データドリブンとは、膨大なデータを収集・分析し、ビジネス上の課題解決に向けた施策検討や、意思決定を行うことをいいます。
オンライン環境の普及にともない、民間企業や政府・自治体ではビッグデータの活用をはじめとした、データ活用が求められています。
本記事では、データドリブンの基本から、マーケティング活動に求められる理由。データドリブンの進め方までわかりやすく解説します。データドリブンを取り入れたいとお考えの企業経営者やマーケティング担当者は必見です。
データドリブンとは?意味・定義を解説
**データドリブン(Data Driven)**とは、一言でいえば、効果測定や顧客データなどの企業活動で得られたデータに基づいて、次のアクションを起こすことをいいます。
そもそも、ドリブン(Driven)は、英語のdriveの過去分詞形であり、「(〜に)突き動かされた」という意味をもちます。つまり、データドリブンとは「データに突き動かされた=データに基づいた」と訳すことができます。
企業経営では、事業計画、売上管理、営業管理など多くのデータが蓄積されています。Web上では自社サービスへのレビュー、口コミ、他社商品情報を調べることもできます。そうしたデータから自社の課題や問題点を見つけ出し、適切な対策を講じ、その後もデータに基づいた検証を行うことがデータドリブンな考え方となります。
データドリブンがマーケティング活動に求められる理由
データドリブンを取り入れたマーケティング活動。すなわちデータドリブンマーケティングは、現在企業経営に欠かせないものとして、規模・業界・業種にかかわらず多くの企業・団体で注目されています。
消費者行動の複雑化・多様化
データドリブンマーケティングが求められる背景には、消費者行動の多様化があります。SNSをはじめとしたオンラインサービスの普及に伴い、個人の価値感が多様化・複雑化しています。たとえば、今から20年前は娯楽の中心といえば、テレビでした。一家団らんで、家族が同じテレビ画面を視聴するというのはどの家庭にも見られたものです。しかし、現在では1人1台スマホを持つことが当たり前となり、ショッピング・映像・音楽・ゲームまで、娯楽のほとんどをスマホ1台で楽しめるようになりました。さらに人とつながることも容易になり、有名人をはじめ世界中の人々が持つ価値観や情報にいつでもアクセスできます。
勘や経験といった主観的判断の脱却
個人ごとの価値観が異なる現代において、企業が継続的に発展を遂げていくためには、過去の延長線上の考え方では通用しにくくなっています。
たとえば、先述したように、情報源がテレビ・雑誌・新聞・ラジオなどのマスメディアに限られていた昔であれば、みんなが同じような価値観を持っていました。そのため、企業は過去の経験や勘をマーケティングに活かすことができました。
しかし、複雑化・多様化した現在は消費者がなにを望んでいるのか、どういった行動パターンをとっているのかを正しく検証する必要があります。
データドリブンマーケティングでは、過去の経験や勘といった属人的な判断ではなく、実際のデータをもとに意思決定を行います。複雑化した消費者行動をデータによって正確に把握することで、勝算の高い意思決定ができるようになるのです。
データドリブンマーケティングを進めるための4ステップ
実際にデータドリブンマーケティングを取り入れるには、どのように進めたら良いかわからないとお悩みを持つ方も多いでしょう。ここでは、データドリブンマーケティングを進めるための方法を4つのステップに分けて解説します。
データを収集する
まずはデータを集めることからはじめます。どういったデータを収集するかは目的によって異なります。データには大きく、外部データと内部データの2つに分けられます。
多くの大企業は独自のデータを蓄積しています。例えば売上データや顧客購買データなどは、業務システム・機関システム、Webサーバ、IoT、他社サービスなどから収集することができます。
**外部データを収集する際には「スクレイピング」という技術の活用が有効です。**スクレイピングとは、Webサイトで公開されている情報の中から、特定の情報だけを自動で抽出するコンピュータソフトウェア技術のことです。
スクレイピングには一般的に2つの方法があります。
🔸Python(パイソン)
🔸スクレイピングツール
「Python」は、1991年にリリースされたプログラミング言語で、現在ではAI(人工知能)の開発で注目を集めています。特にPythonは、大量のデータを処理することが得意とされており、データドリブンに活用するデータ収集に最適です。
しかしPythonを扱うためには、ITエンジニアなど高度なプログラミング技術の習得が必要です。
そこで中小企業では「スクレイピングツール」の利用がおすすめです。
スクレイピングツールのメリットは以下の2点です。
🔸プログラミング言語の習得コストが不要
🔸ITエンジニア以外の非エンジニアでも利用可能
データを可視化する
データを集めただけでは、そのまま利用することはできません。単に数値が並んでいるだけなので、それを人が見てわかるように「見える化」する必要があります。しかし、膨大なデータを手作業でグラフにしていては、時間がいくらあっても足りないでしょう。
そこでおすすめなのが、BI(ビジネスインテリジェンス)などの、データ分析・可視化ツールの利用です。これらのツールを活用することで、膨大なデータを短時間で見える化することができ、編集や加工も容易に行うことができます。
以下の記事では、データ分析・データ可視化ツールのおすすめを紹介しています。
【2022】データ分析・データ可視化ツールおすすめの31選!
データを分析する
見える化されたデータを分析することで、さまざまな仮説・検証を得ることができます。それによって自社が取り組むべき課題や、優先順位を立てることが可能になります。
しかし、データ分析は専門的な知識・経験が必要です。たとえば、膨大なデータの分析を行うための「データサイエンティスト」や「データアナリスト」が注目されていますが、その専門性の高さから平均年収が高く、採用・育成にはコストも掛かります。
そうした人材を採用するのが難しい場合には、外部のコンサルティング会社に委託をするか、データ分析ツールの活用がおすすめです。
以下の記事では、データ分析・データ可視化ツールのおすすめを紹介しています。
アクションプランを策定・実行する
データ分析から深い洞察と課題が見つかれば、それを改善するための具体的なアクションプランを策定し、実行に移します。
実行する際には、いつまでに・だれが・なにを・どのようにやるか、タスクとスケジュールを組み計画的に実施します。また、具体的なゴール(KPI)を立てて、進捗を確認しながら進めると良いでしょう。
実行後は、定量・定性といった両面から評価し、良かったこと悪かったことをまとめていきます。継続的に取り組むことで、自社の勝ちパターンが生まれてくるでしょう。
スクレイピングはデータドリブンに最適
ここまで解説したように、データドリブンの基本は、データがなくては進みません。質と量ともに、膨大なデータを収集するためには、手動で行うのは不可能です。また、情報は鮮度も重要です。いくら膨大なデータを持っていたとしても、そのデータが数年前のものならば、使い物にならない可能性もあります。
そうしたときに個人や中小企業の場合は効率的にデータを収集するにはスクレイピングツールが最適です。スクレイピングツールのメリットとしては、主に次の4つが挙げられます。
リアルタイムで入手できるので鮮度が高い
あらゆるデータを収集できるので効率的
複雑な操作・設定が不要なので即導入可能
導入・運用にかかる費用がリーズナブル
中でも、スクレイピングツールの**Octoparse(オクトパス)**は、サーバー設置不要で、クラウド上でデータの保存が可能です。無料プランもあるため、データドリブンを手軽にはじめることが可能です。
#まとめ
本記事では、データドリブンが求められる理由・背景から、データドリブンの進め方まで解説しました。過去の経験や勘も、企業の大切なノウハウですが、複雑化・多様化した現在では、効果が出にくくなっていることは事実です。
「良いモノを作れば売れる」という時代ではなく、消費者は何を求めているか?と消費者起点で捉えることが大切です。消費者の行動を正しく知るためには、データに基づいた分析が必要になります。
データを扱うというと数字の扱いが苦手な方には、敷居が高いと感じるかもしれませんが、本記事で紹介したように、スクレイピングツール、データ分析ツール、データ可視化ツールなど、データドリブンに役立つツールが数多く登場しています。
リーズナブルかつ、手軽に導入できるツールも多く登場していますので、興味のある方はまずはアカウント登録からはじめてみてはいかがでしょうか。
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