はじめに
本記事は一般社団法人プロセスマイニング協会が提供している「みんなのプロセスマイニング(みんプロ)」という2023年4月時点で協会の一般ユーザー会員に登録するだけで誰でも無料で扱う事ができるプロセスマイニングを理解するのに役に立つツールを実際に触ってみて、どんなものだったのかを解説していく記事です。「みんプロ」という名前は、みんなに使ってもらいたいという思いから「みんなのプロセスマイニング(みんプロ)」の名前になったそうです。検証バージョンは「バージョン1.0.1」時点のものになります。
まず、みんプロを実際に触ってみて、みんプロを扱うための準備や実際に操作する事でどのような知識が身に付くか考えると、下記の知識が身に付くであろうと思いました。
【今回解説している準備作業含めたみんプロに触れる作業で身に付くであろう知識】
1.プロセス分析、プロセスマイニングの概要や必要性、活用方法の基礎知識
2.業務改革(BPR)と業務改善の違いについての概要知識
3.プロセスマイニングが扱えるデータについての概要知識
4.プロセスマイニングの業務プロセス可視化機能の使い方の概要知識
5.可視化した後の分析方法についての基礎知識
6.プロセスマイニングツールの使い方の概要知識
上記1と2は、業務改善に必要な知識を知る事ができるものになっていると思います。これから紹介する学習動画の中でも少し触れられますが、企業内の業務改善活動には個別最適、部分最適、全体最適という改善の範囲があり、それぞれを正しく行う事は重要な取り組みだと考えます。「自分は個別最適の範囲しか業務改善しないから全体最適の話は関係ない」というものではなく、部分・全体最適でどのような取り組みがされるのかを知る事で、より上手く個別最適ができるようになっていく事ができると考えます。
有償の製品として販売されているプロセスマイニングツールには様々な分析や他機能が存在していますが、みんプロは「業務プロセスの可視化に特化した基本的な入門ツール」の位置づけで各製品が共通で持っているであろう、プロセスマイニングのコア技術に絞って開発及び無償提供がされているため、みんプロを使いこなせてもプロセスマイニングの全容を理解できるようなものではありません。あくまで入門者向けの学習用のツールというものです。製品版のプロセスマイニングツールの学習から入ると内容が難しいという方や、ちょっと興味があるから触ってみたい、学習してみたいという方が、みんプロから始めて見るのが良いと思います。
会員登録からツールをダウンロードして起動 (作業時間15分くらい)
まずは上記の一般社団法人プロセスマイニング協会のみんプロのサイトから新規会員登録をします。メール情報から仮登録されて、本登録に進みます。
本登録の後にサイトに会員としてログインを行い、ツールのダウンロードをします。使用する前の確認事項という情報があります。メモリは16GB以上が推奨との事です。ツールを扱うためにPythonのインストールも必要です。取り扱い説明書に動作環境の前提条件の記載があるため、必ず確認しましょう!
私の環境ではWindows標準機能でツールのZIPを解凍して、「Minpro.exe」を実行したのですが、画面上何も起きず、イベントビューアーには「説明: ハンドルされない例外のため、プロセスが中止されました。例外情報:System.NotSupportedException」のメッセージが出ていました。
取り扱い説明書に「Windows10付属の圧縮ファイルの解凍ソフトで解凍すると、アプリが起動できない場合があります。」の記載がしっかり書いてあるのを見逃しました、、
他の方も同様にハマるポイントかと思いますので気を付けましょう! 私の環境ではLhaplusという解凍ソフトでは上手く展開ができず、7zipという解凍ソフトで展開する事でエラーなく動作させる事ができました。
展開したフォルダに入っている「Minpro.exe」を実行するとみんプロが起動されます。
これでツールの起動までが完了ですが、ツールダウンロード時のチェック欄に「ソフト起動をしたら画面のスクリーンショットを指定のメールアドレスに送付する事に同意」があったと思います。こちらの内容は協会に問合せして確認したのですが、実際に起動までしているアクティブユーザーを把握したい用途で必須で対応してほしいものという事でした。利用規約となっているので起動まで完了したら指定の通りメールを送りましょう(スクリーンショットに個人情報や重要情報が入らないようにご注意下さい)
ツールを使うための事前学習(作業時間85分くらい)
ツールの私用方法について、サイトの使用方法の箇所に操作説明書が存在します。操作説明書には「データのインポート方法」「バリアントエクスプローラー」「プロセスエクスプローラー」「Caseデータ」タブの各画面の簡単な説明がされていますが、プロセスマイニングについての知識を持っていないと、それぞれが何のための操作するものなのかこれだけで読み取って、みんプロを扱っていく事はプロセスマイニング経験がない人には難しいと感じました。
「バリアントエクスプローラー」「プロセスエクスプローラー」「Caseデータ」と聞いて何をするか想像できていない方はまず、プロセスマイニングのついての基礎知識を学ぶところから始める事をお勧めします。基礎知識を学ぶためのコンテンツも一般社団法人プロセスマイニング協会は情報を出してくれています。みんプロのイントロダクションムービーと学習動画がChapter 1から6までありますので、まずはそれを視聴して大枠を理解してからツールを操作するのが良いと思います。Chapter 1、2は「プロセスとは」「プロセス分析とは」「業務改善の視点」「業務プロセスの可視化」等業務改善を行うのに知っておくと良い知識の説明がされており、プロセスマイニングをやらない方向けにもお勧めできる動画だと思います。
動画で説明していた資料は下記のリンク先からダウンロードする事が可能です。復習したい人はダウンロードして見返しましょう。
ツールを使うための事前準備(作業時間5分くらい)
各学習用の動画を視聴し終わったら、次にツールで扱うデータの準備作業に入ります。操作説明書にサンプルデータの記載がありますが、下記リンク先のよくある質問「デモデータはどこにありますか?」からダウンロードする事ができます。
自分で検証用のデータを作る所からやりたい方は、プロセスマイニングを体験するためのデモデータを簡単に生成できるツールを2023年4月5日に協会が展開しましたので、こちらを使う事で自分が検証したいデータに近いデータを準備する事ができそうです。解説のデモでは通勤パターンのデモデータを作成しています。今回はこちらの説明は省き、別の記事で書く予定の後編の記事でデータ作成から根本原因分析までをやってみようと思います。
デモデータである、「test_data_original.csv」を読み込むと、下記の画面が出力されます。データから判断するに、人の採用に関わるプロセスのデータである事が分かります。
ツールを触ってみる(作業時間30分くらい)
ツールを触れる準備が整ったらみんプロ学習動画のChapter 6のハンズオン動画に合わせて操作をしてみましょう。みんプロの学習動画のデモ動画では「チャーハンを作るプロセス」を題材にしており、デモデータでダウンロードしてきた「test_data_original.csv」とは分析プロセスが異なりますが、ハンズオンで説明しているツールの操作方法は変わらないので、ハンズオン動画を再度見ながら操作してみると悩まずツールを扱えると思います。ハンズオンでは「バリアント分析」「パフォーマンス分析」「リワーク分析」のやり方について説明しています。各画面のボタンや項目の説明は「取り扱い説明書」に細かく記載されているので、なんのためにあるボタンや項目か分からない場合はそちらを参照すると良いです。
総復習
下記のイントロダクションムービーで、プロセスマイニングの基礎、みんプロの使い方(バリアントエクスプローラー・プロセスエクスプローラー・Caseデータ)を理解できているか確認し、プロセスマイニング検定のためのクイックリファレンス・ノートを見て、記載されている内容が理解できたか確認し、できていない箇所があれば、学習動画を見直したり、再度ツールを触ってみたり、自分で調べたりする事で知識が定着していくと思います。
⇩プロセスマイニング検定のためのクイックリファレンス・ノート
https://apmj.or.jp/wp-content/uploads/2022/11/4dc3a797cdbd81e116f49dfcbb098b91.pdf
さいごに
後編の記事では、データを作成して根本原因の特定をするところまで通してやっていくところを記事に纏めようと思います。(7月頃までには投稿予定)
プロセスマイニングについて、もっと学習したいという方は、下記のサイトで学習したり、プロセスマイニング製品のベンダーが提供しているアカデミーを受講したり、製品ガイドを参照したりするのがお勧めです。
参考サイト