はじめに

Rails にはデコレータを作るための代表的な Gem として Draper や ActiveDecorator があります。これらの Gem は Rails のモデルオブジェクトを View に特化したオブジェクトにデコレートすることを目的としています。これらは便利ですが、Rails の View 以外、あるいは Rails 以外で使うには、より汎用的な仕組みがほしいです。

実は Ruby の標準ライブラリにそのような仕組みが存在します。それが SimpleDelegator です。今回はこの SimpleDelegator を使ってデコレータを作ってみます。

例

SimpleDelegator を使ってデコレータクラスを作る方法は、SimpleDelegator を継承したクラスを用意するだけです。

class GirlDecorator < SimpleDelegator
  def full_name
    "#{last_name} #{first_name}"
  end
end

class Girl
  attr_reader :last_name, :first_name
  
  def initialize(last_name, first_name)
    @last_name = last_name
    @first_name = first_name
  end
end

girl = Girl.new('中川', '夏紀')

decorated_girl = GirlDecorator.new(girl)
decorated_girl.full_name #=> "中川 夏紀"

おまけ

次のようなモジュールを定義すると便利かもしれません (クラス間の結合度は上がりますが) 。

# クラス名 + Decorator という名前のデコレータクラスを定義していることが前提。
module Decoratable
  # Draper の API を真似て
  # デコレートされたオブジェクトを返すインスタンスメソッドを定義する。
  def decorate
    # Active Support を使っている場合は
    # Object.const_get の代わりに "#{self.class}Decorator".constantize で OK。
    decorator_class = Object.const_get("#{self.class}Decorator")
    decorator_class.new(self)
  end
end

class Girl
  include Decoratable
  
  attr_reader :last_name, :first_name
  
  def initialize(last_name, first_name)
    @last_name = last_name
    @first_name = first_name
  end
end

girl = Girl.new('中川', '夏紀')

decorated_girl = girl.decorate
decorated_girl.full_name #=> "中川 夏紀"