はじめに
Amazon Linuxをご存じでしょうか?
Linuxディストリビューションと言うと、RHEL(Red Hat Enterprise Linux )が一番有名だと思いますが、有償なためサポートを必要としない(けど、セキュリティアップデートはして欲しい)場合、RHELのソースからビルドされたRHELのクローンとしてCentOSを使っていたという方は多いと思います。ご存じの通りCentOSはRHEL8以降のクローンパッケージは作らないと発表されており、残念ながらRHELに対し互換性の高いディストリビューションは無くなる傾向にあります。Amazon LinuxはAWSがメンテナンスしているRHEL系のディストリビューションです。RHELに完全互換を目指している訳ではありませんが、無償で5年間のメンテナンスを受けられるOSとしては検討の価値はあると思います。
Amazon Linux 2023とは
Amazon Linux 2023は初代Amazon Linuxが2010/9にリリースされて以来、Amazon Linux 2に次ぐ、3世代目のAmazon Linuxです。
Amazon LinuxはRed Hat社が出資する開発プロジェクトFedoraをベースに作られています。なので、RHELに似ていますが、RHELのクローンと言うわけではありません。よって、市販のパッケージソフトウェアでRHEL対応となっているのもが動かない可能性は十分あります。特に、Kernelに深く関与するマルウェア対策ソフトや、特定のバージョンのランタイムライブラリを必要とするパッケージなどは動かない可能性が高いです。逆に言えば、dockerやOSSのアプリ基盤として利用する分にはAWSのサポートも受けられセキュリティパッチも提供されるので商用利用にも耐えられると思います。
Amazon Linux 2023の特徴
- 5年間のサポート
2年ごとに新しいメジャーバージョンが発行され、それぞれ5年間のサポートが受けられます。(UbuntuのLTSに似てますね)
2年間は機能改善を含む標準サポート、残りの3年はセキュリティパッチ提供を行うメンテナンスサポートを無償で受けることができます。ただし、AWSのテクニカルサポートを得るためにはAWSデベロッパーサポート以上(29.00 USDまたは利用料の3%の大きい方)が必要です(サポートはいつでも無償プランに戻せます)。 - RHEL9に似た構成
どちらもFedora 34をベースにしていますが、Amazon Linux 2023はFedra 35,36のコンポーネントを取り込んだりしているのであくまでも似た構成になります。 - RHELよりは攻めた構成
RHELのメンテナンスポリシーとしては基本的にランタイムライブラリのバージョンアップは行わず重要な問題が新しいバージョンで修正された場合はバックポートパッチと言う形で今のバージョンに対して同じ個所を修正するアプローチを取っています。しかし、Amazon Linuxでは標準サポート期間について以下の様に記載があります。確認は取れてないのですが、Ferora側でライブラリのバージョンが上がったら上げる可能性があると思います。なのでライブラリアップデートを含むときはアプリのリグレッションテストをしっかりした方がよさそうです。
これらのリリースには、Python や Java などの最新の言語ランタイムが含まれる場合があります。
まとめ
市販のパッケージソフトウェアを使う場合は、対応OSの縛りがあるので難しいかもしれませんが、AWS上でアプリ基盤として利用するのであれば、Amazon Linux 2023は良い選択だと思います。
参考
Amazon Linux 2023 – 長期サポート付きのクラウド最適化 Linux ディストリビューション
AWS サポートのプランの料金