はじめに
AWS KMS(Key Management Service)は、データを守るための「鍵」を安全に管理するサービスです。
まるで、会社の金庫の鍵を、さらに厳重に管理する金庫のようなものだと考えてください。
なぜ鍵が必要なの?
会社で扱うデータは、顧客情報、営業資料、設計図など、様々なものがあり、これらのデータを悪意のある人から守るために、「暗号化」という技術が使われます。
暗号化とは、データを別の文字列に変換して、元のデータが見えなくすることです。
例えば、重要な書類を「暗号化」して、誰にも読めないようにするイメージです。
この時、書類を暗号化する「鍵」と、暗号化された書類を元の状態に戻す「鍵」が必要です。
鍵の管理が重要!
もし、この「鍵」が盗まれたり、不正な人に使われたりすると、暗号化されたデータも解読されてしまい、
大切な情報が漏洩してしまいます。
AWS KMSが役立つ!
AWS KMSは、この「鍵」を安全に管理するためのサービスです。
- 鍵を安全に保管: AWS KMSは、鍵を「ハードウェアセキュリティモジュール(HSM)」という、非常に安全な場所に保管します。HSMは、物理的に厳重管理された装置で、不正なアクセスを防止
- 鍵のライフサイクル管理: 鍵の作成、利用、削除といった一連の管理を、AWS KMSが行います。
- 例えば、鍵が古くなったら自動的に新しい鍵に更新したり、特定の期間が過ぎたら自動的に鍵を削除することができます
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アクセス制御: 誰がどの鍵を使えるかを細かく設定できます。例えば、特定の社員だけが、特定のデータの鍵を使えるように設定できます。
AWS KMSを使うメリット
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簡単で安全: 専門知識がなくても、簡単に安全な鍵管理ができます。AWS KMSは、複雑な設定や操作を必要とせず、誰でも簡単に利用できる
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AWSサービスとの連携: AWSの様々なサービスで、AWS KMSを使ってデータを暗号化できます。例えば、Amazon S3(オブジェクトストレージ)やAmazon RDS(リレーショナルデータベース)などのサービスで、AWS KMSを使ってデータを暗号化できる
KMSの主要機能:
暗号鍵のライフサイクル管理:
アクセス制御:
- キーポリシー:個々のKMSキーに対するアクセス制御
- IAMポリシー:ユーザーやロールに対する包括的なアクセス制御
KMSの利用シナリオ: - AWSサービスとの統合:S3、EBS、RDSなど100以上のサービスで簡単に暗号化を有効化
- カスタムアプリケーション:独自のアプリケーションでのデータ暗号化にも利用可能
c) モニタリングと監査: - AWS CloudTrailとの統合による鍵の使用状況の追跡
KMSのセキュリティ特徴:
- ハードウェアセキュリティモジュール(HSM)での鍵の保管
- KMSキーのエクスポート不可:AWS外部への流出リスクを低減
- 詳細なアクセス制御:必要最小限の権限付与が可能
KMSの運用面での利点:
- マネージドサービス:AWSが基盤のセキュリティと可用性を管理
- スケーラビリティ:大量のデータや多数のアプリケーションにも対応
- コスト効率:専用のハードウェアや専門家を自社で用意する必要がない
KMSの使い方:
- AWS Management Console:GUIでの簡単な操作
- AWS CLI・SDK:プログラムからの操作や自動化が可能
- AWS CloudFormation:インフラストラクチャ as コードでの管理
ベストプラクティス:
- 定期的な鍵のローテーション
- 最小権限の原則に基づくアクセス制御
- 重要な操作(鍵の削除など)に対する多要素認証の使用
まとめ
このように、AWS KMSは暗号化の複雑さを隠蔽しつつ、高度なセキュリティを提供するサービスです。
初心者でも簡単に使い始められる一方で、セキュリティの専門家にも十分な機能と柔軟性を提供しています。
参考資料
AWS Key Management Service Part.1 基礎編【AWS Black Belt】
AWS Key Management Service Part.1 基礎編【AWS Black Belt】/PDF
AWS Key Management Service