オラクルによるInnobase Oy買収, 創業者離脱、オラクルによるSun買収に並ぶMySQLの歴史上の大事件の一つ。旧MySQL社のイグジットとしてはIPO(上場による株式公開)になるのではないかと噂されていた中で青天の霹靂のような買収劇。
知名度:★★★★☆
闇度 :★★★☆☆
青天の霹靂度:★★★★★
当時のSunはLinuxの急成長に対してSPARC Solarisが守勢に回っていたもののサーバーやストレージなどのハードウェアまだまだ強みがあり、Javaや各種ミドルウェアも揃っていた中で大きく欠けていたピースがデータベースだった。Apache DerbyベースのJava DBでは市場で勝負にならず、PostgreSQLのコミュニティをサポートしていたりもしたが自社製品としてMySQLを所有することを選択。
ちなみにPostgreSQLコアチームメンバーのJosh Berkusが所属していたり、日本のPostgreSQLユーザ会も積極的に支援していたのに、MySQLが自社製品になったことでSunの日本法人の人は針のむしろ状態だったとかなかったとか。
ちなみに買収によるMySQL開発チームの混乱とSunの会社としての方針、さらにはSunが財政的にそこまで調子が良くなかったことによる社内事情からMySQLの歴史の中でも1,2を争う混迷の時代に突入することになる。この話を記憶しているまたは知っているMySQLのユーザーも少なくは無いと思う。
買収された後にSunの役員がMySQLも管轄することになるのはおおむね買収時のセオリー通り。この役員がなかなかに自由気まま方だったのでMySQLの開発方針も自由気ままな感じになってぐっだぐだになっていった。なかなかのカオスになったあと、オラクルによる買収発表直後にSunを辞めるところまではまだ分かるが、転職先がEnterpriseDBだったのを知ったときは「エグいな」という感想だった。と同時にEnterpriseDBさんもしばらく大変だろうなと思ったとか思わなかったとか。ちなみにSunによる買収前からMySQLのプロダクトマネジャーだった人物もほぼ同じタイミングでSunを辞めたあとInfiniDBの開発元のCalpontを9ヶ月で通過してEnterpriseDBに入っていてなるほどってなった。