新卒で入った会社（メーカー）で配属されると、まずは部の決まり事について教わった。その中で、簡単な報告でも発行するする文書には文書番号をつけるように指導された。昔のことでよく覚えていないが、文書番号は３つのフィールドからなっていた。これとは別に、仕様書や図面は、技術文書の管理部門からながったらしい番号をもらって付与していた。

その後、転職した中小企業ではナンバリングのはっきりしたルールがなかったので、開発プロジェクトの文書についてはフォーマットを決めて運用した（今も続いているだろうか？）

JOBコード（オーダ番号）ー文書種別コード－通し番号

ここからは単なる興味で、NASAやESAといった宇宙機関ではどんなドキュメント番号の付け方をしているか調べてみた。これから例として示すものは、代表例であり組織全体のフォーマットでないことをあらかじめお断りしておく。

NASA

Field 1 - Field 2 - Field 3

Field 1
- センター名またはプロジェクトコード
  - センター名
    - NASA : NASA全体
    - GSFC : ゴダード・スペース・フライト・センター
    - JPL : ジェット推進研究所
    - JSC : ジョンソン宇宙センター
    - KSC : ケネディ宇宙センター
    - LaRC : ラングレー研究所
    - MSFC : マーシャル宇宙飛行センター
  - プロジェクト名
    - JWST : James Webb Space Telescope Project
Field 2
- 文書種別コード（例）
  - IRCD : Interface Requirements and Control Document
  - IRD : Interface Requirements Document
  - OCD : Operations Concept Document
  - PLAN : 計画
  - RQMT : 要求書
  - SPEC : 仕様書
  - STD : 標準
Field 3
- 通し番号
  - JWSTプロジェクトは5桁の数値（ゼロ埋め）
  - 文書種別に関係なく、Field 1毎の通し番号のように思える

JWST Requirement Flowdown Treeには、要求文書の体系が示され、文書名と部署番号が記載されている。

ESA

ESA共通のフォーマットは見つけられなかったが、Solar Orbiter Project (SOL) と LISA Pathfinder のフォーマットを見つけることができた。

Solar Orbiter Project (SOL)

XXX-XXX-XX-XXXX

1.プロジェクト識別コード
2.組織コード
3.文書種別コード
4.番号

プロジェクト識別コード
- SOL : Solar Orbiter Project (SOL)
文書を作成した組織のコード
- EST : ESTEC
- ESC : ESOC
- ESR : ESRIN
- F-ASTR : Atrium GmbH
- T-ASTR : SAS
- C-ALS : Alcatel Alenia Space
文書種別コード（例）
- IF : Interface Document
- MA : Manual
- PR : Procedure
- RS : Requirement Specification
- SOW : Statement of Work
- SP : Specification
- TS : Test Specification
- 基本的に2または3文字の頭文字
番号
- 通し番号
- 組織毎に通し番号を付与する

詳しくは、Documentation Management Requirements Solar Orbiter Project (SOL-EST-PR-72)を参照のこと

LISA Pathfinder

XXX-XXX-XX-XXXX

1.プロジェクト識別コード
2.組織コード
3.文書種別コード
4.番号

プロジェクト識別コード
- S2 : LISA Pathfinder
文書を作成した組織のコード
- EST : ESTEC
- ESC : ESOC
- ASD : Atrium GmbH
- ADU : Astrium Ltd
- SYS : Science System Ltd
文書種別コード（例）
- ICD : Interface Control Document
- MA : Manual
- PL : Plan
- PR : Procedure
- RS : Requirement Specification
- SOW : Statement of Work
- SP : Specification
- TS : Test Specification
- 基本的に2または3文字の頭文字
番号
- 4桁の数字で、4桁目と1-3桁目に分かれる
- 4桁目 : プロジェクトエレメント
  - 1XXX : Management
  - 2XXX : Spacecraft
  - 3XXX : Lisa Technology Package (LTP)
  - 4XXX : Launcher
  - 5XXX : Ground Segment, Mission Analysis
  - 6XXX : Distur ance Reduction System (DRS)
- 1-3桁目：通し番号

　詳しくは、CADM Requirements for Subcontractorsを参照のこと

Laser Interferometer Space Antenna (LISA)も、プロジェクト識別コードが"LISA"であること他は、同様の番号体系と思われる。