はじめに
ロボットが操作するファイルって、どうやって管理してますか?
- ロボットが動作する端末/サーバのローカルに配置
- 会社のNAS/SAN(ファイルサーバ)上の共有フォルダに配置
- BOX や Google Drive などのオンラインストレージに配置
が一般的かな?と思います。
なかでも「ファイルサーバ上の共有フォルダ」に配置されたファイルへは、ロボットから net use
コマンドで接続しているケースが多いのではないでしょうか。
今回は net use
を使い続けることによる課題と、解決案としての RFS
について書いて行こうと思います。
本記事は、BizRobo! v10.7.x 以降の利用を前提に解説します。
net use
が使われる よくある背景
ロボットを全社的に利用しており、部署毎個別にアクセス権限が設定されているフォルダへロボットのアクセスを許可する場合、
- 既存のロボット実行アカウントにアクセス権限を追加する
- 当該フォルダへのアクセス用に新規でアカウントを作成し、ロボットに付与する
のいずれかが考えられますが、セキュリティの観点から多くの会社では後者が選択されるでしょう。
これは最小権限の原則というセキュリティの基本原則に基づいており、「管理工数がかかるから特権アカウント付与しちゃいましょうよ。」というのはダメなんですね。
そうなるとロボット実行ユーザのアカウントとは別に、ファイルアクセス用アカウントを準備・管理しながらロボットを動かすことになります。
また、ロボットの実行タイミングとは別に端末やサーバ 1 上にあらかじめ複数アカウントのリモートドライブ接続をしておくことで、ファイルアクセス用のアカウントを意識することなく複数部署のファイルへアクセスすることができますが、根本的にこれではロボット実行ユーザーに過大な権限を持たせているのと同義で、最小権限の原則から外れてしまいますし、脱法的な運用をしている分、特権アカウントを付与するよりもたちが悪いです。2
かくして、net use
により各ロボット「実行時にファイルアクセス用アカウントを用いたドライブ接続と、処理終了後の切断」という手順をロボットに組み込む必要が出てきます。
net use
の使い方と課題
PS C:\Users\xxx>net use /?
このコマンドの構文は次のとおりです:
NET USE
[devicename | *] [\\computername\sharename[\volume] [password | *]]
[/USER:[domainname\]username]
[/USER:[dotted domain name\]username]
[/USER:[username@dotted domain name]
[/SMARTCARD]
[/SAVECRED]
[/REQUIREINTEGRITY]
[/REQUIREPRIVACY]
[/WRITETHROUGH]
[[/DELETE] | [/PERSISTENT:{YES | NO}]]
NET USE {devicename | *} [password | *] /HOME
NET USE [/PERSISTENT:{YES | NO}]
ロボットの中から実行する場合には Execute CommandLine
アクションで net use
コマンドを実行します。上記の構文に沿ってコマンド文字列をロボット内で生成・実行するわけですが、以下のような運用上の課題が発生します。
ロボットの処理としてシステムレベルの操作を組み込まなければならない。
- CoE が代表して共通処理を作成・配布し、ユーザに利用を促す必要がある。
- ユーザによっては共通処理を使用せず独自にカスタマイズする場合があり、ルールが守られない場合ロボット実行時に不明な接続エラーが発生し、情シスが調査に追われることになる。
接続/切断エラーなど、操作が失敗した場合にロボットレイヤーのみではなくOSのレイヤーの対応も必要になる。
- エラーによりリモートドライブ接続が解放されない場合、サーバへログインし、
net use /delete
しないと、その後玉突き的にロボットがエラーとなってしまうこともある。
ロボットの開発者・運用者へファイルアクセス用アカウント情報を教える必要がある。
- ロボットに対して付与したアカウント情報をそれ以外の関係者複数で共有してしまうことになる。
- 慣れてくると作業ショートカットとして、調査のために自端末から他部署の共有ドライブにアクセスするなどの不適切な行動を誘発する。
可能な限りシステムはシンプルに。
開発・運用もシンプルに保つために、出来るだけ複数のレイヤー(アプリケーション、ミドルウェア、OSなど)にまたがった作業を必要としないアーキテクチャを探求したいところです。
RFSとは
公式ドキュメントの記述は非常に淡白で、いまいちピンとこないので動画で紹介します。
👇
端的に言うと、以下の操作を可能にした機能です。
- リモート端末(DAS)、ロボット実行サーバーどちらに対しても同じUXで操作可能
- ファイルへのアクセス認証情報(ID/PW)を MC で一元的に管理し、開発者・運用者が目にすることはない
- ロボット実行時に自動的にドライブ接続し、ロボット終了時(エラー終了含む)には自動で切断
- NAS/SANなどのファイルサーバーだけでなく、ローカルの Windows フォルダ、SFTP、および FTP(s) サーバーに対して全て同じUXで接続することが可能
- ファイルシステムへのアクセス権限は「プロジェクト」「個別のロボット」「特定のバージョンの個別ロボット(パスワードストアと同じレベル)」を選択してピンポイントに付与することも可能
要は、OSレイヤーには関与せず、ロボットのアプリケーションレイヤーで運用が完結する net use
の上位互換・次世代機能 です。
もっと詳しく知りたい方、実際に環境を構築して使ってみたい方は以下の記事をご覧ください。
まとめ
BizRobo! の機能的特徴として バックグラウンド処理
や Kapplets
というキーワードはよく聞きますが、いまだに ロボット ファイルしシステム(RFS)
を挙げる人に会ったことないのは不満です。
もっとアピールすべきだとは思いますね。一利用者としては。