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テストマネージャーの育て方

Last updated at Posted at 2019-12-01

■はじめに

テスターはいるし、テストリーダーはいるけど、テストマネージメントをおこなえる人材って不足していると思いませんか?
今回はテスターからテストマネージャーに育てるにあたって、人材育成の実例を元に育て方を書いてみようかと思います。
※本ページでは、用語の認識をあわせるため、以下のように定義します

役割 説明
テスター テストケースを実行し開発者が意図した動作や表示であることの確認する役割
テストリーダー テスターへの業務指示、進捗管理、不具合管理、課題の改善提案などテストをコントロールする役割
テストマネージャー テストの運用方針を決定し品質向上に向けた体制の管理や開発者との連携で課題解決を推進する役割

■どんな人を選ぶの?

土台となるのは技術よりも、誠実さだったり、コミュニケーション力や順応性で選ぶのが良いと思います。
技術は、学ぶ意識と時間と経験なので、素養を重視するのがポイントです。
なので、まずは教わる人に対して、素直に物事を聞けたり、聞いた物事に対して順応できる人材が教えやすく、今後の活躍も期待できると考えています。
もちろん性格的に大人しくてコミュニケーションが積極的ではない人はマネージメント業務をおまかせするのには向いてないので、見極めていく必要があります。

■どんな手順や方法で育成していくの?

★Step1:欲しい人材の人物像を決める

育成対象によって能力やその人の良さも違うので、方法や順序は様々ですが、共通する意識としては「どんな人材が欲しいのか」をイメージし、その人物像に合わせて教育方針を考えるのが良いと思います。


・欲しい人材の人物像
 ・コミュニケーション
  ・誰とでも円滑なコミュニケーションがおこなえる人
  ・様々な状況を想定し、質問や指摘に対して明確な回答がおこなえる人
 ・経験
  ・テスト実務経験が3年以上ある人
  ・テストリーダー経験が1年以上ある人
  ・テスト設計/ケース作成経験が1年以上ある人
  ・テスト設計/ケースのレビュー経験が1年以上ある人
 ・分析
  ・商用環境や開発環境での障害から分析をおこなえる人
  ・分析結果から改善案を作成し、関係各所と連携をおこない改善がおこなえる人
 ・効率
  ・優先度を決められる人
  ・費用対効果を考え業務の効率化がおこなえる人
 ・技術
  ・EXCELなどの表計算ソフトに長けている人
  ・JSTQB Foundation Level(※)以上の知識を持っている人
   ※ソフトウェアテスト技術者の国際認定試験
 ・管理
  ・人材管理業務がおこなえる人
  ・費用管理業務がおこなえる人

上記のように欲しい人物像を決めることで見込みをたてることができるので、人物像を明確にするのが最初のステップです。

★Step2:人選方法

欲しい人物像と完全に一致することってほぼ無いと思います。
特にテスターは未経験者をアルバイトで雇用する会社が多いため、教育をおこなうことで理想の人物像に近づけていくことになると思います。

教育する時間を考えると全ての要件を満たせる人材の育成は難しいので、決められた教育期間内で、ある程度成長を見込める人材をピックアップする必要があります。
その際、組織にとって必要な要件を必須スキルと決めて、集中的に教育すると効果的です。
また、見込みがあるかを判断するため、各人材のスキルを可視化しておくと良いと思います。

例えば必須スキルが「コミュニケーション」とした場合、ここに該当しない人は直近の教育対象からは除外するなど判断基準となります。

名前 コミュニケーション力 経験値 管理
Aさん :black_circle: :heavy_multiplication_x: :heavy_multiplication_x:
Bさん :heavy_multiplication_x: :black_circle: :black_circle:

★Step3:不足スキルを教育

不足しているスキルに対して、何を最も重視して教えていくか考えると思いますが、優先的に考えるのであれば、まずは自信をつけてもらうことが大事になるので、本人が得意と感じているものから教えてくのが良いと思います。
ある程度自信をつけると今後は、思ったより簡単と感じてしまうと思いますので、これまでやってきた中でも難しい取り組みに入れ込むなどコントロールすると効果的です。

注意するべき点としては、初めからマルチタスクになりすぎないことを重視するのが良いと思います。
負荷を初めからかけすぎてしまうと、ただ混乱するだけで成長が遅くなるため、達成状況を見つつタスク量を増やしていく方が効果的に育成を促せます。

★Step4:目標意識と面談でモチベーションコントロール

教育をおこなうにあたっては、目標の設定が不可欠と思います。
特にアルバイトという待遇の場合、目標設定の機会が無かったり、おこなっていても簡易的なものが多いのではないかと思います。
レイヤーが上がるに連れ求める目標も高くなり、目標自体がどう立てれば良いかすらわからないという状態になりがちです。
そのため、教育の一つとして、目標設定方法と目標への意識付けが大切になってきます。

目標を設定したら終わりではなく、立てた目標に対しての進捗や取り組み内容を確認するのも重要です。
私の経験では、面談でなぜか数字的な報告や最終的な結果ばかり報告する人を良く見かけました。
実際話を聞いて掘り下げていくと「やれて当たり前だから書いても意味がない」「まだ達成できてないから報告しない」と判断してしまって、せっかく課程で良い行動がおこなわれていても気づかないことがあります。

そこで面談を通して教育する側は、出来事を掘り下げて聞いていく必要があります。
掘り下げていった結果、良かった出来事は、些細なことでも褒めることと、更に良くするためのアドバイスをすることで教育を受けている対象者は成功を実感したりできモチベーションを向上することに繋がったりします。
モチベーションは教育のみならず、仕事をする上では大切な要素となるので、個人面談によるケアーを大切にしてみてください。

★Step5:教育担当者も振り返る

ある程度教育が進んだとき、目標を教育担当者が振り返って見ることも重要な要素になります。
教育としてタスクをおこなうに連れ、タスクをこなすことが成功と勘違いしがちになります。
当初の目標は、あくまでテストマネージャーになれる人材を育成することなので、そこに対して必要なスキルレベルまで達しているのか、教育方針は正しいのか振り返ってみる必要があります。
振り返る方法としては、スキルの基準値を決め、点数をつけていくのがわかりやすいと思います。
基準値は一人で決めるのではなく、他の同僚や上長と相談しつつ進めてみると精度の高い指標になるのでおすすめです。

■最後に

過去何人も教育をしてきた結果、「成果が体感できない」「目標に向かっているのかがわからない」などでモチベーションが維持できなくて、結果挫折してしまう人が多くいました。
これらをコントロールできないと教育はうまくいかないことが多いと感じています。
人を育成するには、厚いケアーと進むべき道筋を示していくのが大切になると私は考えています。

難しいことをとにかくやらせるのではなく、難しいことにチャレンジできるように力をつける教育を段階的におこなっていくのが良いと思います。
長く会社で活躍できる、良いテストマネージャーを育てていくのに少しでも役に立てたらと思います。

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