蓮舫氏のクラウド発言に対する批判でクラウドに対する誤解があった件について
この手の旬物は期を逃すとアウトだ.
もうすでに記事が乱立しているかと思ったら全然そんなことなかった.
ちゃんとした前後の動画がなかったので,
当該発言とその他の記事からの想像であることはご容赦いただきたい.
また,この記事の目的はささいな誤解や認識のずれが生む,
こういった現象についてフォーカスしている.
つまり,この記事は給付金といった政府業務をクラウド移行の是非を問うような高レベルものではなく,もっと低レベルの話だ.
はじまり
参議院の予算委員会にて,
コロナ給付金のITシステムが脆弱で,
高負荷に対応できないので,
サーバーを増強するという答弁があったそうだ.
それに対して,
蓮舫氏は
「サーバー増やすんじゃなくて,時代はもうクラウドなんですよ」
と発言した.
これに対してクラウドはサーバーですよ.
というコメントが横行し,
クラウド蓮舫なるキーワードが生まれた.
私はこの蓮舫氏の発言を見た時,
よう分かってんなと思った.
そして数は少ないものの,私と同じように,
何故蓮舫氏が批判されるのか,合っているんじゃないの,
という発言もあった.
しかし,メインンストリームはトンチンカンな批判である.
さも間違った内容が正しいことかのように広まっている現状を見て,
少しは反論しないと,
日本人のITリテラシーの低さを世界に知らしめてしまうと思い,
この記事を書くことにした.
この内容については,もっと良い記事が出るのを待っております!
蓮舫氏の発言の説明
蓮舫氏の発言を見ると,
クラウド=クラウドサービスを利用すること,
であるのは明らかだ.
つまり,こういうことだ.
オンプレミスにするから
こういう時に自前でサーバーを増強しないといけなくなる.
クラウドサービスを活用すれば,
負荷に応じて自動でスケールするから
こういう突然のピークにも対応できたのに.
そして,その前にあったであろう
サーバーを増強して対応するという発言は,
このシステムがオンプレミスであり,
本当に物理サーバーを用意して,
大量のアクセスに対処するという意図であることは間違いなさげだ.
(要検証)
根本的な誤解の原因
批判する人は,どうもクラウド=サーバーであり,
サーバー上で動くものは全てクラウドだと思っている節があるようだ.
webページがあって,何か入力できるようになっている.
そして,その入力データを送信し,
内部で処理をして,給付金配布の手続きが進む.
ほら,クラウドでしょ.
だから,こういう処理ができるサーバーを増強するのは正しいでしょ.
という理論だ.
全くクラウドのことを理解していない.
いや,クラウドをそういうふわっとした情報で理解させようとする勢力がいるのかもしれない.
これだけだと,オンプレなのかクラウドなのか判断できない.
でも,サーバー増強の発言からしてほぼ間違いなくオンプレだろう.
クラウドのメリットは,
物理サーバーの管理をクラウドサービス提供者に丸投げできる所にある.
確かにクラウドサービスをどんどん辿っていけば,
最終的には物理的なサーバーに行きつく.
でも,そんなことを意識しなくてすむ所がメリットだし,
サービス利用者にそんなことを意識させる時点でナンセンスだ.
おわりに
この記事で言いたいのは政治的に何が正しいのかではない.
クラウドに対する理解の仕方の違いが,
こんな風に現れると言いたいだけだ.
相互理解の重要性を再認識するよい機会になった.
また,こういう誤解が元じゃないのか?と誰かが言わないと,
ずっと互いを理解できないのではないか.
しかも片方が正義を振り翳して練り歩き,
しかもその周りを賛同者が囲んでいるので危ないんじゃないの,
という思いもある.
後は,本当に理解した上でさらに批判する人ももちろんいる.
つまり,まったく別の次元で賛成と反対が現れるのだ.
これもまた面白い.
私の中では,
クラウド=物理サーバーを意識しなくてよい.
であったが,どうやら一般にはクラウド=サーバーのようだ.
こういう些細な認識のずれの積み重ねが,
以外と大きな諍いのネタになったりする.
こんな極端に現れることは滅多にないだろうが,
実際に現れた.
だから,おかしいと思ったら,
それがメインストリームから外れていたとしても発言することが重要だと思う.
そして,その認識の違いを擦り合せることが大切だ.
そうしないと,理解しない批判が生まれ,
さらなる誤解を招きうる.
いきなり最後にでっかく相互理解なんて普通できない.
小さいものの積み重ねででっかく変える方が楽だから.
いきなりでっかいことをできちゃう人はいるんだけ,
なかなか真似はできないし,
真似をしても成功率は低いと思う.
追記
セキュリティの部分のリスクについてもコメントがあり,
その部分について書き忘れてたので追記.
確か,中国に日本人のデータを売るのか,というコメントも見た覚えがある.
これは確かにそうだ.
アメリカの国防省はMicrosoftのAzureを採用したそうだが,
Microsoftはアメリカの企業であり,
アメリカ内部のリージョンを使うだろう.
でも日本にそんなものは存在しない.
AWSに東京リージョンがあっても,そしてAmazon.co.jpという日本法人があっても,
結局はアメリカの企業だ.
これをふまえると,
「日本がクラウド後進国であり,政府が国産クラウドを主導すべきなのにこのようなありさまか,」
と糾弾したかったと頑張れば見えなくもないです.
ただし,そんな国産クラウドサービスが生まれる未来や手段は,
私には描けないですが.