この記事はUiPathブログ発信チャレンジ2022サマーの20日目の記事です。
昨日はkinuはねこが好きさんの記事、明日はJunさんの記事です。
はじめに
Hyperautomation(ハイパーオートーメーション)、Intelligentautomation(インテリジェントオートメーション)、Semanticautomation(セマンティックオートメーション)という言葉の違いが分かりにくくなってきたので、整理してみました。特にインテリジェントオートメーションとハイパーオートメーションが同じ意味のように扱われているサイトがあり個人的に混乱しました。それぞれの意味の結論のみ知りたい方はまとめ(用語の意味の結論)をお読みください。
Gartner(ガートナー)の用語集
Gartner(ガートナー)はIT分野を中心とした調査・助言を行う有名な企業で、様々なIT用語を定義していたりもします。ホームページに用語集があるので、そこでそれぞれを用語がないかをまずは検索してみました。
ハイパーオートメーションは用語として存在していました。インテリジェントオートメーションとセマンティックオートメーションはありませんでした。下記がGartner(ガートナー)の用語集に記載されているハイパーオートメーションの内容です。(英語を翻訳ツール使って日本語訳にしているものです)
超自動化は、組織が可能な限り多くのビジネスおよびITプロセスを迅速に識別、精査、および自動化するために使用する、ビジネス主導の統制のとれたアプローチです。超自動化には、次のような複数のテクノロジー、ツール、またはプラットフォームの組織的な使用が含まれます。
・人工知能(AI)機械学習
・イベント駆動型ソフトウェアアーキテクチャ
・ロボットプロセス自動化(RPA)
・ビジネスプロセス管理(BPM)およびインテリジェントビジネスプロセス管理スイート(iBPMS)
・サービスとしての統合プラットフォーム(iPaaS)
・ローコード/ノーコードツール
・パッケージソフトウェア
・他のタイプの意思決定、プロセス、およびタスク自動化ツール
ハイパーオートメーションは日本語に直訳すると「超自動化」になって、カッコいい事がまず分かります。(超サイヤ人みたいな)
上記を簡単に説明すると最近自動化技術で人の操作を自動化するのによく使用されるRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)や人工知能、アプリ連携等様々な技術を駆使して自動化していく考え方や進め方の事で、それぞれ単独のツール利用だと実現が難しい所を上手く組み合わせる事によって、本当に人に必要な箇所以外は自動化してしまうというものです。
RPAリーダー3つの製品会社のサイトで記載されている用語の定義
次にUiPath、Blue Prism、Automation Anywhereの3企業のサイト内で用語について説明されている所を見ていきます。ハイパーオートメーションとインテリジェントオートメーションの関係性が強いRPA且つ世界的に有名な3つの企業に今回は絞って調べてみます。
UiPath
ハイパーオートメーションの説明ありました。内容はガートナーの定義と同義だと思います。
インテリジェントオートメーションについての説明ありました。
上記のサイト内でのインテリジェントオートメーションの説明は下記の通りです。ハイパーオートメーションと同義語としてみなしているという記載がありましたが、
最も簡単に言えば、IAはコンピューター上のエンドツーエンドのプロセスを自動化することを目的としており、人工知能(AI)、ロボットプロセス自動化(RPA)、ワークフローおよびクラウドプラットフォームの岐路に立っています。これを「超自動化」または「認知的自動化」と表現する人もいますが、どちらも同義語と見なしています。
サイト内ではインテリジェントオートメーションの構造を4つに分類して分けて具体的な説明をしていました。人が仕事を行うに必要な能力を様々な技術を駆使して、自動化しようとするものであることが分かります。ハイパーオートメーションと比べると少し構成要素が足りていない気がします。(主にイベント駆動やプロセス管理の部分。一人の人では実現が難しい箇所)
【インテリジェントオートメーションの構成要素】
①労働力の目として機能するビジョン
②労働力の「手と足」として機能する実行
③労働力の「口と耳」として機能する言語
④労働力の「頭脳」
セマンティックオートメーションについての説明ありました。
上記のサイト内で下記の通り説明されています。
セマンティックオートメーションとは、オートメーションが自己学習によって、企業の業務や個人の仕事におけるビジネス上の文脈を理解し、自動化対象業務やその自動化ためのワークフローの提案を行い、人間はその最終判断や最終的な考え方に集中できるというもの
セマンティックオートメーションについて、動画で説明されているページもありましたので、見てみました。
この2つから判断するに、人の操作を自動で観察し、自動化できる場所を教えてくれたり、自動化のワークフローさえも自動で作成したものを提供してきてくれたりすることを可能し、人は提案を受け入れるか判断したり、提供されたワークフローを基に新規開発や改修をしていく進め方や考え方がセマンティックオートメーションであると思いました。
Blue Prism
インテリジェントオートメーションとRPAとハイパーオートメーションの違いについての説明がありました。
インテリジェントオートメーションについての説明は下記の通りでした。コグニティブオートメーションと呼ぶ事もあるみたいですね。
コグニティブオートメーションと呼ばれることもあるインテリジェントオートメーション(IA)は、人工知能とRPAのインタラクティブ機能をリンクさせます。インテリジェントオートメーションがリンクする2つの基本的な概念は、思考と実行です。
ハイパーオートメーションについては下記の通り説明されています。
ガートナーが定義した用語「ハイパーオートメーション」は、インテリジェントオートメーションの概念を採用し、追加のアプリケーションを含むように拡張します。
上記のサイト内で「インテリジェントオートメーションはRPAとAIの強力な組み合わせです」と表現している部分もあり、ハイパーオートメーションはインテリジェントオートメーションの概念を元にビジネスプロセス管理(BPM)ツール等を拡張したものであると定義していると思いました。
セマンティックオートメーションの用語については触れられているものはなさそうでした。
Automation Anywhere
インテリジェントオートメーションとハイパーオートメーションの違いについての説明がありました。
ハイパーオートメーションは、組織におけるオートメーションをスケールアップするための高度なテクノロジー インフラストラクチャです。すでに自動化されているプロセスをさらに自動化し、複数の作業を組み合わせた業務の自動化を可能にします。
ハイパーオートメーションのテクノロジーには、ロボティック・プロセス・オートメーション (RPA)、人工知能 (AI)、機械学習、プロセスマイニング、(英語) その他時間のかかる業務を特定し自動化するための手段を提供するツールがあります。
インテリジェント オートメーションは RPA、自然言語処理 (NLP)、デジタル プロセス オートメーション、意思決定管理構造、インテリジェント ビジネスプロセス管理 (IBPMS) インフラストラクチャなどのように、ハイパーオートメーション テクノロジーの一部に過ぎません。
上記から判断するに、Blue Prismと同じ言葉の定義をしていると思いました。
まとめ(用語の意味の結論)
Semanticautomation(セマンティックオートメーション)
「セマンティックオートメーション」はUiPath社が2021年12月頃に公開した成長戦略の中の説明で使用して広く広まった言葉であり、Blue PrismやAutomation Anywhere、Gartnerでは使用されていない用語でした。ですが、色々調べていると2011年に「セマンティックオートメーション」について、説明されている記事がありました。
記事内では「壊れているものを修正しようとするアルゴリズムを適用したもの」という説明があります。UiPath社が成長戦略の中で説明している内容とも近いです。自動で誤りや改善点を見つけて、修正しようとするところを自動化する技術や世界観を「セマンティックオートメーション」と呼ぶのだと思います。今後UiPathが更に自動化の発見、開発や保守運用を楽にすることができるか期待している人は多そうです。
似ている言葉でセマンティックWebという用語もありますが、「Webページに記述された内容について、コンピュータシステムによる自律的な情報の収集や加工を可能にする構想」という意味で自律的に情報収集したり、何かを生み出す部分はセマンティックオートメーションと同じでした。
Intelligentautomation(インテリジェントオートメーション)
人の脳、目、口、耳、手足で行われている作業をAIとRPAを活用する事によって、自動化する概念であり、ハイパーオートメーションを構成する要素の一つ。(時にはハイパーオートメーションと同じレベルで語られる事もある。おそらくハイパーオートメーションという言葉が誕生するまでインテリジェントオートメーションがハイパーオートメーションに近しい意味で使われていた関係だと推測しています)
Hyperautomation(ハイパーオートーメーション)
Gartnerが定義した言葉なので、Gartnerの用語集の下記記載の通りです。インテリジェントオートメーションを含めた複数の構成要素で自動化の範囲やレベルを高めていく考え方です。
超自動化は、組織が可能な限り多くのビジネスおよびITプロセスを迅速に識別、精査、および自動化するために使用する、ビジネス主導の統制のとれたアプローチです。超自動化には、次のような複数のテクノロジー、ツール、またはプラットフォームの組織的な使用が含まれます。
・人工知能(AI)機械学習
・イベント駆動型ソフトウェアアーキテクチャ
・ロボットプロセス自動化(RPA)
・ビジネスプロセス管理(BPM)およびインテリジェントビジネスプロセス管理スイート(iBPMS)
・サービスとしての統合プラットフォーム(iPaaS)
・ローコード/ノーコードツール
・パッケージソフトウェア
・他のタイプの意思決定、プロセス、およびタスク自動化ツール
Hyper Intelligent Automation(ハイパーインテリジェントオートメーション)という言葉もありますが、ハイパーオートメーションと同義と捉えて良いと思います。詳細知りたい方は下記を参照下さい。
さいごに
用語の扱われ方がサイト毎に微妙に違ったりして、混乱することがあると思いますが、上記の内容を抑え、サイト内で「この用語はこのように扱います」と前提を書いてあるサイトもありますので、その際はその定義に置き換えたり、他の文脈から筆者が伝えたい事を柔軟に理解して読んでいく能力も時には必要だと感じました。
用語が国や企業、分野毎に同じ文字でも別の意味として扱われているものがあるときは存在しており混乱しますよね、、情報を発信する側はなるべく用語を定義した機関と意味を同じにするか、世の中で複数の意味で扱われる可能性があるとわかっているものは、自分が扱う用語の定義を発言する前や記事に記載する前に説明しておくと、情報を得る側が混乱せずに伝えたい事を伝えられるポイントだと思います。広く浸透していない方の意味を進んで扱うと他人や他社との会話で認識相違が起きやすくなるため、なるべく避けた方が良いです。(UiPathの用語であれば、UiPath公式の用語定義に普段から合わせておく)