はじめに
ソフトウェア開発において失敗は避けられないものです。しかし、それをどう捉え、学びに変えるかが成功への鍵となります。今回紹介する書籍「ソフトウェア開発現場の『失敗』集めてみた。」は、開発現場での失敗事例を集め、その教訓を分かりやすく解説した一冊です。
本書の概要
本書籍ではソフトウェア開発プロジェクトにおける失敗事例を具体的にエピソード形式でマンガで記載されています。失敗事例数は全部で42個あります。なお構成は下記のように開発のフェーズごとに分かれており,非常に読みやすかったです。
- Chapter1 「企画」で失敗
- Chapter2 「仕様」で失敗
- Chapter3 「設計・実装」で失敗
- Chapter4 「進捗管理」で失敗
- Chapter5 「品質管理」で失敗
- Chapter6 「リリース後」に失敗
それぞれの失敗事例に対して, 原因分析と改善策が丁寧に解説されています。
印象に残った失敗事例と教訓
各チャプターにおいて個人的に気になったエピソードをいくつか紹介したいと思います。
「企画」で失敗
事例:
- リーダーも新人も一緒「全員一人前計画」
教訓:
- 開発だけが見積もり対象じゃない!
プロジェクトを発足する際のメンバーのスキルセットはバラバラであることがほとんどかと思います。このような状況下でメンバー全員が同一のスキルレベルを持っている前提で計画を立ててはいけないといった内容でした。
現在は開発者ロールでプロジェクトに参加していますが,今後PMロールなどに縁があったときにはこの辺をしっかり考慮した上でプロジェクトをスタートさせたいなと。
「仕様」で失敗
事例:
- 実装できない「ふんわり仕様」
教訓:
- その仕様書を読んでみんな同じ仕様で実装できるか?不明瞭な点はしっかりと確認
「ふんわり仕様」で実装を初めてしまうと開発者の中の常識と受け入れ担当者の常識の乖離から思わぬ成果物が出来上がってしまうことがありますよね。
「品質評価」で失敗
事例:
- バグが出ない「開発者バイアス」
教訓:
- 早期のテスト戦略大事!
「開発者バイアス」ってなんぞや,と読み進めましたがこのエピソードに近い経験は最近の開発の中でもあったなあと…
無意識のうちにバグを避ける方法で開発やらデバッグをやってしまうんですよね。そして肝心のデモの時に動かなかったり…
総評
「ソフトウェア開発現場の『失敗』集めてみた。」は, 開発における失敗を疑似体験でき開発者, PM, PO, SMなど様々なロールの方々にとって非常に有益な一冊であると思いました!
定期的に読み返しながら日々の開発業務で失敗を未然に防げたらなと思います。