Excelにはいろいろな業務で使われるリストが保存されていますが、たとえば担当者/該当者の名前がExcelの列に書かれていることはよくあることですよね。そして、これらの担当者/該当者にメールで(定期的に)通知を送りたいこともよくあることだと思います。業務システムですべて自動化されていれば、システムから自動で通知メールが出るのが理想ですが、すべてが自動化されていないのが現実的な世界ですね。
使われるシナリオとしては、たとえば以下のようなものが想定されます。
利用シナリオ
- Salesforce上の商談/リードへのアクションを担当営業に促す
- 今月の必須トレーニングの実施を各従業員に促す
- 今週の掃除担当を該当従業員に促す
- 今月の給与明細を各従業員に送信する
- 今週の勤怠入力シートを各従業員に送信する
これらはメール送信オペレーションの複雑さで分類していくと2通りに分かれます。
- ケース1: 各担当従業員がリスト内に1回だけ出現 - 各行ごとにメール送信オペレーションを処理していけば完了します。
- ケース2: 各担当従業員がリスト内で複数の行に出現 - 各行ごとにそれぞれメール送信しても悪くはないですが、行の数だけ同じ人にメールを出してしまうため、メールを受信する側は30通とかメールをもらったら困惑するかもしれないので、1通にまとめる処理が必要になります。
これらの2つのケースについて、どのようにRPAでオペレーションを組めばいいかについてみてみましょう。
※ 記事の最後にあるAACEClientの電子メール設定は実施済みであることが前提です。
ケース1: 各担当従業員がリスト内に1回だけ出現
適用例
従業員に給与明細とパスワードを送信します。
A | B | C | |
---|---|---|---|
1 | 従業員の電子メールアドレス | 従業員氏名 | パスワード |
2 | taro.sato@example.com | 佐藤太郎 | Gwfda7FV |
3 | kakeru.suzuki@example.com | 鈴木翔 | vk7uFtK7 |
4 | tomoko.sasaki@example.com | 佐々木智子 | DUpSUcWK |
5 | keiko.namekawa@example.com | 滑川恵子 | YTJ6uSKB |
6 | tadashi.koide@example.com | 小出正 | 2Dka99n7 |
7 | minoru.tajima@example.com | 田島実 | LFt5UZvq |
これは単純なケースで、表で1行ずつデータを読み込んで、Send Emailコマンドでメールを1通ずつ送信していけばOKです。
実施すること
- ループを作成して、Excel の行ごとに電子メールアドレスと差し込むデータを取得
- Send Emailコマンドで送信テンプレートを作成してデータを差し込んで1行ずつ送信
作成したアクションリスト
5行目: Send Emailコマンドで設定するコンテンツ
ケース2: 各担当従業員がリスト内で複数の行に出現
適用例
営業担当者に商談のフォローアップメールを送ります。
A | B | C | |
---|---|---|---|
1 | 従業員の電子メールアドレス | 従業員氏名 | 商談 |
2 | taro.sato@example.com | 佐藤太郎 | 株式会社ABC商事、商品A-123 |
3 | kakeru.suzuki@example.com | 鈴木翔 | XYZ鋼業株式会社、商品B-256 |
4 | tomoko.sasaki@example.com | 佐々木智子 | サード21株式会社、商品A-123 |
5 | kakeru.suzuki@example.com | 鈴木翔 | BBB株式会社、商品A-123 |
6 | taro.sato@example.com | 佐藤太郎 | AAホールディングズ株式会社、商品B-256 |
7 | taro.sato@example.com | 佐藤太郎 | BCG鉄鋼株式会社、商品B-256 |
A列に同じ宛先が複数ランダムに出てくるケースです。この場合は、まずA列を並び替えて同じ宛先は連続するように変更した後に、同じ宛先が続く限り商談情報側の文面を結合して、1つの宛先に対して1通にまとめてSend Emailコマンドで送信しましょう。
実施すること (先ほどと違うところを赤字にしました)
- 「従業員氏名」列で並び替えを行い、同じ従業員氏名が連続するようにする
- ループを作成して、Excel の行ごとに差し込むデータを取得、従業員氏名が同じである行の場合はまとめる
- Send Emailコマンドで送信テンプレートを作成して、従業員氏名が異なるごとにデータをまとめて差し込んで送信
作成したアクションリスト
3行目: 選択セルの位置で昇順の並び替えコマンドを発行。Alt
+A
+S
+A
。[Alt Down]
と[Alt Up]
で囲まれる文字列は小文字である必要あり。
12/19行目: Send Emailコマンドで設定するコンテンツ
17行目: Variable Operation (vDesc
変数への代入時に以下のようにして改行を元の値とExcel Clumn(3)
の間に挿入)
おまけ: AACEClientでの電子メール設定
あらかじめAACEClient (Automation Anywhere Community Edition クライアント) でオプション (Options)メニューから電子メール設定 (Email Settings)で利用するメールサーバーの設定を行っておく必要があります。GmailのSMTPを使う場合は以下のように設定します。(利用するアカウントのユーザー名とパスワードを入れてください)
- Host (ホスト): smtp.gmail.com
- Port (ポート): 587
- My server uses secure connection (SSL/TLS) (サーバーに安全な接続 (SSL/TLS)を使用): ON
-
My server requires authentication (サーバーには認証が必要です): ON
Office 365で設定する場合の例は「Automation Anywhere と Office 365 でメール送信を自動化する」を参照のこと。