Azure AI Agent Serviceは、開発者がAIエージェントを安全に構築、デプロイ、スケールできるように設計されたサービスです。
1. Azure AI Agent Serviceとは
Azure AI Agent Serviceは、LLMとツールを組み合わせて、データソースとやり取りしながら質問への回答、タスクの実行、ワークフローの自動化を可能にします。このサービスを使えば、数百行のコードが必要だった処理を数行のコードで実現できます。
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主な特徴
- LLMと組み合わせ可能(GPT-4やLlama 3など)
- ツールの統合(コードインタープリタ、ファイル検索、Bing検索など)
- 自動トークン管理とスレッドの永続化
- エンタープライズグレードのセキュリティ(データの安全性とプライバシー)
2. エージェントの構造
エージェントは、以下のコンポーネントを基盤として構成されます。
- エージェント: モデルとツールを利用するカスタムAI。
- スレッド: ユーザーとの会話セッション。メッセージを保存し、トークン制限内に収まるように自動で調整。
- メッセージ: ユーザーまたはエージェントが作成するテキストやファイル。
- 実行 (Run): スレッド内でエージェントがタスクを実行。ツールやモデルを呼び出して結果をスレッドに追加。
- 実行ステップ: 各実行中にエージェントが行った具体的なステップのリスト。
3. 主要なツール
Azure AI Agent Serviceでは、エージェントの能力を拡張するために以下のようなツールが用意されています。
知識ツール
- Bing検索: インターネットからリアルタイムのデータを取得。
- ファイル検索: 外部のドキュメントをエージェントに取り込んで回答を強化。
- Azure AI Search: 既存のAzure AI Searchインデックスを使用して検索。
アクションツール
- コードインタープリタ: Pythonコードを安全な環境で実行。
- 関数呼び出し: ユーザーが定義した関数をエージェントで使用可能。
4. 利点とユースケース
利点
- 迅速な導入: 簡素化されたセットアップとSDKの活用。
- 柔軟なモデル選択: OpenAIモデルや他の第三者モデルを選択可能。
- 拡張性: ツールを使った複雑なワークフローの自動化。
ユースケース
- 製品推奨エージェント
- 営業データ分析ツール
- 社内FAQチャットボット
- コードアシスタント
5. 導入手順
初期設定
- Azureサブスクリプションを作成。
- Azure AI FoundryでAIハブとプロジェクトを作成。
- モデルをデプロイ(例: GPT-4o-mini)。
- 必要に応じてツールをエージェントに統合。
サンプルコード(Python)
エージェントの作成例:
from azure.ai.projects import AIProjectClient
client = AIProjectClient.from_connection_string("YOUR_CONNECTION_STRING")
agent = client.agents.create_agent(
model="gpt-4o-mini",
name="サンプルエージェント",
instructions="あなたは親切なアシスタントです。",
tools=[]
)
6. エンタープライズセキュリティ
- 安全なデータ管理: Microsoft管理のストレージ。
- キー不要の認証: シンプルでセキュア。
- データプライバシー: データがモデルのトレーニングに使用されないことを保証。
7. 制限と料金
- 最大ファイルサイズ: 512MB
- トークン制限: 2,000,000トークン
- 料金: モデル使用料とツールの使用に基づく課金
Azure AI Agent Serviceは、エージェントベースの高度なAIアプリケーションを迅速に構築・展開するための強力なツールです。詳細な手順やサポートについては公式ドキュメントの参照を推奨。
参考