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ElixirAdvent Calendar 2020

Day 2

Timexで時を操る

Last updated at Posted at 2020-12-01

Timexで時間操作

Phoenixでプロジェクトを作っているときに、

  • 指定時間にプログラムを実行したい
  • 時刻の足し算、引き算がしたい(1時間後とか2日前とか)
  • 日時の処理をDateTimeよりも直感的に行いたい

など、時刻をいじる系で便利な手段が欲しくなることがあると思います。
そういうときに使えるのがこのTimexというモジュールです。

今回は新規プロジェクトの中でTimexを用いて色々な操作をしてみようと思います。Elixirを触りたての方でも十分理解できるような内容となっていると思います。

Timexとは

時間操作用のモジュールです。Linuxでよく使われる、tzdataというタイムゾーンのデータの入ったパッケージを利用しています。
Elixirに標準でついているTime構造体やDate構造体などは時刻しか扱えなかったり日付しか扱えなかったりで不便な思いをしてしまったり、プログラムであれこれ処理をしようとすると長くなってしまったりして読みにくい思いをしてしまうことがあると思います。
このTimexは豊富な機能を持ちながら、簡潔に時間操作が行えるのでそのような場合に人気のモジュールです。

プロジェクト新規作成

> mix phx.new toki --no-ecto --no-webpack

今回はectoとwebpackは使わずに動作をさせてみようと思います。

mix.exs
  # Specifies your project dependencies.
  #
  # Type `mix help deps` for examples and options.
  defp deps do
    [
      {:phoenix, "~> 1.5.6"},
      {:phoenix_html, "~> 2.11"},
      {:phoenix_live_reload, "~> 1.2", only: :dev},
      {:phoenix_live_dashboard, "~> 0.3 or ~> 0.2.9"},
      {:telemetry_metrics, "~> 0.4"},
      {:telemetry_poller, "~> 0.4"},
      {:gettext, "~> 0.11"},
      {:jason, "~> 1.0"},
      {:plug_cowboy, "~> 2.0"},
      {:timex, "~> 3.0"}
    ]
  end

mix.exsでtimexを入れて、mix deps.getをします。

> iex -S mix phx.server

そしてサーバーを起動しておきます。これで準備完了です!

時刻関連のシギルたち

実際にコードを動かしてみる前に、Elixirの時関系でよく使われるシギルについて触っておこうと思います。

~D

Date構造体用のテキスト表現です。
year, month, day, それとcalendarというフィールドを持っています。
Date構造体は現在の日付に関する情報は持っていますが、時刻に関する情報は持っていません。

Date
iex> d = ~D[2019-10-31]
~D[2019-10-31]
iex> d.day
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~T

Time構造体用のテキスト表現です。
hour, microsecond, minute, second, それとcalendarというフィールドを持っています。
こちらのTime構造体は現在の一日の時刻に関する情報は持っていますが、年月日に関する情報は持っていません。

Time
iex> t = ~T[23:00:07.0]
~T[23:00:07.0]
iex> t.second
7

~N

NaiveDateTime構造体用のテキスト表現です。
NaiveDateTimeは日付と時刻の両方の情報を持っています。しかし、タイムゾーンに関する情報は持っていません。

NaiveDateTime
iex> ndt = ~N[2019-10-31 23:00:07]
~N[2019-10-31 23:00:07]

~U

DateTime構造体用のテキスト表現です。UTC時刻のISOフォーマットらしいです。
DateTimeは、NaiveDateTimeにタイムゾーンの情報を付け足したような構造体です。

DateTime
iex> dt = ~U[2019-10-31 19:59:03Z]
~U[2019-10-31 19:59:03Z]
iex> %DateTime{minute: minute, time_zone: time_zone} = dt
~U[2019-10-31 19:59:03Z]
iex> minute
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iex> time_zone
"Etc/UTC"

現在時刻の取得

最初は一番わかりやすく、手っ取り早い現在時刻の取得からやってみます。

iex(1)> use Timex
Timex.Timezone
iex(2)> Timex.now()
~U[2020-11-23 15:58:54.967055Z]

カンタンに取得できました。

iex(3)> Timex.now("America/Chicago")
#DateTime<2020-11-23 09:59:08.108933-06:00 CST America/Chicago>
iex(4)> Timex.now("Asia/Tokyo")
#DateTime<2020-11-24 01:01:19.534768+09:00 JST Asia/Tokyo>

タイムゾーンの指定もこのようにして行うことができます。

タイムゾーンの取得

よく出てくるタイムゾーンの一覧を取得するには、timezones/0関数を使います。

Timex.timezones() |> IO.inspect(limit: :infinity)

IO.inspect()なしで結果を表示しようとすると途中から省略されてしまうので、
このようにしてIO.inspect(data, limit: :infinity)をパイプラインで繋げることでリストを全て表示することができると思います。

他の構造体へ変換する

Elixirに標準で用意されているDate構造体やDateTime構造体などにも簡単に変換することができます。

iex(8)> Timex.now() |> Timex.to_date()
~D[2020-11-23]
iex(9)> Timex.now() |> Timex.to_datetime()
~U[2020-11-23 16:53:23.198898Z]
iex(10)> Timex.now() |> Timex.to_unix()
1606150431
iex(11)> Timex.now() |> Timex.to_naive_datetime()
~N[2020-11-23 16:54:16.577036]

特定の日付よりも前か後かを判定

ここまでの過程で、Timexを他の構造体へ変換してきました。これを利用することで時間にまつわる様々な情報を得ることができます。
ここでは、今日の日付がクリスマスよりも前なのか後なのかを判定させています。

iex(13)> Timex.now() |> Timex.to_date()
~D[2020-11-23]
# クリスマスよりも後かどうか
iex(14)> Timex.after?(~D[2020-11-23], ~D[2020-12-25])
false
# クリスマスよりも前かどうか
iex(15)> Timex.before?(~D[2020-11-23], ~D[2020-12-25])
true

ずらした日にち(明日とか)を取得する

これはけっこう使い勝手の良い処理だと思います。この例では明日や昨日を取得しています。
Timexの中にあるDurationモジュールも使用しています。

# 明日
iex(19)> Timex.now() |> Timex.add(Timex.Duration.from_days(1))
~U[2020-11-24 17:11:10.458624Z]
# 昨日
iex(20)> Timex.now() |> Timex.add(Timex.Duration.from_days(-1))
~U[2020-11-22 17:12:14.499312Z]
# 来週
iex(21)> Timex.now() |> Timex.add(Timex.Duration.from_weeks(1))
~U[2020-11-30 17:14:28.370927Z]

Timex.add/2の他にも、Timex.shift/2を利用することができます。

# 来年
iex(25)> Timex.now() |> Timex.to_date() |> Timex.shift(years: 1)
~D[2021-11-23]
# 明日
iex(28)> Timex.now() |> Timex.to_date() |> Timex.shift(days: 1)
~D[2020-11-24]

時刻にまつわる文字列を解析する

これも使いやすいと思います。指定されたフォーマットで書かれた文字列をパースして取り込むことができます。
文字列として時刻を渡されたときに重宝するかと思います。

iex(22)> Timex.parse("2020-11-24", "{YYYY}-{0M}-{D}")
{:ok, ~N[2020-11-24 00:00:00]}
iex(23)> Timex.parse("2020-11-24T22:25:00-00:00", "{ISO:Extended}")
{:ok, ~U[2020-11-24 22:25:00Z]}
iex(24)> Timex.parse("2020-11-24T22:25:00-00:00Z", "{ISO:Extended}")
{:ok, ~U[2020-11-24 22:25:00Z]}

さいごに

今回はTimexの中でも使い勝手のいい機能たちを掲載させていただきました。Elixirでアプリケーションを開発するときにTimexに触れる機会は出てくると思うので、少しでも助けになれば幸いです!

参考リンク

https://elixir-lang.org/getting-started/sigils.html
https://elixirschool.com/ja/lessons/basics/date-time/
https://hexdocs.pm/timex/Timex.html
https://access.redhat.com/ja/articles/3296191

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