Androidアプリ開発における「リポジトリ(Repository)」について
はじめに
Androidアプリのアーキテクチャにおいて、「リポジトリ(Repository)」はデータ管理の重要な役割を担います。
この記事では、リポジトリの役割について簡単にまとめました。
1. リポジトリとは?
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複数のデータソース(API、ローカルDB、キャッシュなど)を統合し、
アプリの他の部分に対して一貫したデータ取得の窓口を提供するクラス。 -
ViewModelやUIから「どこからデータを取っているか」を隠蔽(カプセル化)し、
データ取得の詳細を気にせず利用できるようにする。
例えば
画像データを取得したいとき、
- 外部のAPIから取得するのか、
- 端末内のローカルDBから取得するのかを
リポジトリが判断し管理してくれる。
なぜ「どこから取るか」をリポジトリが管理するのか?
- ユーザー体験(UX)を向上させるため。
- ローカルデータは即時表示できて高速、APIからは最新の情報を取得できるが通信時間や通信量がかかる。
- そこで、「まずローカルのデータを素早く表示し、必要に応じてAPIから最新データを取得して更新する」という使い分けが必要。
- このデータ取得の切り替えや管理を、リポジトリが一手に引き受けている。
XやLINEなどのアプリでは、起動直後に直前まで閲覧していた画面の情報をローカルDBから素早く表示し、その後、一定時間経過やユーザーの操作で最新データをAPIから取得し、画面を更新しているのではないでしょうか。
2. リポジトリの主な役割
役割 | 説明 |
---|---|
データの一元管理 | APIやDBなど複数ソースからのデータ取得をまとめる |
データの抽象化 | データ取得方法を隠し、利用側にシンプルなインターフェースを提供 |
競合の解決 | 複数ソース間でデータの差異を調整・統合 |
ビジネスロジックの一部 | データ加工や条件付き取得などの処理を担当する場合も |
データ更新の統制 | 更新・保存処理の一元管理 |
3. 関心の分離とカプセル化
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関心の分離
UIやViewModelは「どう表示するか」に集中し、
データ取得や保存のロジックはリポジトリに任せる。
MVVMの考え方の一つ。 -
カプセル化
リポジトリは内部のデータ取得方法(APIかDBか)を隠し、
公開インターフェースだけを提供する。
関心の分離をしないとどうなるのか?
もしViewModelがデータの取得方法まで担当してしまうと、
データソース(APIやDBなど)が変わるたびに、「どう表示するか」というUI側のロジックにも影響が及んでしまいます。
他にも様々、保守性や再利用性が低下し、テストも難しくなるという問題も発生します。
こうした課題を防ぐために、リポジトリを用いて「データ取得の責任」を切り離すことが重要です。
最後に
今回は、Androidアプリ開発におけるリポジトリの基礎的な考え方について学びました。
複数のデータソースをまとめて管理し、UI層からデータ取得の詳細を切り離すことで、保守性・再利用性・テスト容易性といった多くのメリットが得られることがわかりました。
今後は実際のコードを通して、リポジトリの実装や活用方法をさらに深めていきたいと思います。