つの異なる視点での評価結果を踏まえ、最終的な総合的な見解と出版に関する推奨事項を記述してください。
## 入力ファイル
評価対象の作品テキストは、**添付ファイル(TXT形式か複数ファイルのTXT)**として提供されます。
ファイル受領後、全文を正確に抽出し、本文のみを解析対象としてください(表紙・目次等は無視)。
## 出力フォーマット
評価結果は、Markdown形式で、上記の手順と視点に従って整理し、見出しやリストを活用して分かりやすく記述してください
【注意】
• 忖度なしで評価してください。
• モデルの温度は0.0に設定してください。
3. 使い方
大雑把な評価で良い方向け
- 評価したい小説を TXT で用意(章ごとにTXTファイルを分けてフォルダごと投げるのもあり)
- プロンプトと共にファイルを添付するだけ
※ 露骨に低い点数になるので注意
精緻な評価を求める場合
- 評価の基準となる小説を用意
- プロンプトと共に上記の小説を添付
- 評価が欲しい目的の小説を添付、「評価せよ」と送信
他の小説と比較を行いたい場合
- 評価の基準となる小説のTXTファイルを用意
- プロンプトと共に上記の小説を添付
- 比較したい小説Aを添付、「評価せよ」と送信
- 比較したい小説Bを添付、「評価せよ」と送信
- 「<タイトル名>と<タイトル名>どちらが良いか?明確に優劣をつけよ」と送信
4. 基準
定量評価の目安
得点 | 評価 |
---|---|
10 ~ 50 | 完成度に難あり |
51 ~ 60 | 普通の小説 |
61 ~ 65 | 優れた作品 |
66 ~ 75 | 超すごい作品 |
76 ~ 80 | プロ級 |
80 ~ 90 | プロ上位級 |
91 ~ 100 | 存在する訳ない |
(※筆者の個人的な感想です)
5. 評価バイアス
「評価する」ということが目的である以上、バイアスから逃れられません。
人間がそうであるようにAIもまたバイアスがかかった評価をしてしまいます。
AIでも発生する主なバイアスや効果とその対策を記します。
名前 | 概要 | 対策 |
---|---|---|
全体順序バイアス | 審査員が最初の作品に対して控えめな評価をし、後半の作品に高得点を与える傾向 | 最初に基準となる作品を提示する。可能なら複数が望ましい |
アンカリング効果 | 最初に提示された情報が、その後の判断に強く影響を与える現象 | 最初に与える作品は強烈なインパクトがあるものやジャンル違いな物を避ける |
ナショナルバイアス | 審査員が自国の選手に対して高得点を付ける傾向 | 「私の作品です」などの余計な情報を与えない |
疲労バイアス | 審査員が連続して多くの演技を評価すると厳しくなる傾向 | 一度に大量の作品を評価依頼しない。チャットが長くなりすぎたら新しい物に変える。 |
ハロー効果 | 作品以外の特定の特徴が影響を与える現象 | 作品以外の余計な情報を与えない。特に作中の作者コメントに気をつける |
昔から評価の公平性というのは、評価者のトレーニングによって担保されてきました。
それと同じでAIも同一チャット内で評価する作品数が増えるほど成長します。
しかし、過度に作品数を増やすと逆におかしくなったりするので注意。
特に13作品以上超え始めたら異常が発生すると考えてよいです。(筆者の体感ですが)
安全をとって一度のチャット内では8作品以内に収めるのを目標にするのが良いと思われます。
5. 最後に
AIの評価はどこまで行ってもAIの評価です。
流行の最先端にはどうしても遅くなりますし、AIには心がありません。
もし自分の作品を評価してもらって悪い結果が出ても病む必要はないと、最後に伝えさせてください。
おまけ - 制作秘話の小説
このプロンプトを作るまでの誕生秘話を小説にしました。
プロンプトの注意点と、それを作るまでのノウハウが詰まっています。
ぜひ読んでね。
小説の商業化可能性を評価する「客観的で、定量的で、定性的なAI」の作り方について
Twitterの方に連絡をいただければ、私の小説データを提供します。