➊ はじめに
フェルミ推定(Fermi estimation) とは、非常に限られた情報や資料のみを元に、合理的かつ荒い見積もりを行う方法です。日本にマンホールはいくつあるとか、不確実性の高い状況や情報の不足がある場合に特に有用です。
➋ 【問題】コンビニの年間売上高は?
それでは、お試しで、一緒に「コンビニの年間売上高
」をフェルミ推定で求めていきましょう。
■ では問題です😎!
■ まずは想像で回答を🤔
【フェルミ推定をする前に…】
フェルミ推定で「コンビニの年間売上高
」を推定する前に、まずは、おおよそいくらになるか想像で回答してください!(分からない場合は、ぱっと思いつく数字で良いです)
➌ フェルミ推定のやり方
フェルミ推定のやり方としては、以下の順番で実施します。
🍄🟫Fermi 1.前提条件の確認及び定義
🍄🟫Fermi 2.要素分解をして公式を作成
🍄🟫Fermi 3.公式に推定数字を代入し計算
🍄🟫Fermi 4.結果の妥当性を検討
いきなりフローが出てきても、良く分からないですね。
一緒にフェルミ推定を実施していきましょう!
<🍄🟫Fermi 1🍄🟫>
■前提条件の確認及び定義
スコープや前提条件を整理し、問題の定義を行います。
ここでは全世界のではなく、「日本のコンビニの2023年度の年間売上高を推定する
」と定義します。
<🍄🟫Fermi 2🍄🟫>
■要素分解をして公式を作成
「日本のコンビニの年間売上高を推定する」を要素ごとに分解していきます。この要素から結果が算出できるように公式を作成していきます。
❖ Fermi 2-1.要素分解
↓
絶対にこのように要素分解しなければダメという訳ではありません。自分で論理的に公式を作って頂いて結構です。
(1) 日本人(1[人/日])が、コンビニで購入する金額
(2) コンビニに行く日本人の人口
(3) 日本人が、コンビニに行く年間の日数
❖ Fermi 2-2.公式作成
日本のコンビニの年間売上高 = 日本人(1[人/日])がコンビニで購入する金額
✕ 日本人がコンビニに行く年間の日数
✕ コンビニに行く日本人の人口
➍ シンキングタイム!
それでは、下記の各要素について仮定し、それらを公式に当てはめ、フェルミ推定結果を求めてください。
(1) 日本人(1[人/日])がコンビニで購入する金額 = ?
(2) 日本人がコンビニに行く年間の日数 = ?
(3) コンビニに行く日本人の人口 = ?
【フェルミ推定による結果を回答してください】
それでは、フェルミ推定により「コンビニの年間売上高」って、おおよそいくらか回答を求めてください。
➎ フェルミ推定により解を求める
それでは、フェルミ推定により「コンビニの年間売上高」を求めていきましょう!
<🍄🟫Fermi 3🍄🟫>
■公式に推定数字を代入し計算
各要素を推定し、公式に当てはめ、計算をしていきましょう。
❖ Fermi 3-1.各要素の見積もり
👉まずは各要素の見積もりから行います。
(1)日本人(1人/1日)がコンビニで購入する金額
自分の感覚から700円と仮定する。
日本人(1人/1日)がコンビニで購入する金額 =
700円
(2)日本人がコンビニに行く年間の日数
平均して週に 4回 行くと仮定し、年間で 200日 と仮定します。
※一ヶ月に 16回 ✕ 年間 12ヶ月 = 192回 ≒ 200回としておきます。
日本人がコンビニに行く年間の日数 =
200日
(3)コンビニに行く日本人の人口
日本の総人口は約1億2,000万人くらいですが、そのうちの70%がコンビニを利用すると仮定し、8,000万人とします。
※日本総人口 1億2000万人 ✕ 0.7 = 8,400万人 ≒ 8,000万人
コンビニに行く日本人の人口 =
8,000万人
❖ Fermi 3-2.見積もり結果
👉公式に推定数字を代入し計算してみましょう。
日本のコンビニの年間売上高 = 日本人(1[人/日])がコンビニで購入する金額:700円
✕ 日本人がコンビニに行く年間の日数:200日
✕ コンビニに行く日本人の人口:8,000万人
日本のコンビニの年間売上高
= 11,200,000,000,000円 = 11兆2,000億円 となります。
【フェルミ推定による結果】
フェルミ推定により「日本のコンビニの年間売上高」は、11兆2,000億円と見積もられました。
<🍄🟫Fermi 4🍄🟫>
■結果の妥当性を検討
計算結果が妥当であるか、また想定した計算式や要素分解した計算結果が妥当であるかを確認してください。
➏ 実際の答え
それでは、実際の答えです。
【日本のコンビニの年間売上高】
2023年度の「日本全部のコンビニの年間売上高」は、11兆6593億円だそうです。
「日本全部のコンビニの年間売上高」をフェルミ推定を実施した結果、実際の結果と大きな乖離(桁ズレ)などなく、おおよその金額を推定できました。
➐ フェルミ推定体験
アハ体験ならぬ、フェルミ推定体験、いかがだったでしょうか?
みなさんの回答も、適当に想像した結果とフェルミ推定した結果を比較すると、フェルミ推定した結果の方が正解に近い回答をしているのではないでしょうか?
意外と良い線いっていたでしょ!?😉
■ フェルミ推定のポイント
ポイントとしては以下になります。
- 曖昧な言葉を定義し、推定範囲を特定する(スコープの設定)
- 大きなものを細分化して考える(合理的な仮定を立てる能力)
- 基本的な知識や情報の蓄積をしておく(パーツの用意)
➑ おまけ
アナタは「コンビニ700円くじ
」というのをご存知でしょうか?
■コンビニ700円くじ
コンビニで税込700円以上買い物をするとその場でくじ引きができ、商品無料引換券やキャンペーン応募券などの商品が当たります。
私も何度かこのくじを引いたことがありますが、500円でも、1,000円でもなく、なぜ700円なんだろうと思ったことがあります。
これ…実は意味があったんです!😮
「コンビニ700円くじ
」がなぜあるのかというと、コンビニの客単価が関係していると言われているそうです。このくじができた当初は、客単価が700円未満であり、長年この700円というボーダーラインを超えられなかったそうです。そこで、「コンビニ700円くじ」は、消費者に対して「あと少し買えばくじが引ける」というインセンティブを提供することで、客単価700円のボーダーラインを超える戦略としてうまれたものであるとのことです。
今回、「コンビニで購入する金額」を700円と仮定した理由は、なんとなく自分の感覚で700円くらいかなという理由にしてしまいました。あながちこの金額は間違っていませんでしたが、こういう情報を持っていると、より推定値が正確になっていきます。
➒ 終わりに
フェルミ推定は、論理的思考の一部です。今回の「コンビニの年間売上高」については、推定方法は一つではありません。アナタなりのもっと良い方法を見つけてみてください。
それでは、私から課題をふたつ用意しました😎!
❖ 課題 1
「700円くじの効果(追加の売上はいくら)」をフェルミ推定で算出してみてください。
❖ 課題 2
隠れミッキーを探してください。見つけたらコメントください!
それでは、今回もお疲れさまでした~😊