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同人フライトシューティングゲームのお話を書くときに注意したいこと

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本記事のまとめ

フライトシューティングゲーム用の物語を作る前提で、気をつけるとよいことは何か?

  • プレイヤーはあなたではないので、過剰なくらいに説明する意識を持とう
  • 5W1Hを意識しよう
  • プレイヤーが何者か、戦う理由、倒すべき相手、向かってくる脅威は少なくとも明示する
  • 変わった仕掛けの敵や、途中に出現する増援については補足説明をする
  • 長編を作るときには、執筆者(自分)用に設定をまとめておく
  • 固有名詞の他作品からの拝借は、出来れば避ける
  • セリフの説明不足に注意、テンポも重要なので他の人に読んでもらおう
  • 表示可能文字数、ゲーム展開上許容される会話の長さなどに配慮しよう
  • 世界観表現とゲーム性実現が衝突したときは、ゲームを作る目的に立ち返って判断しよう
  • 物語構築のとっかかりはさまざま。とっかかり毎に注意点は異なる

はじめに…プレイヤーはあなたではない

フライトシューティングゲームに、かっこいい/楽しい/素敵なお話をつけたい!
なんとなく書いてみたけど「よくわからん」と言われた…そんな貴方。
どんなことに気をつけたらいいんでしょうか。

大前提として、意識しておくべきことがあります。
プレイヤーはあなた自身ではありません。
あなたが知っているオリジナルキャラの知識も、オリジナル世界の情勢も知らないですし、あなたが見たことのあるアニメ、読んだことのある小説、知っているミリタリー知識もしらないかもしれません。
ですので、説明は過剰にする位でようやく、ちょうど良い、のです(プレイヤーに考えさせる要素を持たせるシナリオでは特に注意が必要な部分です)。

#5W1H

文章を書くには5W1Hが大事、なんてことがよく言われます。

  • Who 誰が
  • What 何を
  • When いつ
  • Where どこで
  • Why なぜ
  • How どのように

とはいえ、プレイヤーを退屈させない程度には短くしたいですし、口語っぽくない説明台詞も少なくしたい。
ではどこに重点を置いたらよいでしょうか。

世界観、特に、戦う理由

オリジナルの世界観を舞台にお話を作った場合。
ミッションをスタートすると、プレイヤーは未知の世界観にいきなり放り込まれます。
この、プレイヤーは「放り込まれる」のだ、ということには自覚的でいたほうがよいです。
オリジナルの国名、組織名、部隊名、機体名、世界情勢…プレイヤーにとって未知の情報です。
そのミッションでプレイヤーが戦う理由の裏付けには、山ほどの情報があるでしょう。あるいは具体的には作ってないけどとりあえずあることにしている、かもしれませんが…もちろんそれでも構いません。
プレイヤーが、自分の戦う理由を、ぼんやり程度でも理解できる説明があるとよいですね。

  • プレイヤー自身は、この世界で何者なのか
  • なんのために目標を撃破するのか
  • 自分を狙ってくる脅威は、なぜプレイヤーを敵視するのか

現実を模倣した状況ならば、それをちょっと匂わせる程度の説明で十分でしょう。
現実との相関性が離れすぎた場合、複雑な背景になりがちです。
長編なら時間をかけて説明していけばよいですが、短編なら「説明しきれないところはばっさり簡略化する(設定を捨てる、それがその世界の常識として認めさせる、など)」とよいかも。

いずれにせよ、そのミッションを解かなければならない(障害を除かなければならない)理由(どんなに短く要約・省略されていてもよい)は、説明の必要がある項目の一つでしょう。

ゲームの展開上必要な情報

シューティングゲームである以上、どれが撃破するべき敵か、どれが自分を狙ってくる脅威か、の情報はわかりやすく提示されるべきです。
もちろんそれは台本に頼り切ってはいけないもので、ブリーフィングやイベントシーンのカメラワーク、HUD情報などを効果的に利用して複合的に提示されるべきものですが、台本で補足すると、よりわかりやすくなります。

これは特段意識しなくても出来ている場合が多いのですが、「一般的なフライトシューティングではあり得ない、変わった敵」「初期配置敵ではない増援」などについては、説明を作るつもりでいたほうがよいでしょう。

自分用に設定をまとめておく

プレイヤーは、ゲーム中に提示される情報しか読みません。
(設定資料集を開示したとしても、それを読んでくれる前提で作るとヒドいことになります)
ということは逆に、ゲーム中での説明やセリフのほうが曖昧でブレてしまうと、プレイヤーはそのブレに振り回されてしまい、正しい情報が理解できなくなります。
なので、逆説的になりますが、長編を作るのであれば、世界観や主要キャラクターの設定(名前や性格だけでなく、一人称や二人称、文末語尾など)を固めておくと、台本執筆時にブレにくくなります。

固有名詞の取り扱い

固有名詞をプレイヤーに覚えてもらう、のはなかなか難しい問題です。…お好きなSF・ファンタジー作品の冒頭の話を思い出してみてください。説明のためのシーンをわざわざ用意したり、固有名詞をちょっと不自然なタイミングでキャラクターに叫ばせたりetc…
プロも苦心している問題なので、いろいろやってみるしかないことだと思います。オリジナルの固有名詞をあまり増やさない、というのも一つの解決策かもしれません。

オリジナルの固有名詞を設定する際に注意するべきことですが、「有名なアニメのあのキャラと同じ」「有名な物語のあの設定と同じ」と「名前そのもの」を拝借してくるのには注意をしたいところです。(もし将来大規模展開をする夢を持つのであれば、変な後ろ指をさされないよう、訴えられないようにしておきたいからです)。

セリフにおける説明不足とテンポの両立

ADVと違い、ゲーム中のシーンではト書きがなく、実質セリフだけになってしまうゲームジャンルなので、最も重要な部分です。
ですので、「現実の口語では省略するだろうから」と、いろんなことを省略してしまうと、内容がわかりづらくなりやすいです。
かといってテンポを殺すわけにもいきません。
わかりにくくならないように配慮しつつ、とにかく書いてみるしかないです。
これまで挙げた点についても言えることですが、いったん第三者に読んでもらうことを強く勧めます。
「ここがよくわからなかった」と直接指摘をもらうのが、一番です。

セリフに関するゲーム特有の注意点

セリフについてですが、メッセージウィンドウにおさまる文字数も調べて意識したいところです。
折り返し・改行位置(句読点配置位置の注意。行頭に句読点がようにする、など)も注意が必要でしょう。

また、フライトシューティング特有の注意点かもしれませんが、実際にプレイヤーが戦闘中に展開する会話で、その一連の会話が長い場合、プレイヤーが敵を短時間で倒してしまうと、すべてのセリフが呼び出されない場合があります。
この問題に配慮してスクリプト構築・シナリオ作成をしないと、物語のつじつまが合わなくなってしまう可能性があります。

対応として、途中でカットされても問題ないよう作っておく、あまり長くしすぎないようにする代わりに聞き終わるまでゲームが先に進まないようにする、などがあります。(後者の対応として敵を無敵にするのはあまり好ましくない対応ですので、できれば避けたいですね。せめて無敵にする代わり、撃墜相当のダメージが入ったら無力化する、などの処置はしたいところです)

もしフルボイス化する場合は、台本を作成する必要があります。
オリジナルの当て字、テクニカルタームの読み方にはルビを用意するとよいです。
細かいところですが、読みやすくない・正しくない日本語だと難航しますので、助詞・サ変動詞の取り扱いには配慮できるとよいですね。
(一般的でない名詞のサ変動詞化は好まれません)
また、台詞に乗せる感情を想像する助けになるように、脚注を入れておきます(収録に立ち会えるなら省略できるかも)。
…このあたりはフルボイス化するときに行う作業、と割り切ってよいでしょう。

ゲーム性と世界観のせめぎあい

ゲーム性を優先すると世界観が揺らいでしまう場合。
あるいは
世界観を優先すると、ゲーム性が損なわれる場合。
そんな場合が、ときどき発生します。
「ゲームを作るのだからゲーム性が高くないと」
「世界観表現が目的なのだから、世界観が正確に表現できてないと」
…立場によって優先順位が変わってきます。
そんなときは、プレイヤーにどんな面白さを提供したいと考えているのか、今一度考えるといいと思います。

うちの場合はゲーム性を優先して世界観の変更を厭わない場合が多いですかね…
武器や機体の設定は、肝心のゲームプレイ感に直結するので、「その武器や機体を操ることが/敵に回すことが、ゲームとして面白いかどうか」を最重要視して判断します。プレイヤーにストレスしか残らない(カタルシスがストレスに見合わない)場合は、設定変更/廃棄を検討しますね。

物語構築のとっかかり

物語の構築法は、何をとっかかりにするかで様々な方法があると思います。
実は、小説や漫画よりも、とっかかりの種類は多いかもしれません。

とっかかり別のポイントを簡単にまとめてみました。…ほかにもあるかも知れませんね。

  • 実装したいミッション内容を土台に、どうしたらその戦いになるかを逆算して作る作り方
  • どんなミッションを遊びたい/遊ばせたいか具体的な内容をしっかり用意する
  • 対空なのか、対地なのか、殲滅戦なのか、重要目標攻撃なのか、逆に防衛なのか、偵察なのか、アクロバットなのか、レースなのかetc...
  • 世界観ないしキャラクター設定を合わせて用意すると、逆算的に物語を作りやすい
  • 実現したい世界観・キービジュアルを背景に、どんな戦いがあり得るか想像して作る作り方
  • 具体的なキービジュアルを強く持つ
  • 複数人協力製作の場合は、キービジュアルを実際に画像として共有する(参考になる画像/写真を用意する、どうしようもない場合は絵を描く)
  • キャラクター設定を合わせて用意すると、物語を作りやすい
  • 用意した主要キャラクターの個性を軸に、どんな物語が展開するか想像して作る作り方
  • 各話にお題を用意して、そのお題に対してキャラクターのレスポンスを想像して物語を構築する
  • お題はなんでもよいが、ミッション内容によるものでもよい
  • キャラクター設定は性格などかなり詳細なものが必要。細かいほどレスポンスを想像しやすく、楽
  • テーブルトークRPGのキャラクターシート、特に性格設定などのあるものは参考になる
  • 頭に浮かんだ短いシーン断片を大事にして、そのシーンに至るように途中の過程や設定を作る作り方
  • シーンとシーンをつなぐ方法を考えて、世界観やキャラクター設定を膨らませていく
  • シーンに適したミッション内容を用意する
  • 粗編集時には説明不足になりがちなので、テストプレイを繰り返しつつ補足して洗練する
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