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VMware Cloud on AWSを利用したL2延伸

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はじめに

VMware Cloud on AWS(以下VMC)というサービスをご存じでしょうか。VMCはAWS基盤を使いVMware社がサービスしているvSphere基盤です。AWSをVMware仮想基盤として利用できます。今までオンプレでvSphereを利用してきたユーザにとっては使いやすく、理解しやすい基盤と言えるでしょう。今回は、VMCについて私見を述べたいと思います。

利用料

VMCは実は結構高いです(笑)
価格はここで知ることができます。例えば、i3というタイプを東京リージョンに建てようと思うと1台あたり9.816382USD / hour(2022/3/5時点の価格)掛かりす。i3タイプのスペックは Intel Xeon E5-2686 v4 (Broadwell) 36core(72 thread)、512 GiBメモリ、15.2TB の NVMe 対応 SSD ベースのインスタンスストレージとなっています。計算すると年間85,992USDなので、115円/USD換算で約1,000万円となります。3年前払いで購入すれば50%オフになるので、年間500万円程度にはなりますが、それでも単なるハードウェアとして考えるとかなりの価格だと思います。
ただしこの価格には、vSphere、vSAN、NSX-T、vCenter Server、VMware HCXライセンス及びVMware グローバル サポート料が含まれております。当然、ハードウェア保守も込みです。DC代、電気代なども含まれます。さらに、vSphere基盤のアップデートも自動で行われます。そう言った運用費も含めると一概に高い訳ではないのですが、安くはない価格帯ですね。

VMCの選びどころ

  1. 季節性のあるワークロードで一時的に使いたい
    普段はオンプレで稼働してるんだけど、キャンペーンを実施する1か月だけサーバを増強したいと言った用途ですね。オンプレがvSphere環境な場合、シームレスにつながるのでクローンを作ったりvMotionしたりが自由にできるとというメリットがあります。

  2. DR目的で使いたい
    普段は最小台数で稼働しておいていざという時に本番サイズでの稼働と言ったことも可能なので、DR目的には相性がいいです。ただし、本当に災害が起きた時は同じことを考える人がたくさんいると思うので、AWSのリソースひっ迫を考慮する必要があるかもしれません。

  3. 延命したい
    現在、オンプレでvSphere基盤を利用しているがDCを解約してクラウド化したい。しかしIPアドレスの変更などをして移行するには時間が足りない!と言った話を時々聞きます。まぁ、一番いいのはもっと前から計画的にクラウド化して行くことだとは思いますが、こういう切羽詰まった状況でL2延伸ができるVMCは選択肢としてアリだと思います。

L2延伸時に留意点

VMCの大きな特徴としてL2延伸が上げられます。VMCの選びどころの3番で上げたような事情の場合、L2延伸はとても便利です。ただし、永遠に使うものではないということは肝に銘じて置いて頂きたいです。L2延伸を利用する場合の留意点を以下に上げます。

  1. L2延伸は移行時のみ利用すべし
    L2延伸は使おうと思えばずっと延伸したままに出来なくもないのですが、やるべきではないと考えます。理由としてはL2延伸してると言うことはオンプレ側に資産が残っているということであり、長期的にDC運用とAWS運用を並行して行うのはコスト的にもデメリットが大きいですし、せっかくクラウド化をしようとしてるのに足かせになるからです。もし、どうしてもオンプレに残す必要があるものがあるのであれば、それは別セグメントに移動するなりして、VMCのL2延伸は早めに切るべきだと考えます。

  2. 別セグメントとの通信は一旦オンプレに戻る
    L2延伸とはその名の通り同一セグメントをVMCまで引っ張っているので、セグメントを超えようとすると当然、GWを跨ぐ必要があります。GWがオンプレに残っていると一旦、オンプレに通信が渡り、その後、再びAWS側の別のセグメントへと言った構成になってしまいます。 ただし、HCXを使ったL2延伸を利用する場合は、同一SDDC内の別セグメントへの通信であれば、オンプレに通信を戻さず通信する機能があります。この機能はSDDC内に限った話なので、AWSネイティブなサービスを利用する時には使えません。例えば、RDSを使いたいと思った時、通信はVMC->オンプレGW->VMware Transit Connect(VTGW)->RDSと言った迂遠な通信になってしまいます。

まとめ

VMCでL2延伸利用を検討する時は、制限事項を理解した上で移行時の一時的な手段として利用しましょう。

参考情報

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