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Microsoft Power Automate UI flows はデスクトップ型RPA? サーバー型RPA?

Last updated at Posted at 2020-05-31

最近、マイクロソフト界隈のRPAに関するニュースが事欠かないですね(^-)-☆ 4月の頭にはPower Automate UI flowsが正式リリースになったり、そうかと思えば5月中旬には、Softomotive社のWinAutomationを買収したりと、大手ソフトウェアベンダーとしては初めて割と本気でRPAの領域に踏み込もうとしているように見えます(;^_^A これは、また面白くなってきそうです!

Power Automateは元々RPAだけではなくMicrosoft FlowというiPaaSに分類されるサービスから出発しているため、従来のRPA製品とちょっと異なる機能/性質を持っているように思います。たとえば、RPA製品でよくある分類が「デスクトップ型RPA」なのか「サーバー型RPA」なのか、です。これはRPAの世界では導入の段階や導入方法にまつわるところで結構重要視されているところですので、Power Automateがどちらに当てはまるのかについて、この記事で見ていきたいと思います(^^)/

Power Automateってそもそもなんだっけ?

Power Automateは「Microsoft Power Platform」と呼ばれるローコード製品群のひとつで、ワークフローの自動化機能をもつ製品です。もともとはクラウドAPIを持つ製品を連携するiPaaSの位置づけでしたが、デスクトップPCのUIを通してデスクトップ製品との連携も扱うRPA機能として「UI Flows」が2019年秋にプレビューとして登場しました。2020年4月より正式版として販売が開始されています(^^♪
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おさらい: デスクトップ型RPAとは、サーバー型RPAとは?

RPAにおける「デスクトップ型RPA」と「サーバー型RPA」の定義をもう一度おさらいしておきましょう!まずは一番基本的なWikipediaから。

Wikipedia: 『ロボティック・プロセス・オートメーション / RPAとRDA

デスクトップ作業のみに絞ったものをロボティック・デスクトップ・オートメーション(RDA)と呼び、RPAと区別することもある

(中略)

RPAは、ボットの作成と実行を行うためのデスクトップソフトウェアと、それらを管理・監視するためのサーバソフトウェアで構成され、組織全体の生産性向上を主目的としているが、RDAは前者のデスクトップソフトウェアのみが提供され、個人の生産性向上を主目的としている。

「デスクトップ型RPA」と「サーバー型RPA」の本質的な違いは、ガバナンスモデルであり、個人の生産性向上を目指すのか組織全体の生産性向上を目指すのか、です~(^^)/

いろいろな俗説

いろいろなWebサイトを見てみると、デスクトップ型は「デスクトップPCで動く」、サーバー型は「サーバーマシンで動く」と定義しているところもありますが、これはBizRobo!の動作を意識したものと思われます。他のRPA 5大ソフトウェア (WinActor, UiPath, Automation Anywhere, Blue Prism)を見てみると、サーバーマシンで管理機能を持っていてロボットの実行はデスクトップPCで行われるので、一般的な「デスクトップ型RPA」「サーバー型RPA」の定義としては当てはまらないですね( ;∀;) ライセンスもUnattended型 (人が触らないPCでサーバーから指示を受けて動作)、Attended型 (人と一緒のPCで人の作業を補佐)があるものがあり、Unattended型であれば、これが動くデバイスは「サーバー」であると言い切ってしまうこともできるかもしれませんが、Attended型もあるので、成り立ちません。

また、Webサイトによってはデスクトップ型、サーバー型に加えて「クラウド型」も追加しているケースがありますが、これもガバナンスモデルとソフトウェアのデプロイモデルをごっちゃにしてしまっているケースです。サーバー (オンプレミス) かクラウドかはデプロイモデル、デスクトップかサーバーかはガバナンスモデルで、その混合ケースもあるので、RPA 5大ソフトウェアも「デスクトップ型」「サーバー型」「クラウド型」にすっぱり分かれません( ;∀;)

あらためて「デスクトップ型RPA」と「サーバー型RPA」を整理してみましょう

デスクトップ型RPA: 個人の生産性向上

  • 特定のデスクトップPC上の特定の作業 (単一) を効率化、自動化する
  • デスクトップPCへのインストールのみですぐに始められる
  • 管理・監視機能がない

サーバー型RPA: 組織全体の生産性向上

  • 組織内の複数業務を複数のPCを使って自動化
  • サーバー (オンプレミス or クラウド)の機能が必ず必要
  • 状況の監視、複数人で使うことを前提とした権限設定、セキュリティ・コンプライアンス・ガバナンス機能が備わっている
  • サーバーから指示をして自動実行するモードがある
  • ロボットやテンプレートを組織メンバーで共有する機能がある
  • ロボットの作業量をスケールアウトする機能が備わっており、大量の同一作業をこなせる

製品によっては、エントリモデルはデスクトップ型RPA、そこからサーバー機能を足してサーバー型RPAに進化させることができるものがあります。(WinActor、UiPathなど)

※以下は俗説です。

  • サーバー型RPAは値段が高い: まず、RPAソフトウェアが高額であるということはありません。Blue PrismやAutomation Anywhereも最低価格は他の主要デスクトップ型RPAの製品と大差ありません。「業務整理に工数がかかり、外部のコンサル会社等の支援やソフトウェア代を含め、初期費用やランニングコストが高くなる。」ということですが、これはRPAの型の問題ではなく、どういう業務を自動化したいかによるため、デスクトップ型RPAでも同じことをやろうとすると同様以上のコストがかかるケースが多いです。
  • サーバー型RPAは開始のハードルが高い: サーバーにソフトウェアをインストールする必要があるところはたしかにデスクトップ型RPAよりも面倒なところです。ただし、最近はサーバー機能をクラウドで提供していてインストール不要で始められる製品も出てきているため、インストールのハードルは取り除かれつつあります。また、「業務整理に工数がかかり...」のところは前項と同様です。

Power Automate UI flowsのサーバー型RPAの要素

さて、それではいよいよMicrosoft Power Automate UI flowsの特徴を見ていきましょう。「サーバー型RPA」の機能的特徴を見てみます。

  • クラウドベースでどのユーザーがPower Automateを使うかを管理者が管理できる。ライセンスの割り当てもクラウド上で可能。
  • UI Flowsのテンプレート (マイクロソフト製、もしくはコミュニティ製)を使うことができる。
  • クラウドから指示をして実行するUnattended (無人型) モードがある。

Power Automate UI flowsのデスクトップ型RPAの要素

一方、Power Automateは (クラウド上に)サーバーがあるといっても、そのサーバーはあくまでもライセンスを割り当てられた個人個人が使う仕様となっており、組織全体でロボットを管理・実行したり組織内でロボットを共有するような機能は持っていません。

WinAutomationはデスクトップ型RPA

また、最近買収したSoftomotive社のWinAutomationは、デスクトップPCにインストールを行い、デスクトップアプリとWebの自動化をレコーダーをベースに行ったり、Process Designerで、実行するタスク (Process)のリストを編集していくこともできます。これは完全なデスクトップ型RPAとなります。RPAユーザーからすると、使い勝手はUI flowsよりもWinAutomationの方が良いように見えます(^^♪

結論: サーバーはあるが仕様はデスクトップ型という新ジャンル!

結局、新しい製品が登場すると、いままでRPA業界で通っていた概念がそのままは通用しなくなりますね! (最初にBizRobo!が流行っていて、サーバー型といえばサーバー内でロボットが実行することを指す、と言っていたように。) ですので、「機能」に注目してしまうとデスクトップ型RPAなのかサーバー型RPAなのかという話は正確ではなくなってしまうので、やはり基本に立ち戻って、もともと何を達成したいのか、そしてガバナンスモデルは何なのか、というところを見る必要があります。

Power Automateは、もともとマイクロソフトが得意としているエンドユーザーコンピューティング (EUC)の延長で、あくまでも個人の生産性を支援する機能として実装されています。そういう意味では、ユーザー管理をサーバー側で管理者がすること以外は、個人の生産性を支援するデスクトップ型RPAとしての要素が強い製品といえるでしょう。

Power AutomateはデスクトップアプリとWebの自動化のつくりが大きく分断されてしまっていたりと、まだまだRPAとしては粗削りですが、今後、WinAutomationをどのように取り込んでいくのか、またiPaaSの部分とどう統合されるのか、楽しみな製品です。

参考情報

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