Excelデータ解析:各シートごとのデータ処理とスペクトル変化の分析を解説
はじめに
PythonとPandasを使用して、Excelファイルの複数のシートに対してデータ解析を行う方法を紹介します。本記事では、各シートのデータを読み込み、必要な列の確認を行い、スペクトルデータの変化を定量化するプロセスを解説します。初心者でもわかりやすいように、各ステップの目的と具体的なコード例を含めています。
この記事を読むことで、次の内容が理解できるようになります:
- Excelファイル内の各シートごとにデータを処理する方法
- 必要なデータが存在するかチェックする方法
- スペクトルデータの差を計算し、変化の割合を求める方法
- 結果を整理して新しいDataFrameにまとめる方法
5. 各シートごとの処理
まずは、Excelファイル内のすべてのシートに対してデータ処理を行います。
コード例
for sheet_name in sheet_names:
df = excel_data.parse(sheet_name)
説明
- 目的:Excelファイル内の各シート(観測地点ごとのデータ)を順番に処理します。
-
sheet_names
:このリストは、Excelファイル内の全シート名を取得したものです。 -
excel_data.parse(sheet_name)
:現在のシート名に基づいて、そのシートのデータを読み込み、PandasのDataFrameとしてdf
に格納します。
初心者へのポイント
このループは、Excelファイルに複数のシートが存在する場合に便利です。例えば、異なる観測地点や異なる条件のデータがシートごとに保存されている場合、一度にすべてのデータを処理できます。
6. 必要な列の確認
データ処理を行う前に、シート内に必要な列が存在するかどうかをチェックします。
コード例
if 'Normalized Spectrum 12/7' not in df.columns or 'Normalized Spectrum 12/8' not in df.columns:
print(f"Warning: '{sheet_name}' シートに必要な列が見つかりませんでした。")
continue
説明
- 目的:データの整合性を確認するためのチェックです。
-
df.columns
:現在のシートに含まれるすべての列名を取得します。 -
if
文:必要な列('Normalized Spectrum 12/7' と 'Normalized Spectrum 12/8')が存在しない場合、警告を表示して次のシートに進みます(continue
)。
初心者へのポイント
データに欠損がある場合、このチェックを行うことで、後の処理で発生するエラーを未然に防ぐことができます。特にデータのフォーマットが一定でない場合には重要なステップです。
7. 差の割合を計算
次に、12月7日と12月8日のスペクトルデータの差を計算し、その変化を定量化します。
コード例
numerator = abs(df['Normalized Spectrum 12/7'] - df['Normalized Spectrum 12/8'])
denominator = abs(df['Normalized Spectrum 12/7'] + df['Normalized Spectrum 12/8']) / 2
difference_ratio = (numerator / denominator) * 100
説明
-
分子(numerator):
-
Normalized Spectrum 12/7
とNormalized Spectrum 12/8
の差の絶対値を計算します。 - これは両日のスペクトル値の違いを表します。
-
-
分母(denominator):
- 両日のスペクトル値の平均の絶対値を計算します。これは基準値として使用されます。
-
差の割合(difference_ratio):
- 分子を分母で割り、100を掛けることで、変化の割合をパーセンテージで表現します。
初心者へのポイント
この計算方法では、スペクトルデータの絶対的な値に依存せず、相対的な変化を評価することができます。これにより、異なる観測条件でもデータの比較が可能です。
8. 結果をDataFrameにまとめる
解析結果を新しいDataFrameに整理し、後続の処理で使いやすい形式にまとめます。
コード例
result_df = pd.DataFrame({
'Wavelength (nm)': df['Wavelength (nm) 12/7'],
'Normalized Spectrum 12/7': df['Normalized Spectrum 12/7'],
'Normalized Spectrum 12/8': df['Normalized Spectrum 12/8'],
'Difference Ratio (%)': difference_ratio
})
説明
-
pd.DataFrame()
:新しいDataFrameを作成します。 - 'Wavelength (nm)':波長情報を含む列です。
- 'Normalized Spectrum 12/7' と 'Normalized Spectrum 12/8':各日のスペクトルデータ。
- 'Difference Ratio (%)':計算した差の割合。
初心者へのポイント
この新しいDataFrameにより、元のデータと解析結果を1つの表にまとめることができます。これにより、データの保存やグラフ作成が容易になります。
まとめと次のステップ
この記事では、Excelファイル内の各シートに対してデータ処理を行い、スペクトルデータの変化を解析する方法を学びました。具体的には:
- Excelファイル内の複数のシートに対してデータを処理する方法
- 必要な列が存在するか確認する重要性とその方法
- スペクトルデータの差を計算し、その変化をパーセンテージで表す方法
- 結果を新しいDataFrameにまとめ、データを整理する方法
次のステップ
- 作成した
result_df
をExcelファイルに保存し、データの記録や共有に活用しましょう。 -
matplotlib
などのライブラリを使用して、スペクトルデータの変化をグラフで可視化してみましょう。 - データの異常値検出やエラーハンドリングを追加して、より信頼性の高いコードに改善してみましょう。
参考文献
- Pandas公式ドキュメント: pd.ExcelFile
- Pandas公式ドキュメント: DataFrame
- Python公式ドキュメント: abs()関数
- Real Python: Excelファイルの操作
- Matplotlib公式ガイド
この記事が、Excelデータの解析に役立つ基本的な手法を学ぶ助けになることを願っています。次は、実際にコードを書いて実行し、自分のデータに応用してみてください!