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はじめての記事投稿

怪談 あの世からの準確定申告👻~Part1~ 本題に入れない前置き

Last updated at Posted at 2023-07-09

突然ですが…

父が7月4日に亡くなりました。急なことでドタバタ……いや、本当に手続大変ですね…

傷心等はさておき、様々な手続で忙殺されている中、不謹慎とのお叱りもあり得ますが、気を紛らわせるための息抜きにお付き合いいただければ幸いです。

うそでもろいやー界隈の端くれにいる身としては、手続回りは得意なつもりなのですが、それでもあっちこっちとてんやわんやです。

さて、親族が亡くなると、遺族は、なくなった年の1月1日から死亡日までの収支を元に、所得税の確定申告をしなければなりません。これを準確定申告といいます。いつもやる確定申告とはチョト違うところが「準」ですね。

ちなみに、これは、相続を知った日の翌日から4月以内にしなければなりません。相続税は10月以内ですがこちらは割と早めなのでお気を付け下さい!

【所得税法】

(確定申告書を提出すべき者等が死亡した場合の確定申告)
第百二十四条 第百二十条第一項(確定所得申告)の規定による申告書を提出すべき居住者がその年の翌年一月一日から当該申告書の提出期限までの間に当該申告書を提出しないで死亡した場合には、その相続人は、次項の規定による申告書を提出する場合を除き、政令で定めるところにより、その相続の開始があつたことを知つた日の翌日から四月を経過した日の前日(同日前に当該相続人が出国をする場合には、その出国の時。以下この条において同じ。)までに、税務署長に対し、当該申告書を提出しなければならない。

2 前条第一項の規定による申告書を提出することができる居住者がその年の翌年一月一日から当該申告書の提出期限までの間に当該申告書を提出しないで死亡した場合には、その相続人は、政令で定めるところにより、その相続の開始があつたことを知つた日の翌日から四月を経過した日の前日までに、税務署長に対し、当該申告書を提出することができる。

さて、この準確定申告は、その相続人はとあるように、遺族が申告するものですね。まぁそりゃそうです。あの世から

「相続税の申告はこちらの窓口ですか?」

とかやられると、It's a 稲川淳二Worldです。

さて、この、準確定申告は、今、e-taxで申告することができます。e-taxで申告するときには、申告者の電子署名を付けますが、当然、被相続人は死亡していますから、申告する相続人の電子証明書を使って電子署名し、申告書を提出することになるわけです。

ふ つ う な ら な

こちらをごらんいただきたい

戸籍附票

7月4日に死亡し、その旨が届け出られた。そして、戸籍の附票にも死亡が記載されている。
何の問題もないですね。

確かに、戸籍上、死亡しています。何の問題もない。

附票ってなにそれおいしいの、という方もいらっしゃると思います。そこで、以下、附票について少し前置き解説をしますが、その上で、

こちらをごらんいただきたい

スクリーンショット 2023-07-09 164316.jpg

ほら…最近暑いけど、ちょっと気温が下がりましたよね?

話がこれから長くなる予定ですので、先に結論をお伝えします。

戸籍上死亡が記録されているにもかかわらず、その人の電子証明書を使って電子署名ができる状態が生じることがあり得ます。そして、その原因には法律上の問題がありました。  たぶん…

ちょっとまて、附票ってなんだよ

ここで、ちょっと横道にそれますが、戸籍の附票が若干マイナーなので説明します。

日本における親族関係や居住関係の管理は、大きく分けて二つの制度が組み合わさってなされています。一つは戸籍、一つは住民基本台帳です。後者は要するに住民票です。

戸籍は、出生・結婚・離婚・養子縁組・死亡等を記載することで、親族関係を公的に証明するためのものです。根拠法は戸籍法となり、担当している役所は法務省です。

あれ?婚姻届なんて市役所で出してるけど?アレって市役所の仕事じゃないの?

はい、そのとおりです。しかし、法務省の仕事です。

実は、地方公共団体は、法律に基づいて、国の業務の一部を任されていることがあります。これを法定受託事務といいます(地方自治法2条9項1号)。

【地方自治法】

第二条 9 この法律において「法定受託事務」とは、次に掲げる事務をいう。
一 法律又はこれに基づく政令により都道府県、市町村又は特別区が処理することとされる事務のうち、国が本来果たすべき役割に係るものであつて、国においてその適正な処理を特に確保する必要があるものとして法律又はこれに基づく政令に特に定めるもの(以下「第一号法定受託事務」という。)
二 法律又はこれに基づく政令により市町村又は特別区が処理することとされる事務のうち、都道府県が本来果たすべき役割に係るものであつて、都道府県においてその適正な処理を特に確保する必要があるものとして法律又はこれに基づく政令に特に定めるもの(以下「第二号法定受託事務」という。)

戸籍法には、「戸籍業務は市町村長よろ!」という条文があります(戸籍法1条2項)

【戸籍法】
第一条 戸籍に関する事務は、この法律に別段の定めがあるものを除き、市町村長がこれを管掌する。
2 前項の規定により市町村長が処理することとされている事務は、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二条第九項第一号に規定する第一号法定受託事務とする。

さて、話を戻しますが、戸籍は、本来、親族関係を公的に証明するものです。戸籍の記載事項は氏名・生年月日・親族関係等で、住所は入っていません(戸籍法13条。なお、法務省令は戸籍法施行規則30条ですが、住所は入っていません。)。

【戸籍法】
第十三条 戸籍には、本籍の外、戸籍内の各人について、左の事項を記載しなければならない。
一 氏名
二 出生の年月日
三 戸籍に入つた原因及び年月日
四 実父母の氏名及び実父母との続柄
五 養子であるときは、養親の氏名及び養親との続柄
六 夫婦については、夫又は妻である旨
七 他の戸籍から入つた者については、その戸籍の表示
八 その他法務省令で定める事項

【戸籍法施行規則】
第三十条 戸籍法第十三条第八号の事項は、次に掲げるものとする。
一 戸籍法第十三条第一号から第七号までに掲げる事項のほか、身分に関する事項
二 届出又は申請の受附の年月日並びに事件の本人でない者が届出又は申請をした場合には、届出人又は申請人の資格及び氏名(父又は母が届出人又は申請人であるときは、氏名を除く。)
三 報告の受附の年月日及び報告者の職名
四 請求、嘱託又は証書若しくは航海日誌の謄本の受附の年月日
五 他の市町村長又は官庁からその受理した届書、申請書その他の書類の送付を受
けた場合には、その受附の年月日及びその書類を受理した者の職名
六 戸籍の記載を命ずる裁判確定の年月日

じゃあ、おまえが言っている戸籍の附票ってなにそれおいしいの、ていうか住所の証明って住民票じゃないの?というのはごもっとも。

住所の証明は、住民基本台帳法が担当します。ちなみに担当している役所は総務省で、こちらは市町村長の本来的な事務です。現に、住民基本台帳法を見ていただくと、戸籍に絡むところには少し定めがありますが、戸籍法のように「市町村、よろ!」という条文がありません。ちなみに地方自治体に関する事務は総務省担当です。

で、この住民基本台帳法で、住所の記録を担当しており、世帯ごとに住民票を作り、これを住民基本台帳という台帳で管理しています(住民基本台帳法5~7条)。

(住民基本台帳の備付け)
第五条 市町村は、住民基本台帳を備え、その住民につき、第七条及び第三十条の四十五の規定により記載をすべきものとされる事項を記録するものとする。
(住民基本台帳の作成)
第六条 市町村長は、個人を単位とする住民票を世帯ごとに編成して、住民基本台帳を作成しなければならない。
2 市町村長は、適当であると認めるときは、前項の住民票の全部又は一部につき世帯を単位とすることができる。
3 市町村長は、政令で定めるところにより、第一項の住民票を磁気ディスク(これに準ずる方法により一定の事項を確実に記録しておくことができる物を含む。以下同じ。)をもつて調製することができる。
(住民票の記載事項)
第七条 住民票には、次に掲げる事項について記載(前条第三項の規定により磁気ディスクをもつて調製する住民票にあつては、記録。以下同じ。)をする。
一 氏名
二 出生の年月日
三 男女の別
四 世帯主についてはその旨、世帯主でない者については世帯主の氏名及び世帯主との続柄
五 戸籍の表示。ただし、本籍のない者及び本籍の明らかでない者については、その旨
六 住民となつた年月日
七 住所及び一の市町村の区域内において新たに住所を変更した者については、その住所を定めた年月日
八 新たに市町村の区域内に住所を定めた者については、その住所を定めた旨の届出の年月日(職権で住民票の記載をした者については、その年月日)及び従前の住所
八の二 個人番号(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(平成二十五年法律第二十七号。以下「番号利用法」という。)第二条第五項に規定する個人番号をいう。以下同じ。)
九 選挙人名簿に登録された者については、その旨
十 国民健康保険の被保険者(国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号)第五条及び第六条の規定による国民健康保険の被保険者をいう。第二十八条及び第三十一条第三項において同じ。)である者については、その資格に関する事項で政令で定めるもの
十の二 後期高齢者医療の被保険者(高齢者の医療の確保に関する法律(昭和五十七年法律第八十号)第五十条及び第五十一条の規定による後期高齢者医療の被保険者をいう。第二十八条の二及び第三十一条第三項において同じ。)である者については、その資格に関する事項で政令で定めるもの
十の三 介護保険の被保険者(介護保険法(平成九年法律第百二十三号)第九条の規定による介護保険の被保険者(同条第二号に規定する第二号被保険者を除く。)をいう。第二十八条の三及び第三十一条第三項において同じ。)である者については、その資格に関する事項で政令で定めるもの
十一 国民年金の被保険者(国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)第七条その他政令で定める法令の規定による国民年金の被保険者(同条第一項第二号に規定する第二号被保険者及び同項第三号に規定する第三号被保険者を除く。)をいう。第二十九条及び第三十一条第三項において同じ。)である者については、その資格に関する事項で政令で定めるもの
十一の二 児童手当の支給を受けている者(児童手当法(昭和四十六年法律第七十三号)第七条の規定により認定を受けた受給資格者(同条第二項に規定する施設等受給資格者にあつては、同項第二号に掲げる里親に限る。)をいう。第二十九条の二及び第三十一条第三項において同じ。)については、その受給資格に関する事項で政令で定めるもの
十二 米穀の配給を受ける者(主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律(平成六年法律第百十三号)第四十条第一項の規定に基づく政令の規定により米穀の配給が実施される場合におけるその配給に基づき米穀の配給を受ける者で政令で定めるものをいう。第三十条及び第三十一条第三項において同じ。)については、その米穀の配給に関する事項で政令で定めるもの
十三 住民票コード(番号、記号その他の符号であつて総務省令で定めるものをいう。以下同じ。)
十四 前各号に掲げる事項のほか、政令で定める事項

あれ?よく見てくださいね。

戸籍の表示

は??

つまり、親族関係と住所関係は別々なのに、リンクしているという訳の分からんことになっているわけです。

このリンクをしている書類の一つ…と言っていいかは微妙ですが、実質的に、戸籍と住民票のハイブリッド的なことをしているのが戸籍の附票です。「戸籍」といいながら、しれっと住民基本台帳法にいます(住民基本台帳法16条・17条)

【住民基本台帳法】
(戸籍の附票の作成)
第十六条 市町村長は、その市町村の区域内に本籍を有する者につき、その戸籍を単位として、戸籍の附票を作成しなければならない。
2 市町村長は、政令で定めるところにより、前項の戸籍の附票を磁気ディスクをもつて調製することができる。
(戸籍の附票の記載事項)
第十七条 戸籍の附票には、次に掲げる事項について記載(前条第二項の規定により磁気ディスクをもつて調製する戸籍の附票にあつては、記録。以下同じ。)をする。
一 戸籍の表示
二 氏名
三 住所
四 住所を定めた年月日
五 出生の年月日
六 男女の別

これ、よーーーく見てくださいね。

わかりにくいんですけど、住民票に関する事務の「市町村長」(住民基本台帳法6条)は、あくまでもその市町村に住んでいる住民に対応する市町村長、要するに住んでいるところの市町村長です。

(住民基本台帳の作成)
第六条 市町村長は、個人を単位とする住民票を世帯ごとに編成して、住民基本台帳を作成しなければならない。

でも、戸籍の附票は「市町村長は、その市町村の区域内に本籍を有する者につき」とあるように、本籍があるところを担当しているところの市町村長です。ということは、戸籍の附票は、名前からも明らかですが、戸籍のおまけです。ここに、住所が記載されているということになります。

世帯と戸籍の単位と何が違うのと思われるかも知れませんが、世帯というのは、ざくっといえば、あくまでも一緒に住んでいるというだけの話で、一つ屋根の下です。家族だから一緒に住んでいることもあるかも知れませんが、ルームシェアでも良いですし、結婚前の同棲でも同一世帯になれます。一方、戸籍の単位は、親族単位(厳密にいえば、親子単位) で作成されます(戸籍法6条)。ちなみに戦前は、家制度でしたので、戸主に属する親族全員が記載されていました。家制度の是非はおいといて、親族関係の調査には、とりあえず全部載ってるので割と楽だったりします。

【戸籍法】
第六条 戸籍は、市町村の区域内に本籍を定める一の夫婦及びこれと氏を同じくする子ごとに、これを編製する。ただし、日本人でない者(以下「外国人」という。)と婚姻をした者又は配偶者がない者について新たに戸籍を編製するときは、その者及びこれと氏を同じくする子ごとに、これを編製する。

住所と本籍って違うこと…割とありますよね?つまり、住所と本籍が違う場合、別々の市町村長が戸籍と住民票を担当していると言うことになります!でも、戸籍の附票には住所がありますね。ということは…

はい、情報共有に関する手続があるわけです!ここが幽霊を召喚する魔方陣になります。

image.png

まとめと次回予告

まとめ

  • 戸籍は、親族関係を公的に証明し、本籍地を管轄する市町村長が担当者
  • 住民票は、世帯単位(いわゆる一つ屋根の下)で作成され、住所地を管轄する市町村長が担当者
  • 戸籍の附票という、戸籍のおまけに住所の情報が反映される。

次回予告

さて、本題に入れません…割と複雑な制度ですし、私も、今日は電気通信主任技術者(伝送交換)を受けたので、これからお肉を食べたいと思っております。

というわけで、次回予告です!

次回!あの世からの準確定申告👻~Part2~ 見えない本題

うん…次は、J-LISの話をしないといけないんです…

てなわけで、お肉食べてきます!

image.png

おまけ

ちなみに、戸籍の附票は、戸籍謄本を取り寄せることができる人であれば取得可能です。

【戸籍法】

第十条 戸籍に記載されている者(その戸籍から除かれた者(その者に係る全部の記載が市町村長の過誤によつてされたものであつて、当該記載が第二十四条第二項の規定によつて訂正された場合におけるその者を除く。)を含む。)又はその配偶者、直系尊属若しくは直系卑属は、その戸籍の謄本若しくは抄本又は戸籍に記載した事項に関する証明書(以下「戸籍謄本等」という。)の交付の請求をすることができる。

【住民基本台帳法】
(戸籍の附票の写しの交付)
第二十条 市町村が備える戸籍の附票に記録されている者(当該戸籍の附票から除かれた者(その者に係る全部の記載が市町村長の過誤によつてされ、かつ、当該記載が消除された者を除く。)を含む。次項において同じ。)又はその配偶者、直系尊属若しくは直系卑属は、当該市町村の市町村長に対し、これらの者に係る戸籍の附票の写し(第十六条第二項の規定により磁気ディスクをもつて戸籍の附票を調製している市町村にあつては、当該戸籍の附票に記録されている事項を記載した書類。次項及び第三項並びに第四十六条第二号において同じ。)の交付を請求することができる。

一方、住民票の写しは、原則として、同一世帯の人でなければ取得できません。

(本人等の請求による住民票の写し等の交付)

第十二条 市町村が備える住民基本台帳に記録されている者(当該市町村の市町村長がその者が属していた世帯について世帯を単位とする住民票を作成している場合にあつては、当該住民票から除かれた者(その者に係る全部の記載が市町村長の過誤によつてされ、かつ、当該記載が消除された者を除く。)を含む。次条第一項において同じ。)は、当該市町村の市町村長に対し、自己又は自己と同一の世帯に属する者に係る住民票の写し(第六条第三項の規定により磁気ディスクをもつて住民票を調製している市町村にあつては、当該住民票に記録されている事項を記載した書類。以下同じ。)又は住民票に記載をした事項に関する証明書(以下「住民票記載事項証明書」という。)の交付を請求することができる。

つまり、息子でも同居してなければ原則取れません。

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