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Small Startで行こう! - 小さなロボットと仲良く働くある会社の毎日 -

Last updated at Posted at 2022-12-10

RPAツールで作成された小さなロボット、ちぃロボ君は働き者です。
複雑なことはできませんが、単純な繰り返しを間違わずに素早く行うことが得意です。
今日も、忙しい会社員の皆さんのお仕事を手伝っています。
会社員の皆さんが退社された後も、残業を頑張り、時差のある海外チームとの連携のお手伝いもしています。

この会社では、会社員の皆さんと、ちぃロボ君たちとチームを組んで効率化に取り組んでいます。
ちぃロボ君が集まった、ちぃロボ人事総務組、ちぃロボ戦隊経理班、ちぃロボ営業チーム1~3等のグループがあり、グループ間での集まりなどで、お相撲や球技大会、ではなく、意見交換や切磋琢磨、半期毎のコンテストが行われています。

これからお話するちぃロボ君が働く現場では、各階に次のようなポスターが掲示されています。

「Small Startからはじめよう」
「メンテナンスはこまめに キャッチアップも忘れずに」
「RPAも、ほうれんそうのおひたしで!」

受付や営業のお姉さんや情シスのお兄さんたち、人事や経理の課長さん主任さんたちとちぃロボ君が思い切りカメラ目線でポーズをとっています。この3枚のポスターは、"わが社RPAロボット三原則"と名付けられた、本年度の各部門の短期目標です。

■ちぃロボ君と人事の課長さん

この会社で一番最初に、ちぃロボ君が働き始めたのは、人事総務部です。

人事総務部の部長さんがまだ課長さんだったころ、個人情報保護法がとても厳しくなりました。セキュリティの関係で、職位により扱える業務が変わったため、課長さんが担当するお仕事が一気に増えました。その結果、昇進試験に必要な勉強の時間がなくなってしまい、課長さんも上司の部長さんもとても困ってしまったのです。

ちょうど、RPAロボットを作成するツールが出始めた頃です。開催されたイベントで、ちぃロボ君の存在を知った課長さんは、講習会や勉強会に出てみることにしました、親切な先駆者たちが率いるコミュニティで勉強し、課長さんはみるみるうちに最初のロボットを作りました。

それは、人事で導入済みのクラウドシステムにIDとパスワードを入れて中に入って出てくるだけのロボットでした。次にそのロボットに、業務で使う画面へのボタンを押す順番と種類を覚えさせました。その次には、必要な入力をExcelから拾ってシステムに転記することを、そのまた次にはPDFの発行を、さらにはOutlookと組み合わせてメールの発送の手順を教えました。

そして、出来上がったロボットを複製して、少しだけ手順を変更して、今度は別のシステムから同様の作業を行えるようにしたのです。また、それらのロボットの部品を課長さんの部下たちに分けてあげました。デジタル部品なので、簡単に複製できます。部下の皆さんもそれぞれRPAのコミュニティに入り、勉強会やもくもく会に出るなどしてスキルを上げ、自分たちのお仕事を手伝わせるちぃロボを作り始めました。

するとどうでしょう、あれほど右肩上がりだった残業時間が、徐々に減り始めました。課長さんと部下の人たち、部長さんも皆、大喜びです。便利なちぃロボ君を増やそうと社内に向けて、勉強会を行うことにしました。

「ちぃロボ人事総務組」では、次のようなお仕事をちぃロボ君が補助しています。
・勤怠表管理と所属上長への連絡
・役所や保育所に提出する書類のデータ取得、出力、管理
・社員の長期休暇管理
・各業務の技能引継ぎ内容管理

■ちぃロボ君とExcelさん

経理部のRPAチームの名称は、「ちぃロボ戦隊 経理班」です。

なぜ“戦隊”とついているのかと申しますと、経理部には「VBA戦隊 経理マン」と呼ぶべき一団の存在が既にあったからです。経理部では、長年鍛え上げられた経理筋を持つ細マッチョな老若男女の社員さんたちが、Excelのシートにはワークシート関数を配置し、適宜VBAマクロを組み合わせて最強の布陣を配置し、宿敵である深夜残業や休日出勤と日夜戦っていました。

「RPAができることはVBAで十二分にできるわ!ちぃロボなぞ必要ない!! この期末の忙しい時期に何を言っておるのか!」
そう言って、VBA戦隊 経理マンの隊長・経理部のお局様は頭から湯気を噴きそうな勢いで怒りました。実際のところ、VBAを極めますと、インターネットで画面や資料をとってくることも可能です。

経理部に入れてもらえず、しょんぼりするちぃロボ君を見かねた人事部の課長さんは経理部のお局さまを人事部に招待し、ちぃロボ君の仕事ぶりを実際に見てもらうことにしました。ちぃロボ君は、通常ならばVBAを極めなければ出せない技を、いとも簡単に連発することができました。それまでVBAと隊員の合わせ技でなければ戦えなかった場面も、ちぃロボ君ひとりで十分に戦えたのです。

するとどうでしょう、働くちぃロボ君たちを見たお局様の脳内で8桁以上計算可能な計算機が働きだし、費用対効果を勘案した結果、アンチちぃロボ君だったお局さまは「尊い」とつぶやくや否や、あっという間に、ちぃロボファンになってしまったのです。

人事総務部から部品を分けてもらった経理部では、それまでのメインウェポンであったExcelさんとちぃロボ君の組み合わせで合体ロボの開発に成功しました。宿敵である深夜残業や休日出勤との戦いに挑み、繰り返される激戦のなか、徐々に優勢に立つことができるようになりました。現在、経理部は、"超合体!大型ちぃロボ君マックス"の完成を目指して、日夜開発にいそしんでいるのです。

■ちぃロボ君と営業の皆さん

営業部の1~3グループは、力の第1、技の第2、力と技の第3チームと呼ばれています。それぞれの業務内容は、第1チームが新規開拓、第2チームが従来顧客担当、第3チームがネット販売などの新規分野です。営業さんの仕事は外回りが多く、始業時に朝礼、定時終了時に終礼、その間が営業活動、その後は事務作業という時間割で動いていました。これでは事務作業分がほぼ残業になります。

ある日、ちぃロボ君の噂を聞いた第3チームの主任さんは、これは新しいプロジェクトの戦力になるのでは?と考えました。第3チームでは、ちょうどEコマースの企画がたちあがっていました。当時、Eコマースで受注を受ける場合に在庫管理に問い合わせる時差の関係で、在庫がないものが店頭画面に並ぶ場合があり、せっかくお客様から出していただいた注文を断らざるを得ず、売り上げにつながらない場合があり、問題視されていました。商品を提供できないことから評判の低下も懸念されます。新しい企画ではこれを解決するために在庫状況の把握にかかる時間の短縮が求められていました。

在庫状況は、複数の古いシステムで管理されており、操作自体は単純なものの、在庫リストには何百にも及ぶ商品が並び、人手ではヒューマンエラーが出てしまうこと、そもそもその作業だけに専任の社員を確保することが難しいことから、企画は難航していたのです。

第3チームの主任さんは部長さんにかけあって、人事総務部に見学に出かけ、経理部に事情を話して、なんとか協力を得ることができました。経理部から情報システム部へ依頼が飛び、情シスさんに、「在庫状況の把握にかかる時間の短縮を担当するちぃロボ君」の開発をお願いすることが可能になりました。主任さんと情シスさんは話し合い、何度もテストを重ね、ちぃロボ君を作り上げました。その際、なぜか第1と第2チームの主任さんたちの姿がちらほらと見かけられました。

そして、「在庫状況の把握にかかる時間の短縮を担当するちぃロボ君」は企画の成功に貢献し、お客様からの注文は実店舗と同様に処理することができるようになりました。第3チームによるちぃロボ君導入は大成功をおさめ、そしてなぜか、第1と第2チームにも事務処理担当のちぃロボ君がいつの間にか導入され残業時間縮小の立役者となっており、この年の社内ロボットコンテストは、営業部合同名義で優勝をおさめました。

なお、この案件を担当し一回り小さくなった情シスさんは、このあと長期休暇をとった模様です。

めでたしめでたし

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