はじめに
「海外から日本のサービスを使いたい」「公衆Wi-Fiを安全に使いたい」「中国に旅行や出張に行く」そんな時、VPNが役立ちます。でも、安全なVPNは大体月に2000円弱もかかってしまうし、自宅のPCをVPNサーバとして使うにしても電気代が嵩む上に設定が難しい...
この記事では、Azureを初めて触った超初心者の私でも1時間もかからずに、驚くほど簡単に自分専用のVPNサーバを立てられた方法をご紹介します。
なぜAzureを使ったのか
- 現時点で大学生なので、Azure for Students から$100のAzureクレジットを貰っちゃったから
この記事のゴール
- Azure上にOpenVPN Access Serverを構築し、自分専用のVPN環境を手に入れる
- PCやスマホからVPNに接続できる
対象読者
- Azureを触り始めたばかりの方
- 手軽にVPNサーバを立ててみたい方
- ネット検閲がある国でGoogleなどのサービスを使いたい方
- Azureでやりたいことがない方
- マイクロソフトから大学生向けに100ドルのAzureクレジットもらった
けど使い道に困っている人
OpenVPN Access Serverとは?
OpenVPNは、VPNプロトコルの中でも非常に有名で信頼性が高いオープンソースソフトウェアです。
そして、今回使う OpenVPN Access Server は、そのOpenVPNを誰でも簡単にセットアップ・管理できるようにあらかじめチューニングされたイメージ( OSとパッケージがあらかじめある程度設定済みの仮想マシン )です。Azure Marketplaceから数クリックでデプロイでき、Webの管理画面でほとんどの設定が完了します。
ただし、無料範囲では同時接続2台までなので注意!
それ以上接続しようとすると次のようなエラーになります。
LICENSE: Access Server license failure: maximum concurrent_connections exceeded (2)
// ライセンス: アクセスサーバーのライセンス障害: 最大同時接続数を超えました (2)
準備するもの
-
Azureのアカウント
- 無料試用版でもOKです。持っていない方は公式サイトから作成してください。
-
コマンドライン環境があるPC
- WindowsならPowerShell、macOSならターミナルを使えるようにしてください。
- なくてもいけるけど面倒くさいし結局やること変わらない
- WindowsならPowerShell、macOSならターミナルを使えるようにしてください。
-
動作確認用のデバイス
- ここではAndroidスマートフォンを使って動作確認します。
構築手順 (ここからが本番!)
それでは、実際にAzureポータルから操作してVPNサーバを構築していきます。
Step 1 : Azure MarketplaceでOpenVPN Access Serverを検索
-
Azureポータルにサインインします。
- リソースの作成をクリックして、検索バーで「
OpenVPN Access Server
」と検索し、サービスを選択します。選び間違えないように注意してください。
- 「
作成
」ボタンをクリックします。事前設定された構成で開始する
を選ぶ場合、料金がかかるプランになりますし、何より個人利用では持て余してしまいます。
Step 2: 仮想マシンの基本設定
仮想マシン(サーバ本体)の設定を入力していきます。
- リソースグループ: 新規作成で分かりやすい名前(例:
OpenVPN-RG
)をつけます。 - 仮想マシン名: サーバの名前です(例:
my-vpn-server
)。 - 地域: 日本から使うなら「東日本 (Japan East)」がおすすめです。
-
サイズ: 仮想マシンを稼働するサーバーの設定。使用料金に関わるところです。
すべてのサイズを表示
から次の画面に飛べます。BシリーズのB1s
とB2ats_v2
は最初の750時間、仮想マシンの使用料金が無料なのでこの2つをおすすめします。
- 認証の種類: パスワード をおすすめします。
- ユーザー名: サーバにログインするための管理者名(例:
azureuser
)。 - パスワード: 強力なパスワードを設定します。
ポイント💡
「認証の種類」で「パスワード」を選ぶと、後のサーバ接続が簡単になります。
SSHキーの管理が面倒な上、どのみちパスワードは必要になるので、何かとパスワードのほうが管理しやすい。
Step 3: デプロイと完了
他の設定(ディスク、ネットワークなど)は、次のように選択すると良いです!
画面下の「確認および作成」を押し、内容に問題がなければ「作成」ボタンをクリックしてデプロイを開始します。
デプロイには数分かかります。気長に待ちましょう
OpenVPNサーバの初期設定
デプロイが完了したら、次はOpenVPN自体の設定です。
Step 1: 管理画面にアクセス
- デプロイが完了したリソース(仮想マシン)の概要ページに移動します。
- 「パブリックIPアドレス」をコピーします。
- ブラウザのアドレスバーに
https://<コピーしたIPアドレス>/admin
と入力してアクセスします。- 例:
https://203.0.113.1/admin
- 例:
- 証明書のエラーが出ますが、気にせず「詳細設定」→「〜にアクセスする(安全ではありません)」などをクリックして進みます。
Step 2: サーバの初期設定とパスワード設定
初めて管理画面にアクセスすると、初期設定ウィザードが表示されます。基本的にはすべてデフォルトのままで「Agree」や「Save Settings」をクリックして進めばOKです。
次に、VPNに接続するための openvpn
ユーザーのパスワードを設定します。
- Azureポータルに戻り、仮想マシンの「接続」→「SSH」を使ってサーバに接続します。(Azure Cloud Shellを使うと簡単です)
- サーバに接続できたら、以下のコマンドを実行してパスワードを設定します。
sudo passwd openvpn
新しいパスワードを2回入力すれば完了です。
Step 3: VPNユーザーの作成 (任意)
家族用など、自分以外のユーザーを追加したい場合は、管理画面の「User Management」→「User Permissions」から新しいユーザーを作成できます。
クライアント(PC/スマホ)から接続してみよう!
いよいよクライアントから接続します!
- ブラウザで
https://<コピーしたIPアドレス>
にアクセスします。- 今度は
/admin
は不要です。
- 今度は
- ユーザー名に
openvpn
、パスワードに先ほど設定したものを入力してログインします。 - 利用しているOS(Windows, macOS, Android, iOS)のクライアントソフトをダウンロードしてインストールします。
(ここにクライアントログイン画面と、プロファイルダウンロード画面のスクリーンショットを挿入)
- インストールした「OpenVPN Connect」アプリを起動し、先ほどダウンロードしたプロファイルをインポートします。
- スイッチをONにすれば...接続完了です! 🎉
(ここに接続成功画面のスクリーンショットを挿入)
whatismyip.com
のようなサイトにアクセスして、IPアドレスがサーバのものに変わっていれば成功です。
気になる料金は?
- OpenVPN Access Serverライセンス: 同時接続2台まで無料!
-
Azure仮想マシン:
- 今回作成したVM(Standard B1sなど)の実行時間に応じた料金がかかります。
- 1か月24時間稼働させても、月額1400円程度です。(2025年8月時点、為替等の影響を受ける)
- 使わない時はVMを「停止」しておけば、料金はほとんどかかりません。
- 1時間で約1.8円程度の従量課金制
個人で使う分には、かなり安価に運用できますね!
実用性について
2025年8月時点では、中国でも問題なくつながることが確認できました。
おわりに
いかがでしたでしょうか?
専門知識がなくても、本当にあっという間に自分専用のVPNサーバが立てられてしまいました。
これで、海外からでも日本の動画サービスを楽しんだり、公衆Wi-Fiを安全に使ったりできます。
ぜひ皆さんも、構築してみてください!