6.0はおろか5.2すらリリースの気配もない段階で計画が進んでいたのがMySQL 7.0である。当時のMySQLの開発チームの迷走っぷりからすると実は堅実かつ今の姿につながっていたりするのが幻のMySQL 7.0である。
知名度:★☆☆☆☆
闇度 :★☆☆☆☆
計画は堅実だった度:★★★★☆
MySQL 7.0のテーマはセキュリティ。公開されたロードマップに載っていた機能はこんな感じ
- ロール
- 透過的データ暗号化 (テーブル/列)
- 監査
- 外部認証 (OS認証)
- オンラインDDL
- オプティマイザの改良によるサブクエリ高速化
このうち列レベルでの透過的データ暗号化は未実装ではあるものの、ロールや透過的データ暗号化、監査やオンラインDDLは今のMySQLに実装されている。外部認証はOS認証だけではなくLDAPやActive Directoryに加える形で実装済み。オプティマイザの改良も6.0での大失敗を捨て、MySQL 8.0に至るまでにそれなりにうまく改良ができたと思われる。
その後もバグデータベースに残された外には出ない(外には出せない)罵詈雑言と数々の実装失敗を乗り越えて改良を進め、指示されたものとは異なる実装をした上に仲間を撃って出て行ったエンジニアに代わって、メジャーではない某フォークから帰還したエンジニアによってようやくハイパーグラフオプティマイザが日の目を見ることになったのは感慨深い。しかしログインせずにバグデータベースでhypergraphで検索してもいろいろあったあれやこれやが全然出てこなくて逆に驚いた。まぁ外には出せないわな。
ちなみにMySQL 5.7の次が8.0まで飛んだのは6.0がアルファ版まで出た過去があることやMySQL Clusterが6.xや7.xでリリースされていたためという説が有力。5.8の下一けたから取った感じにもなるしとか。少なくともこのMySQL 7.0のことは中の人のほとんども忘れていたことでしょう。知らんけど。