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【グランドエスケープ】2019年の年末に、太陽の死角に立ちこの地球(ほし)を出るのに必要な速度「第三宇宙速度」を求めてみる

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 宇宙の深淵からこんにちは!

\displaystyle\int {\rm d}\boldsymbol{r}\hat{\psi}^{\dagger}(\boldsymbol{r})ぽっぴんフレンズ\hat{\psi}(\boldsymbol{r})

です!

 2019年もいよいよ年末に迫り、新たな年が目前に迫ってきました。この1年を振り返るといろいろなことがありましたね…!ブラックホールが初めて直接観測だれたり、夏に公開された「天気の子」が大ヒットしたり、ボイジャー2号が太陽圏を脱出したり、面白い出来事がたくさんありました。

 今回は、今年の締めくくりとして(今年中にまた記事を出す可能性もありますが)、太陽系からグランドエスケープするにはどうすればよいかについて考えていきましょう!

1 万有引力

 手始めに、今回のテーマの核心となる万有引力について見ていきましょう。万有引力がどのような経緯で発見されたか、そして、グランドエスケープの計算において必要な準備をして行きます。

1.1 万有引力誕生秘話

  鉛筆、消しゴム、筆箱、ノート、りんご、車、ねこ、人間、東京タワー、新幹線など、地球上にはいろいろな物体があります。そして、これらにはある共通点があります。それは、空中で手を離すと地面に向かって落ちること。「え!?マ!?」と疑問を抱いた方、是非身の回りのものを手にとって、空中で手を離してみてください。(ヘリウム入り風船などでない限り)落ちるはずです。

物体は必ず落ちるということには納得いただけたでしょう。しかし、ここである疑問が浮かんできます。

なぜ月は落ちてこないのか。

この事実は文明が興って以来、常に人類にとっての大きな謎でした。様々な歴史・紆余曲折を経て、人類は一つの解釈に辿りつきました。

「天空は神の住む世界であるため、地上とは違う物理法則によって支配されている。よって、天空にある月は地上にある物体と違い、落ちてこない」

と。とある宗教の影響が強かった当時、このように地上と天空を分けて考えるのが主流となっており、それが長年人々の固定観念を支配してきました。しかし、ここで

「いやいや、地上と天空で物理法則が違うとか普通に考えてありえないっしょw 何よりそれってダサくね?w」

と、当時主流だった学説に対して真っ向から果敢にチャレンジする者が現れました。そう、近代科学の父ことアイザック・ニュートンです。実は当時、地球や木星といった惑星の運動について、すでにかなりのことが分かっていました。特に、以下のケプラーの三法則が当時大きな話題を呼びました。

  • ケプラーの第一法則(楕円軌道の法則)
    惑星の軌道は、太陽を焦点の一つとする楕円軌道を描く。この時、楕円軌道のもう一方の焦点には何もない。

  • ケプラーの第二法則(面積速度一定の法則)
    太陽と惑星を結ぶ直線が単位時間あたりに描く面積(面積速度)は一定である。例えば、惑星が太陽に近い時は速く、太陽から遠いといきは遅く音どうする。

  • ケプラーの第三法則(調和の法則)
    惑星の周期 $T$ の2乗と楕円軌道の長半径 $a$ の3乗の比 $T^2/a^3$ は、太陽系の惑星によらず一定である。

ニュートンは、ケプラーの三法則を元に、

「こんな3つもいらんでしょw 2つの物体が互いにイイ感じに引っ張り合ってるって考えればよくね?w」

と考え、万有引力の法則を着想しました。具体的には、「2つの物体の間に引力が働いており、引力の大きさが2つの物体それぞれの質量の積に比例し、物体間の距離の2乗に反比例する」という法則を新たに導入することで、ケプラーの三法則全てを説明することに成功したのです。

 万有引力の法則によって、月がなぜ落ちてこないかという疑問にも納得のいく答えが示されます。結論をいうと、月も落ちているのです!どういうことでしょうか?月も地球からの万有引力に引かれ、地上に落ちてこようとします。しかし、元々横方向に速度を持っていたため、真下ではなく、横に逸れた軌道で落ちます。地球は丸いので、なんと月が落ちた先に地表がありません!こうして、月は地表に落ちることなく延々と地球の周りを「落ち」続け、結果として地球の周りを回るということです。

 ニュートンは、その一生の中で、万有引力の法則をはじめ、高度な数学を用いて物体の運動などに関する精密な予測を可能とした「古典力学」を築きあげました。近代科学は、彼の手から始まったのです。

1.2 万有引力に関する数学的準備

 前節では万有引力の法則が生まれた経緯について軽く触れました。本節では、今回の目的である太陽系からグランドエスケープする方法を探る上で必要な数学的な準備をして行きます!

 前節でも軽く触れましたが、万有引力の法則は以下のようになっています。

1.2.1 万有引力の法則

万有引力の法則
2つの物体の間には、互いに引き合う力「引力」が働く。引力の大きさ $F$ は、2つの物体それぞれの質量 $m_1, m_2$ の積に比例し、物体間の距離 $r$ の2乗に反比例する:

F=G \frac{m_1m_2}{r^2}. \tag{1}

$G$ は万有引力定数と呼ばれる定数である。

万有引力が「互いに引き合う力」であるということは、地球が人間や月を引き付けていると同時に、人間や月もそれと同じ大きさの力で地球を引き付けていることになります。そして、質量を持つ物体同士であれば必ず引力を及ぼし合うので、人間と月、人間と人間、ドナルド・トランプ大統領と習近平主席も実は互いに引き付けあっています。しかし、この引力はとても小さいので、人間には感じることができません。

1.2.2 円運動の運動方程式

 次に、円運動の運動方程式について紹介します。惑星運動は、厳密には楕円軌道を描きますが、多くの惑星はほぼ真円の軌道をと流と近似できます。軌道が真円となる運動を円運動と呼び、この円運動の計算に欠かせないのが円運動の運動方程式です。

 運動方程式とは、簡単にいえば「物体が力を受けたとき、物体には力の大きさと物体の質量に応じた大きさの加速度が力の向きに生じる」という法則です。式で書けば、「質量 $m$、加速度 $a$、力 $F$ の間には "$ma=F$" という関係がある」という形になります。円運動の場合も物体は力を受けて運動しますが、軌道を円たらしめる力は円の中心方向「向心方向」にかかります。そして、この力を向心力と呼びます。力を受けて運動している以上、運動方程式を立てることができます。円運動の(向心方向の)運動方程式は以下のようになります。

円運動の向心方向の運動方程式
質量 $m$ の物体が大きさ $F$ の向心力を受けて半径 $r$ の円軌道上を速さ $v$ で運動している時の物体に関する運動方程式は以下のようになる:

m\frac{v^2}{r}=F.\tag{2}

普通の運動方程式「$ma=F$」と変わった箇所といえば、加速度 $a$ が $\frac{v^2}{r}$ に置き換わっている点です。これは、円運動の向心方向の加速度が円軌道の半径 $r$ と $v$ を用いて $a=\frac{v^2}{r}$ と表せるためです(詳しい導出は省きます)。

1.2.3 エネルギー保存則

 最後に、グランドエスケープを考える上で、もう一つ重要な式があります。力学的エネルギー保存則です。詳しい導出は省きますが、これは以下のような法則です。

万有引力下で運動する物体の力学的エネルギー保存則
質量 $m$ の物体 1 が質量 $M$ の物体 2 からの万有引力を受けて運動する場合を考える。ただし、$M\gg m$ であり、質量 $M$ の物体は静止しているとみなせるとする。この時、以下の式で表される物体 1 の力学的エネルギー $E$ は保存する:

E=\frac{1}{2}mv^2-G\frac{Mm}{r}={\rm const}.\tag{3}

$v$ は物体 1 の速さ、$r$ は物体 1,物体 2 間の距離である。

第1項 $\frac{1}{2}mv^2$ は運動エネルギー、第2項 $-G\frac{Mm}{r^2}$ は(無限遠点を基準とした)位置エネルギーと呼ばれます。万有引力のみを受けて運動する場合、運動エネルギーと位置エネルギーの和が常に一定となる、というのが法則の主張です。

 以上で準備は整いました。次からいよいよグランドエスケープの計算へと入っていきます!計算で用いる式を今一度まとめておきましょう。

  • 万有引力の法則
    $\displaystyle F=G\frac{Mm}{r^2}$

  • 円運動の運動方程式
    $\displaystyle m\frac{v^2}{r}=F$

  • 力学的エネルギー保存則
    $\displaystyle E=\frac{1}{2}mv^2-G\frac{Mm}{r}={\rm const.}$

2 三つの宇宙速度

 本章ではいよいよグランドエスケープの計算に入っていきますが、そのために三つの宇宙速度を順に計算して行きます。三つの宇宙速度はそれぞれ「第一宇宙速度」、「第二宇宙速度」、「第三宇宙速度」と呼ばれ、これらの意味は以下の通りです。

  • 第一宇宙速度
    物体が地球の表面ギリギリを円運動する際の速さ。

  • 第二宇宙速度
    物体が地球の重力を振り切るために必要な、地表における初速度。

  • 第三宇宙速度
    物体が地球と太陽の重力を振り切るために必要な、地表における初速度。

今回我々が計算したいグランドエスケープのための速度第三宇宙速度に相当します。以下、順に宇宙速度を計算して行きます。計算に際し、必要となる数値を以下にまとめておきます。

  • 万有引力定数:$G=6.67\times10^{-11}{\rm [m^3/(kg\cdot s^2)]}$
  • 地球の質量:$M=5.97\times10^{24}{\rm[kg]}$
  • 地球の半径:$R=6.36\times10^{6}{\rm[m]}$
  • 太陽の質量:$M_s=1.99\times10^{30}{\rm[kg]}$
  • 地球の公転半径:$R_E=1.50\times10^{11}{\rm[m]}$

2.1 第一宇宙速度

 エベレストの頂上に剛腕な野球のピッチャーが立っているとします。ピッチャーが水平方向にボールを投げると、エベレストから少し離れたところに着地します。ボールを投げる速さをさらに速くすると、さらに遠くへ着地します。そしてさらにさらに速くボールを投げると……。エベレストの頂上から投げ出されたボールは、他の山にぶつかることなく地球を一周し、ピッチャーの元へ帰還するでしょう。

スクリーンショット 2019-12-30 21.13.43.png

 以上が、第一宇宙速度において起きていることのイメージです。厳密には、地表が完全に平坦で空気抵抗がない場合、地上のある場所からある一定の速さで投げ出された物体は、地表すれすれを運動し続け、地球を一周回ることができます。ちょうど月が地球の周りを回り続けるように。この時の速さが第一値宇宙速度です。

 早速計算してみましょう。質量 $m$ の物体が地表すれすれを円運動しているとき、円運動の半径は地球の半径 $R$ と等しくなります。そして、この時の速さ $v_1$ が第一宇宙速度です。物体が受ける万有引力の大きさは、地球の質量を $M$とし、地球の中心と物体の距離が地球の半径 $R$ と等しいため、$F=G\frac{Mm}{R^2}$ となります。以上より、円運動の運動方程式を立て、方程式をといて数値を代入すると、第一宇宙速度 $v_1$ は

\begin{align}
&m\frac{v_1^2}{R}=G\frac{Mm}{R^2}\\
\Longleftrightarrow\quad&v_1 = \sqrt{\frac{GM}{R}}\simeq\boldsymbol{7.91\times10^3{\rm[m/s]}}=\boldsymbol{7.91{\rm[km/s]}}
\end{align}

と求まります。これがどれほどの速さかというと、音速(=マッハ1)がおよそ $V=3.4\times10^2{\rm[m/s]}$ なので、$v_1$を音速で割るとおよそマッハ23、音速の約23倍となります。軍用戦闘機の最高速度がおよそマッハ 2$\sim$3 らしいので、第一宇宙速度はその約10倍ということになります。空気中の物体の速さが音速を超えるとその周りに衝撃波が生じますが、仮に物体が第一宇宙速度で地表すれすれを進む場合、その軌道周辺の † す べ て † が吹き飛ばされて無に帰すことでしょう。

凄まじいですね……。

2.2 第二宇宙速度

 剛腕な野球のピッチャーが地表に立っているとします。ピッチャーが真上にボールを投げると、ボールは上空に向かって突き進みますが、地球からの重力によって失速し、ある高さで折り返し、今度は地表に向かって落下します。さらに速くボールを投げ上げると、より高い地点までボールが到達します。そして、さらにさらに速くボールを投げ上げると……。ボールは地球の重力を振り切り、宇宙の彼方へと飛び立っていくでしょう。

スクリーンショット 2019-12-30 21.24.36.png

 以上が第二宇宙速度において起こっていることのイメージです。ある速さを境に、それよりも小さい速さでは物体は地球に引き戻され、それ以上の速さであれば地球からのグランドエスケープが可能となります。

 では、早速計算して行きましょう。地表(地球の中心から距離 $R$ )から速さ $v_2$ (第二宇宙速度)で上空へ出発した物体(質量 $m$ )は、地球(質量 $M$ )からの万有引力のみを受けて運動します。運動する間、物体の力学的エネルギーが保存されます。つまり、地球から離れるほど万有引力によって運動エネルギーが削られ、その分だけ位置エネルギーに回されます。そして、物体が丁度運動エネルギーを使い果たした時、物体は無限遠点(地球から無限に離れた位置)に到達すると考えれば、ギリギリ地球から脱出できたとみなせるでしょう。この流れを立式すると、以下のようになります。

\frac{1}{2}mv_2^2-G\frac{Mm}{R}=\frac{1}{2}m\cdot0^2-G\frac{Mm}{\infty}(=0)

左辺は地表における力学的エネルギー、右辺は無限遠点における力学的エネルギーで、両者の値は力学的エネルギー保存則より等しくなります。無限遠点 $r=\infty$ で丁度物体の速さが $v=0$ になることから、無限遠点での力学的エネルギーは丁度 0 になります。結局、以下の方程式を解くことで第二宇宙速度 $v_2$ が求まります。

\begin{align}
&\frac{1}{2}mv_2^2-G\frac{Mm}{R}=0\\
\Longleftrightarrow\quad&v_2 = \sqrt{\frac{2GM}{R}} \simeq \boldsymbol{1.12\times10^4{\rm [m/s]}} = \boldsymbol{11.2{\rm [km/s]}}
\end{align}

第一宇宙速度のおよそ1.4倍という、これまた凄まじい速さが必要になります。

余談:シュヴァルツシルト半径
 第二宇宙速度 $v_2$ はいわば地球からの脱出速度です。$M$ や $R$ を他の天体の質量や半径にすれば、その天体の表面からの脱出速度となります。ここで、脱出速度が光速 $c$ と等しい時の半径 $R_c$ を考えてみましょう。上の力学的エネルギーの式で $v_2, R$ を $c, R_c$ に置き換えると、

\begin{align}
&\frac{1}{2}mc^2-G\frac{Mm}{R_c}=0\\
\Longleftrightarrow\quad&R_c = \frac{2GM}{c^2}
\end{align}

となります。この $R_c$ は質量 $M$ の天体に対するシュヴァルツシルト半径と呼ばれます。アインシュタインの相対性理論によれば、物体は光速以上の速さで運動することが不可能であるため、仮に天体の半径がシュヴァルツシルト半径よりも小さい場合、この天体から脱出することは不可能となります。(シュヴァルツシルト半径の計算は、厳密には相対性理論の枠組みで計算する必要がありますが、その結果は上記のものと一致します。)

 試しに、地球のシュヴァルツシルト半径を求めてみましょう。地球の質量 $M=5.97\times10^{24}{\rm[kg]}$、光速 $c=3.0\times10^8{\rm [m/s]}$ より、
$$R_c \simeq 0.9{\rm[cm]}$$
となります。地球を半径 0.9[cm] の球の内側まで押し込むことができれば、地球がブラックホールとなります。また、太陽のシュヴァルツシルト半径はおよそ 3[km] となります。

2.3 第三宇宙速度

 剛腕なピッチャーにより地表から第二宇宙速度で投げ上げられたボールは、晴れて地球から脱することができた……はずでした。地球よりもはるかに大きく、そしてはるかに重い天体 † THE SUN † からの重力がボールに襲いかかります。第二宇宙速度の甲斐も虚しく、ボールは太陽に引きずり込まれてしまうのでした……。そう、グランドエスケープをするには、太陽の重力をも脱する必要があったのです。ならばやることは一つ。太陽の重力をも脱するに足る速さで地表から脱するのみです。

スクリーンショット 2019-12-30 21.37.03.png

 以上が第三宇宙速度において起こっていることのイメージです。地球の重力を脱するのに必要な第二宇宙速度では、太陽の重力から脱するには足らず、そのためにさらなる速度が必要となります。

 早速計算して行きましょう。まずは、地球の公転半径の位置における太陽からの脱出速度 $v_{S}$ を求めます。地球の重力の影響は一旦無視します。第二宇宙速度を計算した時と同様に力学的エネルギー保存則で計算すればよく、
$$v_{S}=\sqrt{\frac{2GM_S}{R_E}}\simeq 4.21\times10^4{\rm[m/s]}$$
となります。$M_S$ は太陽の質量、$R_E$ は地球の公転半径です。

 この $v_{S}$ は太陽から見た脱出速度であることに注意してください。我々が欲しいのは地球から見た脱出速度で、それは $v_S$ から地球の公転速度 $v_E$ を引くことで得られます。これは、太陽から見ると、物体は地球に乗ってすでに公転速度 $v_E$ で運動しているため、太陽から見た脱出速度 $v_S$ を得るためには、地球から見て差分 $v_S-v_E$ の速さを得れば良いということになります。地球の公転速度 $v_E$ は、第一宇宙速度を求めた要領で円運動の運動方程式を解けばよく、
$$v_E = \sqrt{\frac{GM_S}{R_E}}\simeq 2.98\times10^4{\rm[m/s]}$$
と求まります。よって、地球から見た太陽からの脱出速度 $v_3'$ は
$$v_3'=v_S-v_E=(\sqrt{2}-1)\sqrt{\frac{GM_S}{R_E}}\simeq 1.23\times10^4{\rm[m/s]}$$
と求まります。

 最後に、$v_3'$ の状態では、まだ地球の重力から脱することを考慮していないので、それを考えます。地表での初速度(第三宇宙速度)を $v_3$ として、このとき物体が持っている運動エネルギーから地球脱出に必要な位置エネルギーを差し引いた結果、速さ $v_3'$ に相当する運動エネルギーが残っていれば良いので、力学的エネルギー保存則より

\begin{align}
&\frac{1}{2}mv_3^2-G\frac{Mm}{R^2}=\frac{1}{2}mv_3'^2\\
\Longleftrightarrow\quad& v_3=\sqrt{\frac{2GM}{R}+v_3'^2}\simeq  \boldsymbol{1.67\times10^4{\rm [m/s]}} = \boldsymbol{16.7{\rm [km/s]}}
\end{align}

と求まります。とんでもない速さです。

 以上より、「太陽の死角に立ちこの地球(ほし)を出るのに必要な速度」が求まりました。それはズバリ 16.7[km/s] です。

余談:ロケット発射基地の場所
 第三宇宙速度の計算において、地球の公転速度を太陽からの脱出速度に充てるという部分がありました。同様に、地球の自転をロケットの速さの足しにするということも考えられます。地球の自転速度は赤道が最も速いので、自転速度を借りるにはロケット発射場をなるべく赤道に近い位置に置くのが有利になります。日本の種子島宇宙センターやアメリカのケネディ宇宙センターなどが国土の南方に作られていることからも分かりますね。

まとめ

 いかがだったでしょうか?今回は2019年の締め括りとして、グランドエスケープするためのについて扱いました。2010年代最後の年が終わり、少し寂しい気もします。果たして来年はどんな年になるのか、どんな流行りやニュースが我々を待ち受けているのか、ワクワクしますね!

それでは皆さん、よいお年を!

参考

宇宙速度-Wikipedia
宇宙情報センター / SPACE INFORMATION CENTER :宇宙速度
シュワルツシルト半径-Wikipedia

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