MySQL混迷の時代を象徴するのがエディションと利用できる機能やライセンスのマッピング。お金を払ってEnterprise版のサブスクリプションを購入したお客様は当然のように商用ライセンス版のMySQLサーバーが手に入ると思いきや提供されるのはGPL版。
知名度:★☆☆☆☆
闇度 :★★★★☆
説明不可度:★★★★☆
商用ライセンス版を入手するにはサブスクリプション購入に加えて追加の覚書が必要、追加費用はいらなかったけど。(覚書が必要なのに購入時に営業が説明しておらずお客様が怒ることも)
最大の問題は営業担当者はおろか社内でほとんど誰もどのエディションにどのバイナリに何が入っているか、何を使っていいかを把握できていなかったこと。当然代理店にも周知されないので代理店での販売時にも混乱が生じた。仕方ないのでダウンロードサイトから全バイナリをかき集めて一覧表を作ったりもした。
- コミュニティ版のMySQLサーバー, MySQL Cluster
- 組み込み版のClassic, Pro, Advanced
- Enterprise版のPro(GPL), Advanced(GPL), Pro(商用ライセンス), Advanced(商用ライセンス),
- MySQL Clusterの商用版
ClassicはInnoDB利用不可というか同梱されてない、ProはInnoDBは利用可能だがパーティショニングは利用不可、AdvancedはProの機能に加えてパーティショニングも利用可能でライセンス以外はコミュニティ版MySQLサーバーと同等。MySQL Clusterはコミュニティ版ならInnoDBが同梱されるが、商用版に切り替えるとInnoDBが入っていないという。。。
これらあわせて10本の微妙に機能が違っててライセンスの異なるバイナリが各OS向けに用意され、さらに 意味不明な芸術的なQPSとMRUやさらにコミュニティ版のリリース分離までしていた。サポート対象OSは今よりもはるかに多いのだのから開発、テスト、リリースのチームは大変なことになる。かくして5.0の後、Sunで唯一リリースしたメジャーバージョンの5.1の品質も推して知るべしという状態になった。
さすがに後に整理されてBronze, Silver, Gold, Platinumの4段階となり、バイナリの数も削減。サブスクリプションを買えば商用ライセンス版のバイナリをデフォルトで利用可能にはなった。それでもオラクルになってからの方がサービス内容と価格形態は改善したのは意外な結末ではある。
ちなみに今、バイナリとしてはOSごとにMySQLサーバーとMySQL Clusterのそれぞれのコミュニティ版と商用版の計4つ。AIXやHP-UX, PowerPC上のMax OSやLinux, S/390上のLinux, IBM iなどサポート対象となるOSやCPUアーキテクチャを減らし、ビルドやテストの自動化も洗練されたものとなっている。