初心者向け:アルゴリズムとヒューリスティック探索の最適化
以下の動画の、内容を要約しました。
https://youtu.be/5NgNicANyqM?si=Qc3Dzaw6gf3x5qmd
この記事では、特にプログラミング初心者に向けて、探索アルゴリズムの進化についてわかりやすく解説します。今回は、「グリーディ最良優先探索」から「A*(エースター)探索」への改良について取り上げます。これらは、問題を効率的に解決するための重要な手法です。
グリーディ最良優先探索とは?
概要
グリーディ最良優先探索(Greedy Best-First Search)は、「ゴールまでの推定距離が最も短いノードを優先的に探索する」 アルゴリズムです。この「推定距離」は「ヒューリスティック関数(heuristic)」を使って計算されます。
特徴
- 長所: 探索範囲を狭め、効率よくゴールに近づく。
- 短所: 最適解(最短経路)を保証しない。
問題点の例
グリーディ最良優先探索は、局所的には最良の選択をするものの、全体的に最適でない解を導く場合があります。
例として、以下のような迷路を考えてみましょう:
- 現在地 A から ゴール B へ進むときに、ヒューリスティックに基づいて「ゴールまでの距離が短い」と見えるルートを選びます。
- しかし、実際には、遠回りのように見えるルートのほうが少ないステップでゴールに到達できる場合があります。
A*(エースター)探索の登場
グリーディ最良優先探索の課題を解決するために、「A探索」という改良版アルゴリズムが登場します。A探索では、ゴールまでの推定距離(ヒューリスティック)だけでなく、**現在の位置に到達するまでのコスト(実際にかかった距離)**も考慮します。
A*探索の基本原理
-
評価関数: A*探索では、次の式を使います:
[
f(n) = g(n) + h(n)
]- ( g(n) ): 現在の位置に到達するまでのコスト(過去のコスト)。
- ( h(n) ): ゴールまでの推定距離(ヒューリスティック値)。
例
迷路の各ノードに以下のような値が付与されているとします:
- 現在の位置 ( A ) までのコスト ( g(A) = 5 )。
- ゴールまでの推定距離 ( h(A) = 10 )。
- この場合、評価値 ( f(A) = g(A) + h(A) = 15 )。
A*探索の利点
-
最適性
- A*探索は「ヒューリスティック関数」が正しく設計されていれば、最適解(最短経路)を保証します。
- これを実現するには、ヒューリスティックが以下の条件を満たす必要があります:
- 許容性(Admissibility): ヒューリスティック値が常に「実際のコスト」を過大評価しない。
- 一貫性(Consistency): ヒューリスティック値が状態間で矛盾しない。
-
効率性
- 不要な探索を減らし、ゴールに向かう最適なルートに集中します。
プログラムの実装概要
以下は、PythonでのA*探索アルゴリズムの基本的な流れです:
-
初期化
- ( g ): 各ノードのコストを無限大に設定。
- ( f ): 評価値を計算するための辞書を用意。
- 開始地点の ( g ) 値を 0 に設定し、( f ) を計算。
-
探索ループ
- 開始地点からスタート。
- 未探索のノードから評価値 ( f ) が最小のノードを選択。
- ゴールに到達したら終了。
-
ノードの更新
- 隣接ノードを調べ、( g ) 値と ( f ) 値を更新。
- 必要に応じて優先度付きキューに追加。
A*探索の課題と改良の可能性
-
ヒューリスティックの設計
- 問題に適したヒューリスティックを作ることが鍵となります。例えば、迷路の場合、「マンハッタン距離」や「ユークリッド距離」がよく使われます。
- より複雑な問題では、問題の特性を深く理解する必要があります。
-
メモリ使用量
- A*探索は多数のノードを記録するため、メモリ消費が大きくなることがあります。
- この課題に対処するため、メモリ効率を改善したバリエーション(例:IDA*探索)が提案されています。
まとめ
A探索は、グリーディ最良優先探索を改良したアルゴリズムであり、ゴールまでの最短経路を見つける能力に優れています。しかし、その性能はヒューリスティック関数の質に大きく依存します。初心者の方も、まずは迷路の問題など簡単なシナリオでA探索を試してみると、その効果を体感できるでしょう。